大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学Ⅰ 第4問 [2] 解説

(1)

まず、相関係数と散布図の復習から。

復習

以下の散布図は、横軸・縦軸ともに矢印方向が大きい値とする。

大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第4問[2] 復習図

左端の散布図のように すべての点が右上がりの直線上に分布していれば、相関係数は+1 右端の図のように 右下がりの直線上に分布していれば、相関係数は1 点の分布が直線的な配置から乱れるにつれて、相関係数は0に近づく

ただし、点が直線的に分布していても、次の図のように縦軸や横軸に平行なときには、相関係数は0に近い値になる。

大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第4問[2] 復習図

(誤解しないでほしいのだけど、分布の傾きが0に近づけば相関係数も0に近づくという意味ではない。このへんについてはページをつくって詳しく解説したいけど、当分先の話になるかも。)

特に、下の図のように点が完全に軸に平行に分布しているとき、相関係数は計算できないため存在しない。

大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第4問[2] 復習図

問題文中の図2を見ると、データZの分布は全然直線的じゃない。

なので、相関係数は、選択肢のうちの
0.0 だと考えられる。

解答ク:2

(2)

W

xの平均値x
x=5a5
=a

yの平均値y
y=5a5
=a

である。

解答ケ:3


ここで、分散,標準偏差,共分散,相関係数の復習をしておこう。

分散の復習

大きさnのデータ{x1,x2,,xn}があり、
データの平均値をx データの各値の2乗の平均値をx2 とするとき、分散s2
s2=1n{(x1x)2+(x2x)2++(xnx)2}=x2(x)2 とかける。

このふたつの式は問題によって使い分けるので、両方憶えておこう。

標準偏差の復習

標準偏差は、分散の正の平方根なので、
分散をs2とすると、標準偏差s
s=s2
である。

共分散の復習

データ{x1,x2,,xn}{y1,y2,,yn}があり、
それぞれの平均値をxy とするとき、{x}{y}の共分散sxy
sxy=1n{(x1x)(y1y)+(x2x)(y2y)++(xnx)(yny)} である。

相関係数の復習

データ{x1,x2,,xn}{y1,y2,,yn}があり、
それぞれの標準偏差をsxsy {x}{y}の共分散をsxy とするとき、{x}{y}の相関係数rxy
rxy=sxysxsy
である。


復習が終わったところで、問題を解こう。

表1の計算表の空欄は簡単に埋められるから、ぱぱっと表1を完成させてしまおう。
すると、表Aができる。

表A
x y xx yy (xx)(yy)
1 1 1a 1a (1a)2=a2+2a+1
1 1 1a 1a (1a)(1a)=a21
1 1 1a 1a (1a)(1a)=a21
1 1 1a 1a (1a)2=a22a+1
5a 5a 4a 4a (4a)2=16a2

復習より、xyの共分散sxyは 表Aの黄色い部分の平均値なので、

sxy=15{(a2+2a+1)+2(a21)
+(a22a+1)+(16a2)}
sxy=1520a2=4a2

である。

解答コ:0


また、復習より、表Aの青い部分の値を2乗して平均するとxの分散が求められる。
xの分散の正の平方根が xの標準偏差sxだ。
式で表すと
sx=xの分散
である。

同様に、表Aの緑の部分の値を2乗して平均するとyの分散になり、その正の平方根がyの標準偏差syだから、
sy=yの分散
となる。

なので、ここで問われている
sxsy=xの分散×yの分散式A
とかける。

ここで表Aを見ると、青い部分と緑の部分は同じ値の順番が変わっているだけだ。
なので
xの分散=yの分散
といえる。

よって、式Aは
sxsy=xの分散×xの分散
=xの分散
となるから、xの分散を求めれば、それがだ。

あとは、計算。

xの分散=15{(1a)2+(1a)2
+(1a)2+(1a)2+(4a)2}

これを計算すると

途中式 xの分散=15{2(1a)2+2(1a)2+(4a)2}=15{4(1+a2)+(4a)2}=45(1+a2+4a2)=45(1+5a2) より
xの分散=4a2+45
であることが分かる。

よって、求めるsxsy
sxsy=4a2+45
となる。

解答サ:2


さらに、復習より、相関係数をrxyとすると、
rxy=sxysxsy
なので、これにを代入して
rxy=4a24a2+45
と表せる。

これが0.95以上になるから、
4a24a2+450.95
より
4a20.95(4a2+45)
とかける。

これを計算すると

途中式 両辺を4で割って100倍して、
100a295(a2+15)
100a295a29515
5a2955
a29552
なので、求めるaの範囲は
a955955a
である。

解答シ:3