大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 本試 数学Ⅰ 第3問 [1] 解説
(1)
$y=(ax+b)(cx+d)$式A
のグラフを$C$とする。
最初に$C$の概形を考えておこう。
式Aを展開すると
$y=acx^{2}+(ad+cb)x+bd$
となる。
よって、$C$は
$ac \gt 0$,つまり$a$と$c$が同符号のとき、
下に凸の放物線
$ac \lt 0$,つまり$a$と$c$が異符号のとき、
上に凸の放物線
である。
また、問題より$a\neq 0$,$c\neq 0$なので、 $ac=0$にはならない $s$,$t$は必ず存在する ことになる。
これを頭に入れて問題を解こう。
(i)
$s=-1$,$t=5$のとき、あのグラフは図Aのようになる。
このとき
$\left\{\begin{array}{l}
a \gt 0\\
c \lt 0
\end{array}\right.$
より
$ac \lt 0$
なので、
$C$は上に凸の放物線
である。
また、
$x=-1$のとき $ax+b=0$
$x=5$のとき $cx+d=0$
なので、$x=-1$,$5$のとき$(ax+b)(cx+d)=0$だ。
よって、
$C$は$x$軸と$x=-1$,$5$で交わる
ことが分かる。
以上より、このときの$C$は図Bのグラフだ。
$x$の定義域はすべての実数なので、図Bのグラフは赤い点で最大となる。
赤い点の$x$座標は$-1$と$5$の中点なので、
$\displaystyle \frac{-1+5}{2}=2$
である。
解答ア:2, イ:0
(ii)
$s=6$,$t=8$のとき、いのグラフは図Cのようになる。
(i)と同様に考えると、このときの$C$は
$ac \gt 0$なので下に凸
$x=6$,$8$で$x$軸と交わる
ような放物線だから、図Dのグラフだ。
図Bのときと同様に考えると、図Dのグラフは
$x=\displaystyle \frac{6+8}{2}$
$\phantom{ x } =7$
で最小値をとる。
解答ウ:7, エ:1
これまでの作業から、$C$は
$x$軸と異なる2点$(s,0)$,$(t,0)$で交わる
ことが分かる。
また、
$a$と$c$が同符号のとき 最小値
$a$と$c$が異符号のとき 最大値
をもち、そのときの$x$座標は
$\displaystyle \frac{s+t}{2}$式B
である。
(2)
あの場合、$a$と$c$は異符号なので最大値をもつ。
最大値をとるときの$x$の値は、式Bより
$x=\displaystyle \frac{s+t}{2}$
だけど、いま$s=-1$なので、この式は
$x=\displaystyle \frac{-1+t}{2}$
とかける。
これが
$0 \lt x \lt 10$
の範囲にあればよいので、このときの$t$の範囲は
$0 \lt \displaystyle \frac{-1+t}{2} \lt 10$
と表せる。
これを解く。
各辺に$2$をかけて、
$0 \lt -1+t \lt 20$
各辺に$1$をたして、求める$t$の範囲は
$1 \lt t \lt 21$
である。
解答オ:1, カ:2, キ:1
(3)
(1)より、$y$に最大値があるのは
$a$と$c$が異符号
の場合。
これに当てはまるのは、選択肢のグラフのうち
あ
だけである。
解答ク:0
(1)より、$C$は$x$軸と異なる2点で交わる。
なので、$C$が最小値をもつ場合、つまり下に凸の放物線の場合、頂点は$x$軸より下に存在するから 最小値は負だ。
よって、最小値が$0$以上になることはない。
解答ケ:7
い~おの場合、$a$と$c$が同符号なので最小値をもつ。
い~おそれぞれの$x$軸上に$x=s$,$x=t$となる点を書き込むと、図Eができる。
式Bより、最小値をとる$x$は$s$,$t$の真ん中。
これが$x \gt 0$の範囲にあるのは、図Eの4つのグラフのうち
いえ
の2つである。
解答コ:3