大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説
(1)
$1\pm\sqrt{2}i$が解であり、$x^{2}$の係数が$1$の二次方程式は
$\left\{x-\left(1+\sqrt{2}i\right)\right\}\left\{x-\left(1-\sqrt{2}i\right)\right\}=0$
とかける。
これを展開して、求める方程式は
$x^{2}-2x+3=0$
となる。
アドバイス
解と係数の関係を使っても、同様の計算になる。
解答ア:2, イ:3
なので、
$S(x)=x^{2}-2x+3$式A
とおくと、
$S\left(1\pm\sqrt{2}i\right)=0$式B
である。
また、
割られる数$\div$割る数$=$商$\ldots$余り
は
割られる数$=$割る数$\times$商$+$余り
かきなおせる。
よって、
$P(x)\div S(x)=Q(x)\ldots R(x)$
は
$P(x)=S(x)Q(x)+R(x)$式C
とかける。
解答ウ:3
$R(x)$は$x$の整式を$x$の二次式で割った余りなので、$x$の一次以下の式だ。
なので、$m$,$n$を実数として
$R(x)=mx+n$式D
とかける。
いま、
問題文より、$P(x)=0$は$1+\sqrt{2}i$を解にもつので、
$P\left(1+\sqrt{2}i\right)=0$
式Bより
$S\left(1+\sqrt{2}i\right)=0$
だ。
なので、式Cに$x=1+\sqrt{2}i$を代入すると、
$0 \times Q\left(1+\sqrt{2}i\right)+R\left(1+\sqrt{2}i\right)=0$
より
$R\left(1+\sqrt{2}i\right)=0$式E
となる。
解答エ:0
したがって、このとき、式D,式Eより
$m\left(1+\sqrt{2}i\right)+n=0$
$m+\sqrt{2}im+n=0$
$(m+n)+\sqrt{2}im=0$
と表せる。
実数と虚数の和が$0$になることはないので、この式が成り立つのは
$\left\{\begin{array}{l}
m+n=0\\
\sqrt{2}im=0
\end{array}\right.$
の場合しかない。
よって、このとき、
$\left\{\begin{array}{l}
m=0\\
n=0
\end{array}\right.$
であることが分かる。
解答オ:0, カ:0
これを式Dに代入すると
$$
\begin{align}
R(x)&=0x+0\\
&=0
\end{align}
$$
となる。
解答キ:3
以上より、式Cは
$P(x)=S(x)Q(x)$
であることが分かるけど、式Bより、$x=1-\sqrt{2}i$のとき、この式の右辺は$0$だ。
つまり
$P\left(1-\sqrt{2}i\right)=0$
なので、$1-\sqrt{2}i$も$P(x)=0$の解である。
(2)
$ P(x)=3x^{4}+2x^{3}+kx+\ell$
を
$S(x)=x^{2}-2x+3$式A
で割ると、
$3x^{2}$ | $+8x$ | $+7$ | ||||
$x^{2}-2x+3$ | $)$ | $3x^{4}$ | $+2x^{3}$ | $+kx$ | $+\ell$ | |
$3x^{4}$ | $-6x^{3}$ | $+9x^{2}$ | ||||
$8x^{3}$ | $-9x^{2}$ | $+kx$ | ||||
$8x^{3}$ | $-16x^{2}$ | $+24x$ | ||||
$7x^{2}$ | $+(k-24)x$ | $+\ell$ | ||||
$7x^{2}$ | $-14x$ | $+21$ | ||||
$(k-10)x$ | $+\ell-21$ |
より、
商$Q(x)$は
$Q(x)=3x^{2}+8x+7$
解答ク:3, ケ:8, コ:7
余り$R(x)$は
$R(x)=(k-10)x+\ell-21$
解答サ:1, シ:0, ス:2, セ:1
となる。
よって、このとき、$P(x)$は
$P(x)=S(x)Q(x)+R(x)$式F
$\phantom{ P(x) } =S(x)Q(x)+(k-10)x+\ell-21$
式F'
とかける。
問題文より、$P(x)=0$は$1+\sqrt{2}i$を解にもつ
式Bより、$S(x)=0$は$1+\sqrt{2}i$を解にもつ
から、式F'に$x=1+\sqrt{2}i$を代入すると
$0\times Q\left(1+\sqrt{2}i\right)+(k-10)\left(1+\sqrt{2}i\right)+\ell-21$
$\hspace{270px} =0$
より
$(k-10)\left(1+\sqrt{2}i\right)+\ell-21=0$
と表せる。
これを$i$について整理すると
$\sqrt{2}i(k-10)+\{(k-10)+(\ell-21)\}=0$
なので、この式が成り立つのは
$\left\{\begin{array}{l}
\sqrt{2}i(k-10)=0\\
(k-10)+(\ell-21)=0
\end{array}\right.$
の場合しかない。
よって、
$\left\{\begin{array}{l}
k=10\\
\ell=21
\end{array}\right.$
であることが分かる。
解答ソ:1, タ:0, チ:2, ツ:1
このときの$P(X)=0$の$x=1+\sqrt{2}i$以外の解を求める。
いま
$R(x)=0$
だから、式Fは
$P(x)=S(x)Q(x)$
とかける。
したがって、
$S(x)=0$の解と$Q(x)=0$の解を求めれば、それが$P(x)=0$の解だ。
(1)より、$S(x)=0$の解は
$x=1\pm\sqrt{2}i$
なので、求める解のひとつは
$x=1-\sqrt{2}i$
である。
解答テ:1, ト:2
$P(x)=0$の残りの解は、$Q(x)=0$の解だ。
クケコより
$Q(x)=3x^{2}+8x+7$
なので、$Q(x)=0$の解は、解の公式より
$x=\dfrac{-8\pm\sqrt{8^{2}-4\cdot 3\cdot 7}}{2\cdot 3}$
途中式
$$
\begin{align}
\phantom{ x } &=\dfrac{-8\pm\sqrt{2^{2}\cdot 4^{2}-4\cdot 3\cdot 7}}{2\cdot 3}\\
&=\dfrac{-8\pm 2\sqrt{4^{2}-3\cdot 7}}{2\cdot 3}\\
&=\dfrac{-4\pm\sqrt{-5}}{3}
\end{align}
$$
となるから、$P(x)$の残りの解も
$x =\dfrac{-4\pm\sqrt{5}i}{3}$
である。
解答ナ:4, ニ:5, ヌ:3