単元に分類できないトピック : 複数単元を含むもの 共通テスト数学の考え方

アドバイス

まず最初に知ってもらいたいのは、共通テストやセンター試験の数学は 数学のテストではないということです。

共通テストやセンター試験の数学では、難しい問題は出たことがありません。全然勉強して来なかったヒトは別として、曲がりなりにも受験勉強をした人には、これを解く程度の数学能力はついているはずです。

私が塾講師をしていたときには、毎年センター試験直後に 高校1・2年生相手にその年の問題の解説をしていました。小さな塾なので 生徒たちは特にレベルが高いわけではなく、普通の高校生なのですが、口をそろえて「先生、センター試験って簡単ね」って言います。そうです。センター数学は簡単なのです。同じことが、共通テスト数学についても言えます。受験生の皆さんは 彼らよりも1年以上長く勉強してきたのです。共通テストを解く能力は十分にあるはずです 。


しかし、本番で高得点を取るのが意外に大変なのも事実です。
理由は二つあるように思います。
ひとつめは、出題者が 上手に 簡単な問題を難しく見せていること。ふたつめは、最初に書いた「数学のテストではない」ことです。

ひとつめに関しては、過去問を解いたりして 慣れることで克服するしかありません。

ここでは、ふたつめについて説明します。


共通テストの数学は、多くの受験生にとって 数学のテストではなく注意力のテストです。だから、もし問題が解けなかったら、それは数学力の問題ではなく、何かを見落としていることがほとんどです。試験後に受験生が「この問題が分からなかったから教えて」と言って来ると逃げたくなります。解説すると、その生徒が「何でこんな簡単なことに気づかなかったんだろう」って凹むから。簡単すぎてむしろ気づかない、簡単すぎて解けないってことが起こるのも、このテストの特徴です。

じゃあ気づくためにはどうすればいいの?って話になるのですが、残念ながら「こうすれば絶対大丈夫」っていう方法を私は知りません。てか、そんな魔法のような方法は存在しないのだと思います。けれど、見落としを減らす方法ならあります。


第一に、このサイトのあちこちに書いてあることですが、問題を頭の中で考えるのではなく グラフや図や表をかいて 目で見て考えることです。さらに、グラフなら座標やグラフの式、図なら角度や長さなどが分かれば、そのつど書き込んでおくことです。そうすることで、何が分かっていて何が分かっていないかが整理されるのと同時に、情報が一か所にまとめられて 問題文や自分の計算のあちこちを探す必要がなくなります。


第二に、重要な情報はすぐに見つかるようにしておくことです。例えば問題文中に「以下、$a=\sqrt{3}$とする」と書かれていたとします。この$a=\sqrt{3}$というのは重要な情報で、この後何度も使うことが予想されます。そんなときは、$a=\sqrt{3}$にアンダーラインを引いたり、分かりやすいところに書き出したりしておくと有利です。

また、答えが出てマークシートにマークするとき、同時に問題のマスにも答えを書き込んでおくのがお薦めです。問題を解いている途中はマークだけして、最後に自己採点用にマークシートから答えを書き写す人がいますが、やめた方がよいと思います。数学の問題では、先に求めた答えを使って次の問題を解くことがほとんどです。つまり、自分で求めた答えも「重要な情報」にあたります。重要な情報は問題用紙を見れば分かるようにしておいた方が有利です。さらに、問題用紙にも答えが書き込んであると、1行ズレてマークしたなどのミスをしてしまった場合も修正しやすくなります。


第三に、これもこのサイトのあちこちに書きましたが、行き詰まったら上を見、下を見ることです。

問題文の行き詰まった所の上を見て これまでの流れを確認すると、出題者が何をさせようとしているのかが分かりやすくなります。それでもダメなときは、問題文の下、つまり先を見れば、この先どう進んでゆけばよいのか、そのためには今何が必要かの見当がつきやすくなります。

それでも突破口が見つからないときには、とりあえずその問題は保留にして 他の問題を解きましょう。その後でもう一度考えれば 簡単に解けることもあります。思考が切り替われば 違う角度から問題が見えて、今まで気づかなかったものに気づくこともあるのです。


共通テストはミスとの戦い・時間との競走です。行き詰まったりすると焦ります。でも、自分が苦しいときには みんな苦しんでいるのです。これはよく言われることですが、今までたくさんの受験生を見てきて 本当のことだと思っています。だから、焦る必要はないのです。

焦らず、慌てず、あきらめず。実力を十分に発揮できるように祈ります。