大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学ⅠA 第4問 解説

(1)

$5^{4}$を$2^{4}$で割ったときの余りが$1$なので、このときの商を$A$とすると、
$5^{4}\div 2^{4}=A\ldots 1$
より
$5^{4}=2^{4}A+1$
$5^{4}-2^{4}A=1$
とかける。

この式と 問題文中の①式を見比べると、①式は
$\left\{\begin{array}{l}
x=1\\
y=A
\end{array}\right.$
で成り立つことが分かる。

$1$は最小の正の整数なので、
$x$が正の整数で最小になるのは
$x=1$
のとき。

解答ア:1

このときの$y$は、
$5^{4}-2^{4}y=1$
より
$2^{4}y=5^{4}-1$
$y=\displaystyle \frac{5^{4}-1}{2^{4}}$
$\phantom{ y\displaystyle } \displaystyle =\frac{624}{2^{4}}$
$\phantom{ y } =39$
である。

解答イ:3, ウ:9


①式の整数解がひとつ見つかったので、あとは定期テストなんかでよく見るお決まりの作業だ。

イウと①式より
$5^{4}\cdot 1-2^{4}\cdot 39=1$式A
という式がつくれる。

①式から式Aを辺々引くと

$5^{4}x$ $-2^{4}y$ $=1$
$-)$ $5^{4}\cdot 1$ $-2^{4}\cdot 39$ $=1$
$5^{4}(x-1)$ $-2^{4}(y-39)$ $=0$

となるから、
$5^{4}(x-1)=2^{4}(y-39)$
と表せる。

この式が成り立つためには、$5^{4}$と$2^{4}$は互いに素なので、$n$を整数として
$\left\{\begin{array}{l} x-1=2^{4}n\\ y-39=5^{4}n \end{array}\right.$
より

$x=16n+1$式B
$y=625n+39$式C

でなければならない。

問われているのは、この$x$が2桁の正の整数のとき。
つまり、
$10\leqq x$
のとき。

これを$n$の範囲で表すと、式Bより
$10\leqq 16n+1$

途中式 $9\leqq 16n$
$\displaystyle \frac{9}{16}\leqq n$
となるけど、$n$は整数なので、$x$が2桁の正の整数になるのは
$1\leqq n$式D
のとき。

式Bを見ると、$n$が大きくなるにつれて$x$も大きくなる。
なので、$n$が最小のとき、$x$も最小になる。

よって、式Dを満たす最小の$n$である
$n=1$
のときの$x$,$y$が答えだ。

答えは、$n=1$を式B,式Cに代入して、
$x=16\cdot 1+1$
$\phantom{ x } =17$
$y=625\cdot 1+39$
$\phantom{ y } =664$
である。

解答エ:1, オ:7, カ:6, キ:6, ク:4

(2)

$625=5^{4}$
なので、
$625^{2}=(5^{4})^{2}$
$\phantom{ 625^{2} } =5^{8}$
である。

解答ケ:8

$m=$イウ
$\phantom{ m } =39$
のとき、式Aより
$5^{4}\cdot 1-2^{4}m=1$
$625=2^{4}m+1$
とかける。

この両辺を2乗すると、
$625^{2}=(2^{4}m+1)^{2}$
$\phantom{ 625^{2} } =2^{8}m^{2}+2\cdot 2^{4}m+1^{2}$
$\phantom{ 625^{2} } =2^{8}m^{2}+2^{5}m+1$式E
となって、問題文と同じ式ができる。

解答コ:5

(3)

問題文にあるように、
②の解の$x$について、$5^{5}x-625^{2}$は$5^{5}\cdot 2^{5}$の倍数 である。

詳しく

共通テスト本番では、問題文の
「$5^{5}x-625^{2}$は$5^{5}\cdot 2^{5}$の倍数である」
をそのまま使って、理由を考える必要はない。
時間がもったいないから。
理由を説明すると、以下のようになる。

$x$は整数だから、$5^{5}x$は$5^{5}$の倍数 $625^{2}=5^{8}$は$5^{5}$の倍数 なので、$5^{5}x-625^{2}$は$5^{5}$の倍数である。

②式を変形すると
$5^{5}x=2^5y+1$
となり、$y$は整数だから、
$5^{5}x$は$2^{5}$の倍数$+1$
式Eを変形すると
$625^{2}=2^{5}(2^{3}m^{2}+m)+1$
となり、$m$は整数だから、
$625^{2}$は$2^{5}$の倍数$+1$
よって、
$5^{5}x-625^{2}=(2^{5}$の倍数$+1)-(2^{5}$の倍数$+1)$
$\phantom{5^{5}x-625^{2}}=2^{5}$の倍数$-2^{5}$の倍数
なので、$5^{5}x-625^{2}$は$2^{5}$の倍数である。

以上より、
$5^{5}x-625^{2}$は$5^{5}\cdot 2^{5}$の倍数である

よって、$\ell$を整数として
$ 5^{5}x-625^{2}=5^{5}\cdot 2^{5}\ell$
とかける。

これを変形すると、$x$は
$ 5^{5}x-5^{8}=5^{5}\cdot 2^{5}\ell$
$ x-5^{3}=2^{5}\ell$
$x=2^{5}\ell+5^{3}$式F
と表せる

