大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅡB 第4問 解説

(1) ア~ウ

図A
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図A

最初に、自転車が最初に歩行者に追いつくときの時刻と位置を表すグラフ上の点、つまり 図Aの赤い点の座標を求める。

考え方はたくさんあるけど、そのうちのいくつかを紹介しておく。

説明のために、図Bのように、図Aの赤い点を点Qとし、その座標を(C,D)とする。
また、自転車が歩行者に追いつくのにかかった時間をTとする。

図B
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図B

最初に確認しておくと、図B中の、 a1=2b1=2 緑の直線の傾きは1なので、C=D だ。

このCが点Qx座標なので、の答えである。

考え方1
自転車は歩行者の2倍の速さで追いかけるので、自転車が出発した時刻に、歩行者は点Qまでの距離の半分まで進んでいる。
これを図B中の文字を使って表すと
b1=12D
より
D=2b1
である。

よって、
D=2×2=4 となる。

また、C=Dなので、
C=4
である。

考え方2
自転車は歩行者の2倍の速さで追いかけるので、歩行者が出発してから点Qに着くまでの時間は、自転車が出発してから点Qに着くまでの時間の2倍かかる。
これを図B中の文字を使って表すと
C=2T
なので、
T=a1=2 だ。
よって、C
C=2+2=4 である。

図C
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図C

考え方3
歩行者は1分に距離1進み、自転車は1分に距離2進む。よって、点Qまでの歩行者と自転車のグラフは、図Cのような比率の三角形になっているはず。
図Cと図Bを見比べると、図Cの赤線は図Bのa1にあたる。

a1=2なので、図Cの②の実際の長さは4だ。
よって、
C=4
である。

考え方4
花子さんの考え方をすると、自転車が歩行者を追いかける場合、距離は1分間に1縮まる。
自転車が出発するとき、歩行者は距離2先を歩いている。
自転車が歩行者に追いつくには2分かかるから、
T=2
であることが分かる。

よって、
C=a1+T=2+2=4 である。

解答ア:4


図D
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図D

また、自転車が自宅まで帰る時間は図BのTに等しく、自転車が歩行者に追いついたときと自宅に着いたときに停止する時間はそれぞれ1分なので、a2までの時間は、図Dの赤文字のようになっているはず。
なので、
a2=2+2+1+2+1=8 である。

解答イ:8

この8分間に、歩行者は、1分間だけ停止する以外の時間は進んでいる。
つまり
81=7
分間進んでいる。

歩行者は7分間に7進むから、図Dのオレンジの点のy座標は7だ。
よって、
b2=7
である。

解答ウ:7

(1) エ~ク

次は、anbnan+1bn+1の関係だ。

さっきと同じように、n回目に自転車が歩行者に追いつくグラフ上の点をQnとし、その座標を(Cn,Dn)として、図Eをつくった。

図E
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図E

まず、点Qnの座標を求めよう。
で考えたように、自転車は歩行者の2倍の速さで追いかけるので、自転車が出発する時刻anに、歩行者は点Qnまでの距離の半分まで進んでいる。
なので、
Dn=2bn
とかける。

これが点Qny座標。

また、
Dn=2bn
なので、図E中のS
S=bn
だ。

さらに、図Eの緑の直線は傾きが1なので、
T=S
である。

よって、
Cn=an+T

Cn=an+bn
と表せる。
これが点Qnx座標。

以上より、点Qnの座標は、
(, )=(an+bn,2bn)
となる。

解答エ:3, オ:4


図F
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図F

上のように考えると、an+1までの時間は 図Fの赤文字のようになっているはず。
なので、
an+1=an+bn+1+bn+1=an+2bn+2 である。

解答カ:2, キ:2

また、緑の直線の傾きは1なので、図F中のUは、
U=bn+1
とかける。

よって、
bn+1=bn+bn+U=bn+bn+(bn+1)=3bn+1 である。

解答ク:1

(1) ケ・コ

これまでに分かったことを整理すると、数列{an}{bn}について、
a1=2 b1=2 an+1=an+2bn+2式A bn+1=3bn+1式B だった。

これを使って、{an}{bn}の一般項を求める。

計算に入る前に、漸化式の復習をしておこう。

復習

漸化式の基本の形は4つあって、
pn+1=pn+d
公差dの等差数列
pn+1=rpn
公比rの等比数列
pn+1=pn+f(n)
階差数列の一般項がf(n)
pn+1=αpn+β
特性方程式を使って解く
だった。


