大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅠA 第5問 解説

(1)

図A
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 解説図A

図Aのように、
Gは△ABCの重心なので、
AG:GE=2:1
Dは線分AGの中点なので、
AD=DG
である。

よって、
AD=DG=GE
となるから、
ADDE=12
である。

解答ア:1, イ:2


図B
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 解説図B

次の BPAP は、三角形のひとつの辺ABについて、
BPAP=一方の頂点から分点他方の頂点から分点
である。
なので、考えるのはチェバの定理かメネラウスの定理だ。
ここでは、メネラウスの定理を使う。

図Bの△ABE(緑の三角形)と直線PF(赤い直線)にメネラウスの定理を使うと、
BPAPADDEEFBF=1
とかける。

これにを代入して、
BPAP12EFBF=1
より
BPAP=2×BFEF
である。

解答ウ:2, エ:1, オ:3


図C
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 解説図C

CQAQについても同様に考える。

図Cの△ACE(緑の三角形)と直線PF(赤い直線)にメネラウスの定理を使うと、
CQAQADDEEFCF=1
とかける。

これにを代入して、
CQAQ12EFCF=1
より
CQAQ=2×CFEF式A
である。

解答カ:2, キ:2, ク:3


以上より
BPAP+CQAQ=2×BFEF+2×CFEF=2×BF+CFEF と表せる。

ここで、点Gは△ABCの重心だから、AEは中線である。
つまり、点Eは辺BCの中点だ。
よって、
BE=CE
なので、 BF=BE+EF CF=EFCE=EFBE とかける。

これを式Bに代入すると、
BPAP+CQAQ=2×BE+EF+EFBEEF=2×2EFEF=4 であることが分かる。

解答ケ:4

アドバイス

上の解説では、点Fを点Cの右にとった。
Fを点Bの左にとった場合は次のような図になるけど、解法は全く変わらない。

大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 アドバイス図

(2)

図D
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 解説図D

さらに、図Dのような場合を考える。

方べきの定理から
AQAC=APAB
なので、
6AQ=9AP
AQ=96AP=32AP となる。

解答コ:3, サ:2

これからAPAQを求めるんだけど、式Dだけじゃ無理。
で、これまでの作業を振り返ってみると、式Cの
BPAP+CQAQ=4式C
が使えそうだ。

具体的には、BPCQAPで表して、式Cに代入だ。

図Dより、
BP=9AP CQ=6AQ=632AP この2式と式Dを式Cに代入すると、
9APAP+632AP32AP=4
という式ができる。

途中式

面倒な式に見えるけど、意外にそうでもなかったりする。

嬉しくないのは、繁分数の部分。
なので、ここから解決する。
繁分数の分母分子に23をかけて、
9APAP+23(632AP)2332AP=4
9APAP+4APAP=4

両辺にAPをかけて、
9AP+4AP=4AP
より
6AP=13
となる。

よって、
AP=136
である。

解答シ:1, ス:3, セ:6

これを式Dに代入して、AQは、
AQ=32136=134 となる。

解答ソ:1, タ;3, チ:4

次はCF
今までの作業からCFが含まれている式を探すと、
CQAQ=2×CFEF式A
があった。

ここで、
CQ=6AQ EF=CF+12BC=CF+4 なので、式Aは
6AQAQ=2×CFCF+4
と表せる。

これにソタを代入して、
6134134=2×CFCF+4
より

途中式 24134134=2CFCF+4
1113=2CFCF+4
13×2CF=11×(CF+4)
26CF=11CF+44
15CF=44
CF=4415
となる。

解答ツ:4, テ:4, ト:1, ナ:5

(3)

ここまで、点DAGの中点であるという条件のもとに解いてきた。
ここからはこの条件をなくして、
BPAP+CQAQ=10
となる場合を考える。

つまり、(1)の10になるような
ADDG
の値を求めよ、ということだ。

というわけで、(1)でを求めた作業を、
ADDE=12
としないで、ADDEのままでやり直してみる。


(1)では、図B,図Cの緑の三角形と赤い直線にメネラウスの定理を使って、
図Bより、
BPAPADDEEFBF=1式E
図Cより、
CQAQADDEEFCF=1式F
という2つの式をつくった。

これをそれぞれ変形して
BPAP=DEADBFEF CQAQ=DEADCFEF とし、辺々たすと

途中式 BPAP+CQAQ=DEADBFEF+DEADCFEF
より
BPAP+CQAQ=DEAD(BFEF+CFEF)
BPAP+CQAQ=DEADBF+CFEF式G
と表せる。

ここで、(1)で考えたように
{BF=BE+EFCF=EFBE
なので、式Gは
BPAP+CQAQ=DEADBE+EF+EFBEEF=DEAD2EFEF=2DEAD と変形できる。

なので、
BPAP+CQAQ=10
であるためには、
2DEAD=10
より
ADDE=15式H
であればよい。


この式Hと、点Gが△ABCの重心であることによる
AG:GE=2:1
を使って、問われている
ADDG
を求める。

頭の中だけで考えると混乱するので、分かっていることを図にしよう。

式Hより
AD:DE=1:5
なので、
DAE6等分した内分点のうち、点Aの隣の点
AG:GE=2:1=4:2 なので、
GAE6等分した内分点のうち、点Eから2つめの点
である。

これを図にすると、図Eができる。

図E
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅠA第5問 解説図E

図Eより、
AD:DG=1:3
なので、
ADDG=13
となる。

解答ニ:1, ヌ:3

アドバイス

この問題の意地悪なところは、式Hが答えじゃないところだ。
問われているのは
ADDG
であって、式Hの
ADDE
じゃない。

共通テスト本番は時間を気にして焦っているし、計算しているうちにADDGADDEが混乱して
=15
と勘違いしがちだ。

こういったミスを防ぐためによく使われるのは
問われている文字を使って式をつくる 方法だ。
例えば、 式Eや式Fの時点で、
DEを 問われているDGで表しておく。
つまり、
図Bより、
BPAPADDG+GEEFBF=1式E
図Cより、
CQAQADDG+GEEFCF=1式F
とする。
などが考えられる。

こうしておけば、式Hは
ADDG+GE=15
となって、の答えには見えなくなる。

上の解説ではこういった方法はとらなかったけど、これは解法をシンプルにして分かりやすくするため。
ミスを防ぐといった点から見ると不十分だ。

このページにも書いたけど、共通テストやセンター試験の数学は、数学のテストではなく 注意力のテストである。
「ミスしないように気をつける」といった精神論は何の役にも立たない
ミスを防ぐために、自分にあった合理的な方法を見つけてほしい。