大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅡB 第2問 [1] 解説
(1)
図Aの厚紙の縦の長さを考えると、
$2x \lt 9$
より
$x \lt \dfrac{9}{2}$
でなければならない。
これと
$0 \lt x$
をあわせて、$x$の範囲は
$0 \lt x \lt \dfrac{9}{2}$式A
とかける。
解答ア:9, イ:2
この厚紙を組み立てた箱は、
底面(青い四角形)の
縦の長さが$9-2x$
横の長さが$24-2x$
高さが$x$
になる。
なので、体積$V$は
$V=(9-2x)(24-2x)x$式B
と表せる。
これを展開すると、求める$V$の式は
$V=4x^{3}-66x^{2}+216x$式B'
である。
解答ウ:4, エ:6, オ:6, カ:2, キ:1, ク:6
$x$の定義域を式Aとして、式B'の最大値を求める。
式B'は三次式で、$x^{3}$の係数は正だ。
なので、グラフは全体として右上がりの
のような形になる。
また、式Bより、グラフは$x$軸と
$x=0$,$\dfrac{9}{2}$,$\dfrac{24}{2}$
で共有点をもつ。
よって、式B'のグラフの概形は図Bのような形だ。
$x$の定義域は
$0 \lt x \lt \dfrac{9}{2}$
だから図Bの緑の部分(両端を含まない)なので、$V$が最大になるのは赤い点。
アドバイス
この問題はグラフなしで解けるけど、思考を整理してミスを防ぐためにもグラフで考える習慣を身につけておきたい。
日ごろからグラフを描いていると、時間もかからなくなる。
図Bであれば、10秒くらいが目標だ。
赤い点は 式B'の2つの極値の$x$が小さい方なので、これを求める。
式B'を微分すると
$V'=4\cdot 3x^{2}-66\cdot 2x+216$式C
とかける。
ここで、式Bから式B'への計算を思い出すと
$216=24\cdot 9$
だったから、式Cはさらに
$V'=4\cdot 3x^{2}-66\cdot 2x+24\cdot 9$
より
$$
\begin{align}
V'&=4\cdot 3(x^{2}-11x+2\cdot 9)\\
&=12(x-2)(x-9)
\end{align}
$$
と変形できる。
なので、2つの極値の$x$が小さい方、つまり図Bの赤い点の$x$座標は
$x=2$
である。
解答ケ:2
これを式Bに代入すると、求める$V$の最大値は
$$
\begin{align}
(9-2\cdot 2)(24-2\cdot 2)\cdot 2&=5\cdot 20\cdot 2\\
&=200
\end{align}
$$
であることが分かる。
解答コ:2, サ:0, シ:0
別解
おすすめじゃないけれど、グラフを考えずに解くと次のようになる。
式B'を微分すると
$V'=4\cdot 3x^{2}-66\cdot 2x+216$式C
とかける。
ここで、式Bから式B'への計算を思い出すと
$24\cdot 9=216$
だったから、式Cはさらに
$V'=4\cdot 3x^{2}-66\cdot 2x+24\cdot 9$
より
$V'=4\cdot 3(x^{2}-11x+2\cdot 9)$
$\phantom{ V' } =12(x-2)(x-9)$式C'
変形できる。
なので、$V'=0$になる$x$は
$x=2$,$9$
だ。
また、式C'に
$x=0$を代入すると、
$V'=12\cdot(-2)(-9) \gt 0$
なので、$x \lt 2$の範囲でグラフは右上がり
$x=3$を代入すると、
$V'=12\cdot 1\cdot(-6) \lt 0$
なので、$2 \lt x \lt 9$の範囲でグラフは右下がり
だ。
以上から増減表を書くと、表Cができる。
$x$ | $\cdots$ | $0$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ | $\dfrac{9}{2}$ | $\cdots$ | $9$ | $\cdots$ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
$V'$ | $\nearrow$ | $0$ | $\searrow$ | $0$ | |||||
$V$ | 極大 | 極小 |
$x$の定義域は
$0 \lt x \lt \dfrac{9}{2}$
なので、表の緑の範囲。
よって、$V$が最大になるのは
$x=2$
のとき。
解答ケ:2
これを式Bに代入して、求める$V$の最大値は
$$
\begin{align}
(9-2\cdot 2)(24-2\cdot 2)\cdot 2&=5\cdot 20\cdot 2\\
&=200
\end{align}
$$
である。
解答コ:2, サ:0, シ:0
(2)
次に、箱にふたがある場合を考える。
図Dの厚紙を組み立てたとき、青い四角形が底面に、黄色い四角形がふたになる。
つまり、青い四角形と黄色い四角形は合同だ。
なので、
ス$=\dfrac{24}{2}$
$\hspace{41px} =12$
である。
解答ス:3
また、この厚紙を組み立てた箱は、
底面(青い四角形)の
縦の長さが$9-2x$
横の長さが$12-x$
高さが$x$
になる。
なので、体積$W$は
$W=\textcolor{red}{(9-2x)(12-x)x}$式D
と表せる。
(1)の箱の体積は、式Bより
$V=(9-2x)(24-2x)x$
$\phantom{ V } =2\textcolor{red}{(9-2x)(12-x)x}$式B''
だった。
式Dと式B''を見比べると、赤い部分は共通だ。
なので、
式Dのグラフは、式B''のグラフを縦軸方向に$\dfrac{1}{2}$倍したもの
であることが分かる。。
よって、
$W$の最大値は$V$の最大値の$\dfrac{1}{2}$倍
解答セ:4
最大値をとるときの$x$は等しい
解答ソ:2
ことになる。
(3)
厚紙の縦の長さを$a$,横の長さを$b$として考えてみよう。
ふたのない箱の体積$V$は、式Bをちょっと変えて
$V=\textcolor{red}{(a-2x)(b-2x)x}$式E
ふたのある箱の体積$W$は、式Dをちょっと変えて
$W=(a-2x)\left(\dfrac{b}{2}-x\right)x$
$\phantom{ W } =\dfrac{1}{2}\textcolor{red}{(a-2x)(b-2x)x}$式F
となる。
式Eと式Fを見比べると、赤い部分は共通だ。
なので
式Fのグラフは、式Eのグラフを縦軸方向に$\dfrac{1}{2}$倍したもの
になるから、式B''と式Dの関係と同じだ。
よって、セは、$a$,$b$の値にかかわらず どのような長方形のときでも成り立つ。
解答タ:4