式A,式Bの漸化式を見ると、式Bは復習の基本の形の4番目にあたる。
なので、先に 式Bを解いて{bn}の一般項を求めよう。
定期テストなんかでよく見る作業なので、解説は簡単にしてどんどん行く。

式Bの小さな文字を全部消すと、
b=3b+1
これをbの方程式と考えて解くと、
2b=1
より
b=12

これを式Bの両辺から引いて、
bn+1+12=3bn+1+12=3(bn+12)

ここで
bn+12=En 式C
とおくと、式B'は
En+1=3En
となるけど、これは復習の漸化式の基本の形の2番目だ。
なので、{En}は公比3の等比数列だ。

式Cにn=1を代入すると、
E1=b1+12
b1=2なので、
E1=2+12=52 だ。

よって、{En}は、 初項が52 公比が3 の等比数列なので、一般項は
En=523n1
となる。

これを式Cに代入して、{bn}の一般項bnは、
bn+12=523n1
より
bn=523n112式D
である。

解答ケ:7


次は{an}だ。
式Dを式Aに代入すると、
an+1=an+2(523n112)+2
より
an+1=an+53n11+2=an+53n1+1 とかける。
この式の赤い部分はnの式、つまりf(n)なので、復習の漸化式の基本の形の3番目だ。
復習より、{an}の階差数列を{Fn}とすると、その一般項Fn
Fn=53n1+1
だ。

階差数列の利用について復習すると、

復習

数列{pn}の階差数列を{qn}とするとき、{pn}の一般項pnは、{qn}の一般項qnを使って、
pn=p1+k=1n1qk(2n)
と表せる。

だった。

よって、2nのとき、{an}の一般項anは、
an=a1+k=1n1Fk=2+k=1n1(53k1+1) とかける。

これを計算すると、

途中式 an=2+5k=1n13k1+k=1n11=2+513n113+(n1)=2+553n12+n1=53n12+n52+21 より
an=523n1+n32式E
である。

これにn=1を代入した場合
a1=5230+132=2 となるので、式Eはn=1のときにも成り立つ。

解答コ:9

(2)

(2)を解く前に、もう一度図Fを見てみよう。
図Fをもう一度載せておく。

図F
大学入学共通テスト2022年本試 数学ⅡB第4問 解説図F

図FのQnは、n回目に自転車が歩行者に追いついたときのグラフ上の点だった。
図Fより、Qn
y座標、つまり自宅からの距離は
y=2bn式F
x座標、つまり追いつく時刻は
x=an+bn式G
なので、これを使おう。


自宅からの距離がy=300までのことを問われているので、式Fより
2bn<300式H
という式ができる。
これを満たす最大の整数nが、の答えだ。

式Hに{bn}の一般項を代入して、
2(523n112)<300
より

途中式 53n11<300
53n1<301
3n1<3015
3n1<60.2式H'
とかける。

あとは、適当にnに値を代入だ。

n=4のとき、式H'は
341<60.2
より
27<60.2
となって、成り立つ。
n=5のとき、式H'は
351<60.2
より
81<60.2
となって、成り立たない。

よって、式Hを満たす最大の整数は
n=4
だから、4だ。

解答サ:4


また、このときの時刻xは、式Gに{an}{bn}の一般項とn=4を代入して、
x=(52341+432)+(5234112)

途中式 x=(5227+432)+(522712)=527+42
x=137
である。

解答シ:1, ス:3, セ:7