問われているのは、この$x$が3桁の正の整数のとき。
つまり
$100\leqq x \lt 1000$
のとき。

これを$\ell$の範囲で表すと、式Fより
$100\leqq 2^{5}\ell+5^{3} \textcolor{cyan}{\lt 1000}$式G
とかける。

式Fを見ると、$\ell$が大きくなるにつれて$x$も大きくなる。
つまり、$x$が最小になるのは$\ell$が最小のときだ。
なので、式Gの青い部分の計算は省略する

式Gを変形すると
$ 100-5^{3}\leqq 2^{5}\ell$
$-25\leqq 32\ell$
$-\displaystyle \frac{25}{32}\leqq\ell$
だけど、$\ell$は整数なので、
$ 0\leqq\ell$
となる。

これを満たす最小の$\ell$である
$\ell=0$
のときの$x$,$y$が答えだ。


$x$の答えは、式Fに$\ell=0$を代入して、
$x=5^{3}$
$\phantom{ x } =125$

解答サ:1, シ:2, ス:5

$y$の答えは、$x=5^{3}$を②式に代入して、
$5^{5}\cdot 5^{3}-2^{5}y=1$
$5^{8}-2^{5}y=1$

これを解いて、
$2^{5}y=5^{8}-1$
$y=\displaystyle \frac{5^{8}-1}{2^{5}}$式H

途中式 $\phantom{ y\displaystyle } \displaystyle =\frac{(5^{4}+1)(5^{4}-1)}{2^{5}}$
$\phantom{ y\displaystyle } \displaystyle =\frac{(625+1)(625-1)}{2^{5}}$
$\phantom{ y\displaystyle } \displaystyle =\frac{\cancel{624}^{39} \cdot \cancel{626}^{313}}{\cancel{2^{5}}}$
$\phantom{ y } =39\cdot 313$
$\phantom{ y } =12207$
である。

解答セ:1, ソ:2, タ:2, チ:0, ツ:7

(4)

ここで、数字が$11^{4}$と$2^{4}$に変わった。
これまで$5^{4}$と$2^{4}$を使って解いてきたのと同じ作業を 違う数字でしなさい、という問題だ。
なので、(1)のはじめから、$11^{4}$と$2^{4}$でやってみよう。

$11^{4}$を$2^{4}$で割ったときの余りが$1$なので、このときの商を$B$とすると、
$11^{4}\div 2^{4}=B\ldots 1$
より
$11^{4}=2^{4}B+1$
とかける。

この式の両辺を2乗すると、
$(11^{4})^{2}=(2^{4}B+1)^{2}$
$11^{8}=2^{8}B^{2}+2\cdot 2^{4}B+1^{2}$
$\phantom{ 11^{8} } =2^{8}B^{2}+2^{5}B+1$
となる。

なので、$11^{8}$を$2^{5}$で割った余りは
$1$
であることが分かる。

また、問題の不定方程式
$11^{5}x-2^{5}y=1$
より、$11^{5}x$を$2^{5}$で割った余りは
$1$
であるはずだ。

よって、(3)で考えたのと同様に、
$11^{5}x-11^{8}$は$11^{5}\cdot 2^{5}$の倍数 であることが分かる。

なので、$k$を整数として、問題の不定方程式の解$x$は
$11^{5}x-11^{8}=11^{5}\cdot 2^{5}k$
より
$x-11^{3}=2^{5}k$
$x=2^{5}k+11^{3}$式I
と表せる。


いま問われているのは、この$x$が正の整数のとき。
つまり
$1\leqq x$
のとき。

これを$k$の範囲で表すと、式Iより
$1\leqq 2^{5}k+11^{3}$

途中式 $1-11^{3}\leqq 32k$
$-1330\leqq 32k$
$-\displaystyle \frac{1330}{32}\leqq k$
となる。
ここで、$k$は整数で、
$-\displaystyle \frac{1330}{32}\doteqdot-41.5\ldots$
くらいの数なので、$x$が正の整数になるのは
$-41\leqq k$式J
のとき。

式Iを見ると、$k$が大きくなるにつれて$x$も大きくなる。
なので、$k$が最小のとき、$x$も最小だ。

よって、式Jを満たす最小の$k$である
$k=-41$
のときの$x$,$y$が答えだ。


$x$の答えは、式Iに$k=-41$を代入して、
$x=2^{5}(-41)+11^{3}$
$\phantom{ x } =32(-41)+1331$
$\phantom{ x } =-1312+1331$
$\phantom{ x } =19$
である。

解答テ:1, ト:9

このときの$y$は、問題文中の不定方程式
$11^{5}x-2^{5}y=1$

$x=19$
を代入して、
$11^{5}\cdot 19-2^{5}y=1$
より
$2^{5}y=11^{5}\cdot 19-1$
$y=\displaystyle \frac{11^{5}\cdot 19-1}{2^{5}}$
とかける。

こんな計算はしたくないけど、仕方がない。

右辺の分子を展開して、
$y=\displaystyle \frac{161051\times 19-1}{2^{5}}$
$\phantom{ y\displaystyle } \displaystyle =\frac{3059968}{2^{5}}$
$\phantom{ y } =95624$
である。

解答ナ:9, ニ:5, ヌ:6, ネ:2, ノ:4