大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅠA 第3問 解説

(1)

この解説では、参加者を
A,B,
とし、参加者が持参したプレゼントを同じアルファベットの小文字で表すことにする。

例えば、
Aが持ってきたプレゼントをa
Bが持ってきたプレゼントをb
と表す。

また、
「自分が持参したプレゼントを受け取る」
は長いので、
「自分のをもらう」
と書くことにする。

(i)

2個のプレゼントを2人に配る場合の数は、
2!=2
通りある。

全部書き出すと、表Aの通り。

表A

表中の × をつけた部分は 自分のをもらう場合で、これが起こるとやり直しだ。

表Aより、

1回で交換会が終わる場合の数は、緑の部分の
1通り

解答ア:1

その確率は
12

解答イ:1, ウ:2

である。

(ii)

3個のプレゼントを3人に配る場合の数は
3!=6
通りある。

全部書き出すと、表Bの通り。

表B

表中の × をつけた部分は、自分のをもらう場合。

表Bより、

1回で交換会が終わる場合の数は、緑の部分の
2通り

解答エ:2

その確率は
26=13

解答オ:1, カ:3

である。

(iii)

4回以下で終了する場合を直接求めようとすると、 1回で終了する場合 2回で終了する場合 3回で終了する場合 4回で終了する場合 の確率をそれぞれ求めて たし算することになる。

これは面倒なので、余事象(4回で終了しない場合)の確率を求めて、1から引こう。

表Bより、3人の場合、1回の交換で終わらない確率は
46=23
である。

4回で交換会が終了しないためには、これが4回続けて起こればいいので、
(23)4

これを1から引いて、求める確率は
1(23)4=11681=811681=6581 となる。

解答キ:6, ク:5, ケ:8, コ:1

(2)

次は、交換会の参加者が4人の場合だ。

4個のプレゼントを4人に配る場合の数は、
4!=24
通りある。

全部書き出せないほど多くはないけれど、問題文中の「構想」通りに解いてみよう。


ちょうど1人が自分のをもらうとき

例として、Dが自分のをもらう場合を考えてみよう。

このとき、A,B,Cの3人は自分のをもらわないので、この3人の受け取りかたは、表Bの緑の部分の2通り。

なので、Dだけが自分のをもらう場合は
2式A
通りある。

同様に、Aだけが自分のをもらう場合も、Bだけが自分のをもらう場合も2通りある。

自分のをもらう人の選ばれ方は
4C1=4式B
通りあるので、ちょうど1人が自分のをもらう場合の数は、式Aと式Bをかけて
4×2=8
通りある。

解答サ:8

ちょうど2人が自分のをもらうとき

ちょうど1人が自分のをもらうときと同様に考えよう。

例として、C,Dが自分のをもらう場合を考える。

このとき、A,Bの2人は自分のをもらわないので、この3人の受け取りかたは、表Aの緑の部分の1通り。

なので、C,Dだけが自分のをもらう場合は
2式C
通りある。

自分のをもらうのは、C,Dでなくてもいい。
自分のをもらう人の選ばれ方は
4C2=6式D
通りあるので、ちょうど2人が自分のをもらう場合の数は、式Cと式Dをかけて
6×1=6
通りある。

解答シ:6

ちょうど3人が自分のをもらうとき

このとき、1人だけ他の人が持ってきたプレゼントを受け取ることになるけど、これは不可能。
なので、
0
通り。

4人全員が自分のをもらうとき

考えるまでもなく、


1式E
通り。


以上より、少なくとも1人が自分のをもらう場合の数、つまり 1回で交換会が終了しない場合の数は
++式E=8+6+1=15 通りある。

解答ス:1, セ:5

最初に考えたように、4個のプレゼントを4人に配る場合の数は
4!=24
通り。

なので、4人全員が自分のをもらわない場合の数、つまり 1回で交換会が終了する場合の数は
2415=9式F
通り。

その確率は、式Fを4!で割って、
924=38
である。

解答ソ:3, タ:8

(3)

今度は5人だ。
4人のときと同様に考えてみる。
つまり、自分のをもらう人数によって場合分けだ。


ちょうど1人が自分のをもらうとき

自分のをもらう人の選ばれ方は
5C1=5
通り。

他の4人全員が自分のをもらわない場合の数は、(2)で考えた式Fと同じ
9
通り。

なので、ちょうど1人が自分のをもらう場合の数は
5×9=45式G
通りある。

ちょうど2人が自分のをもらうとき

自分のをもらう人の選ばれ方は
5C2=10
通り。

他の3人全員が自分のをもらわない場合の数は、表Bの緑の部分の
2
通り。

なので、ちょうど2人が自分のをもらう場合の数は
10×2=20式H
通りある。

ちょうど3人が自分のをもらうとき

自分のをもらう人の選ばれ方は
5C3=5C2=10
通り。

他の2人全員が自分のをもらわない場合の数は、表Aの緑の部分の
1
通り。

なので、ちょうど3人が自分のをもらう場合の数は
10×1=10式I
通りある。

ちょうど4人が自分のをもらうとき

これは不可能なので、
0
通り。

5人全員が自分のをもらうとき

考えるまでもなく
1式J
通り。

以上より、少なくとも1人が自分のをもらう場合の数は
式G+式H+式I+式J=45+20+10+1
=76
通りある。

また、5個のプレゼントを5人に配る場合の数は
5!
通り。


よって、5人全員が自分のをもらわない場合の数、つまり 1回で交換会が終了する場合の数は
5!76=44式K
通り。

その確率は、式Kを5!で割って、
445!=441154321=1130 である。

解答チ:1, ツ:1, テ:3, ト:0

(4)

ここで、条件付き確率の復習をしておこう。
多くの参考書には

復習

事象Aが起こる確率をP(A)、事象Aと事象Bの両方が起こる確率P(AB)をとするとき、
Aが起こったときにBが起こる条件付き確率PA(B)は、
PA(B)=P(AB)P(A)式L

と書いてあると思う。

式Lを公式だと思って機械的に当てはめてもいいんだけど、せっかくだからちょっと違った解き方をしよう。

条件付き確率の意味は、

復習

事象Aが起こったときに事象Bが起こる条件付き確率PA(B)とは、Aが起こった場合を全事象と考えたときに Bが起こる確率のことである。

なので、PA(B)
PA(B)=ABの両方が起こる場合の数Aが起こる場合の数
式M
とかける。

式Lと式Mは同じ式なんだけど、その辺の説明はここでは省略する。

この問題では、
復習の事象Aは、
A,B,C,Dが自分のをもらわない場合
復習の事象Bは、
その回で交換会が終わる場合、
つまり5人全員が自分のをもらわない場合
にあたる。

なので、求める条件付き確率をPとすると、式Mより P=5人全員が自分のをもらわない場合の数A,B,C,Dが自分のをもらわない場合の数 式N
と表せる。

というわけで、式Nを使って解いてみよう。


式Nの分子は、(3)の式Kで求めた
44式K
通り。

式Nの分母の
「A,B,C,Dが自分のをもらわない場合」
には、
Eも自分のをもらわないパターンA Eは自分のをもらうパターンB の2つのパターンが存在する。

パターンAは、全員が自分のをもらわない場合の数なので、さっきの式Kの
44式K
通り。

パターンBは、4人が自分のをもらわない場合の数なので、(2)の式Fの
9式F
通り。

よって、式Nの分母は、式Kと式Fをたした
44+9=53
通りとなる。

以上を式Nに代入して、P、つまり 求める条件付き確率は
P=4453
である。

解答ナ:4, ニ:4, ヌ:5, ネ:3