大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説
(1)
となる。
まず、簡単な式Bから。
式Bは公式通りの形で
と因数分解できる。
なので、式Bの解は
次に、式A。
式Aを見ると、
なので、判別式は正だ。
詳しく
二次式の判別式は
だけど、この式の緑の部分は必ず
なので、赤い部分が正のときは、判別式は必ず正になる。
よって、
さらに、式Bの解の
は、式Aの解じゃない。
よって、式Aの解は
以上より、この場合の
解答ア:3
アドバイス
解の個数が分かればいいので、式Aの解を求める必要はない。
となる。
式Cは
と因数分解できるので、解は
式Dは
と因数分解できるので、解は
以上より、この場合の
解答イ:2
アドバイス
今回も方程式の解自体は必要ない。けれど、どちらの方程式も簡単に因数分解できるので、解を求めて解いた方が早い。
(2)
となる。
花子さんと太郎さんの会話通り ①'と②'の共通解を
とし、ふたつの式を辺々引くと
| | | | ||
| | | | | |
| | | |
より
とかける。
これを因数分解すると
となる。
この式が成り立つのは
のときなので、
のときだ。
ひとつの二次方程式の解の数は 最大でも2つ。
より
このとき、①',②'は
となる。
式Fは
と因数分解できるので、解は
式Gは
と因数分解できるので、解は
よって、
以上、花子さんと太郎さんの会話に従って 両方の方程式がそれぞれ異なる2つの実数解をもち、 共通の解が1つある 場合を考えた。
けれど、
(1)の
つまり、
①',②'の一方が重解,もう一方が異なる2つの実数解をもち、
共通の解がない
ようなパターンである。
これを考えてみよう。
①'が重解をもつとき
が重解をもつとき、
このとき、②'は
となるけど、この式は
判別式は正になるから、②'は異なる2つの実数解をもつ。
また、この式は
以上より、
②'が重解をもつとき
だけど、定数項が負なので、
の形に因数分解されることはない。
なので、②'が重解を持つことはないから、この場合は不適。
以上より、
のときである。
解答ウ:5, エ:9
(3)
グラフの平行移動の復習から。
復習
関数
グラフは
(図中の緑の移動)
グラフは
(図中の紫の移動)
復習が終わったところで、まず③のグラフだ。
③は
と変形できる。
復習より、これは
のグラフを、
なので、
よって、
以上より、正しいグラフは、選択肢の
⑥
である。
解答オ:6
次は、④のグラフ。
③と同じように解いてもいいんだけど、せっかくだから違う方法をやってみよう。
復習
2次関数
の放物線の軸(頂点の
とかける。
復習より、④の放物線の軸は
とかける。
なので、
よって、
選択肢のうちの
①③⑤
のどれかが正解
であることが分かる。
さらに、式Hを見ると
なので、
また、④の定数項は
なので、
で不変である。
よって、点線と実線のふたつのグラフは必ず
で交わる。
これは
つまり、
以上より、選択肢の①③⑤のうち
点線と実線のふたつのグラフの交点が、点線の放物線の軸よりも右
にあるグラフが正解だ。
よって、正しいグラフは
①
である。
解答カ:1
アドバイス
④については、この方法だと ほとんど計算しなくても答えが分かるし、何よりも早い。
省略せずに説明したので、解説は長かったけど。
でも、なかなか思いつかないかも。
これを ③と同じように解くと 次の別解のようになる。
別解
④を平方完成すると、
より
となる。
これは、
のグラフを
平行移動したもの。
なので、
に移動してゆく。
よって、
以上より、正しいグラフは、選択肢の
①
である。
解答カ:1
別解
お勧めはしないけど、力ずくで解くこともできる。
まず、③から。
を平方完成すると
なので、点線の放物線の頂点は
次に
(2)で解いたように、
の重解をもった。
つまり、このとき、③の放物線は
なので、実線の放物線の頂点は
以上より、実線の放物線は 点線の放物線の真上方向にあることが分かる。
これに当てはまるグラフは、選択肢の
⑥
である。
解答オ:6
次に、④だ。
を平方完成すると
なので、点線の放物線の頂点は
次に
今回は、とりあえず
にしてみる
④に
を平方完成すると、
なので、実線の放物線の頂点は
以上より、実線の放物線は 点線の放物線の左下方向にあることが分かる。
これに当てはまるグラフは、選択肢の
①
である。
解答カ:1
(4)
必要条件と十分条件の問題なので、集合
今回は
集合
(2)で解いたように、
の解は、
なので、
のグラフは、
図Aのオレンジの放物線
図Aの青い放物線
になる。
よって、
のとき、③のグラフは図Aの緑の範囲にある。
ただし、オレンジの線と青い線は含まない。
例えば、図中の黒い放物線のようなグラフになる。
以上より、このときの集合
を数直線で表すと図Bができる。
集合
(2)で求めたように、
の解は、
なので、このとき、
のグラフは図Cのオレンジの放物線になる。
また、(3)で考えたように、④のグラフは
よって、
のとき、④のグラフは図Cの緑の範囲にある。
ただし、オレンジの線と青い線は含まない。
例えば、図中の黒い放物線のようなグラフになる。
以上より、このときの集合
を数直線で表すと図Dができる。
図Bと図Dができたら勝ったも同然。
でも、先に進む前に、必要条件・十分条件と集合の復習をしておこう。
復習
図Eのような集合があった場合、
つまり、片方の集合がもう片方に含まれるとき、
大きい集合は小さい集合の必要条件
小さい集合は大きい集合の十分条件
である。
「大は小の必要条件・小は大の十分条件。」
呪文のように憶えておこう。
図Fのように ふたつの集合が等しい場合は、必要十分条件となる。
また、図Gのように、片方の集合がもう片方の集合を含むような関係でない場合には、必要条件でも十分条件でもない。
復習の考え方で解く。
図Bと図Dをひとつの数直線にして、集合
図Hを見ると、集合
なので、
解答キ:3
また、集合
なので、
解答ク:1
アドバイス
必要条件と十分条件の問題は、
なので、必要条件
みたいな解き方をすることが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。
なので、図や表で表せるときは、集合の大小で考えることをお勧めする。