大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅡB 第4問 解説

(1)

まず、漸化式
{a1=23an+1=an3式A
で表された数列{an}の一般項を求める。

漸化式の基本の形の復習をしておくと、

復習

pn+1=pn+d
{pn}は公差dの等差数列
pn+1=rpn
{pn}は公比rの等比数列
pn+1=pn+f(n)
{pn}の階差数列の一般項がf(n)
pn+1=αpn+β
(pn+1γ)=α(pnγ)の形にして解く

だった。

式Aの漸化式は復習の1番目の形で、
{初項が23公差が3
の等差数列だ。

なので、{an}の一般項an
an=23+(n1)(3)
より
an=3n+26式B
となる。

解答ア:-, イ:3, ウ:2, エ:6

anが負になるnは、式Bより
3n+26<0
とかける。

これを解くと
3n>26
n>263
だけど、nは自然数なので
n9
だ。

よって、an<0である最小の自然数n
n=9
であることが分かる。

解答オ:9

また、式Aより、すべての自然数nについて
an+1<an式C
が成り立つ。

したがって、{an}はつねに減少する。

解答カ:1


ここで、Sn
Sn=k=1nak
とおく。
つまり、{an}の初項から第n項までの和をSnとする。

より、{an}
つねに減少し、n=9のときに初めて負になる ことが分かっている。
表にすると、表Aのような状態だ。

表A
n 1 2 8 9 10
an

和は、値が正の項をたすと増加し、負の項をたすと減少する。
したがって、表Aより、{an}の和Sn
n=8まで増加 n=9から減少 する。
つまり、増加することも減少することもある。

解答キ:2

また、{an}
n9のとき、an<0 である。

解答ク:0


さらに、bn=1anとして、n9の範囲での{bn}の増減を考える。

より、この範囲では an<0 だから、
an+1an>0 である。

なので、式Cの両辺を an+1an で割っても、不等号の向きは変わらない。

よって、
an+1an+1an<anan+1an
より
1an<1an+1
となるから、
bn<bn+1
であることが分かる。

以上より、n9の範囲で、
bnはつねに増加する といえる。

解答ケ:0

(2)

今度は
c1=30cn+1=50cn800cn10
を考える。

dn=1cn20式D
とおくと、

d1=1c120
d1=110

解答コ:1, サ:0

式Dを変形すると、dn0なので、
cn20=1dn
より
cn=1dn+20

解答シ:2, ス:0

となる。


①式を{cn}の漸化式に代入すると
1dn+1+20=50(1dn+20)800(1dn+20)10
より
1dn+1=501dn+10008001dn+201020
1dn+1=501dn+2001dn+1020
と表せる。

これを変形する。

dn0なので、右辺の分母分子にdnをかけて、
1dn+1=50+200dn1+10dn20

右辺を通分して
1dn+1=50+200dn1+10dn20(1+10dn)1+10dn
1dn+1=50+200dn20200dn1+10dn
1dn+1=301+10dn

この式の両辺の逆数をとると
dn+11=1+10dn30
より
dn+1=13dn+130式E
とかける。

解答セ:3, ソ:3, タ:0


式Eは、復習の漸化式の基本の形の4つめだ。
なので、お約束の解き方で解いてしまおう。

式Eを
d=13d+130
と書きかえて、dについて解くと、

途中式 両辺を30倍して、
30d=10d+1
20d=1
d=120
となる。

この120を使って、式Eは
dn+1120=13(dn120)式E'
と変形できる。

ここで、
en=dn120式F
とおくと、

コサより
e1=110120
e1=120

式E'はen+1=13enとなるので、復習から、
{en}は公比が13の等比数列

である。

よって、{en}の一般項en
en=120(13)n1
とかける。

これを式Fに代入して、
dn120=120(13)n1
より
dn=120(13)n1+120式G
となる。

解答チ:2, ツ:0, テ:3, ト:2, ナ:0


式Gの赤い部分を考えると、

正の値を何乗しても正なので
(13)n1>0 より
120(13)n1+120>120 だから、
dn>120
である

解答ニ:2

nが増加すると、式Gの赤い部分はつねに減少する。
よって、それに120をたした{dn}もつねに減少する

解答ヌ:1

ことが分かる。


最後は{cn}だけど、
cn=1dn+20
だった。

この式の赤い部分を考えると、より、

dn>120
なので
20dn>1
より
20>1dn

{dn}は正の値でつねに減少するから
dn>dn+1
より
dndn+1dn>dn+1dn+1dn
1dn+1>1dn
となるので、
1dnはつねに増加する

といえる。

したがって、1dn20をたしたcn
40>cnで、つねに増加する ことが分かる。

これにあてはまるのは、選択肢のうち

しかない。

解答ネ:4