大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

(1)

まず、cosABCから。

sin2ABC+cos2ABC=1
なので、
(154)2+cos2ABC=1
とかける。

これを変形すると
cos2ABC=1(154)2=4215242=142 となる。

よって、
cosABC=±14
である。

解答サ:1, シ:4

(2)

BC=1sinABC=154sinACB=158であるような△ABCは、図Aの2種類存在する。

図A
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図A
詳しく

三角形の内角θについて、sinθ=1の場合を除き、sinの値それぞれに対応する角が2つある。
例えばsinθ=12のとき、θ30150の2つのうちのどちらかだ。
ついでに確認しておくと、この2つの角をたすと180になる。

この問題では、sinABCsinACBの値が分かっている。
なので、ABC,ACBともに角度の候補が2つ考えられる。

ここで、 sinABC>sinACBなので、
ABCACBよりも90に近い角 ACBABCよりも0または180に近い角 であることが分かる。

以上を図にすると、図Bのようになる。

図B
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

図Bを説明すると、
ABCは紫の角または緑の角で、
紫の角のとき、辺ABは紫の線 緑の角のとき、辺ABは緑の線
ACBは青い角またはオレンジの角で、
青い角のとき、辺ACは青い線 オレンジの角のとき、辺ACはオレンジの線
になる。


図Bの紫または緑の線と、青またはオレンジの線の交点が 頂点Aなんだけど、オレンジの線は紫の線とも緑の線とも交わらない。
交わらないと頂点Aができないから、オレンジの線は辺ACにはなれない。
なので、辺ACは図Bの青い線だ。

一方、紫の線も緑の線も青い線と交わるから、辺ABは紫と青のどっちでもOK。

以上より、△ABCは、三辺が、図Bの
紫と青と黒 緑と青と黒 の2通り考えられる。
これを図にすると、図Aだ。

(i)

ABACの関係を求める。

ABCにおいて、正弦定理より
ACsinABC=ABsinACB
と表せる。

これを計算して、
AC154=AB158
より
158AC=154AB
AC=2AB
である。

解答ス:2

(ii)

次はABの値だ。

ABCにおいて、余弦定理より
AC2=AB2+BC22ABBCcosABC式A
とかける。

ここで、
{BC=1AC=2AB

なので、式Aは
(2AB)2=AB2+122AB1cosABC
式B
と表せる。


図Aのふたつの三角形で、面積が大きいのは左側。

この三角形の場合、
90<ABC
だから、
cosABC<0
だ。

なので、(1)で求めた
cosABC=±14
のうち、この三角形に当てはまるのは
cosABC=14
である。

これを式Bに代入して、
(2AB)2=AB2+122AB1(14)

これを解いて
4AB2=AB2+1+12AB

途中式 6AB2AB2=0
(3AB2)(2AB+1)=0
AB=1223
だけど、ABは辺の長さなので負の値は不適。
AB=23
である。

解答セ:2, ソ:3

(3)

(2)(i)と同様に考えて、正弦定理
ACsinABC=ABsinACB

sinABC=2sinACB
を代入すると、
AC2sinACB=ABsinACB
より
AC=2AB
となる。

なので、このときの三角形は
{BC=1AC=2AB
だから、(2)(ii)の
(2AB)2=AB2+122AB1cosABC式B
はそのまま使える。

式Bを変形すると
2ABcosABC=13AB2
cosABC=13AB22AB式C
となる。

解答タ:1, チ:3


アドバイス

ここで、突然 面積Sの2乗とか、AB2xとおくとか、あまり見ない話になってるけど 大丈夫。
式Cを使うことは想像がつく上に、AB2=xとおくように指示があるので、式Cの右辺の分母もきっと2乗にするのだ。
ということは、式Cの両辺を2乗して
cos2ABC=(13AB22AB)2
とするのだ。

こうなると、次に考えられることは
sin2ABC+cos2ABC=1
を使ってsin2ABCを作るんだろうということ。

この方針でやってみよう。

アドバイスの方針でsin2ABCを求めると、
sin2ABC=1(13AB22AB)2
sin2ABC=4AB2(13AB2)24AB2式D
となる。

この式を使いたい。
ということは、きっと、三角形の面積の公式のうちsinABCが含まれる
S=12ABBCsinABC
を使うんだろう。

BC=1なので、
S=12ABsinABC

この式の両辺を2乗すると
S2=(12)2AB2sin2ABC=14AB2sin2ABC となって、式Dが代入できるようになった。

これに式Dを代入して、
S2=14AB24AB2(13AB2)24AB2

AB2=xとおくと、この式は
S2=14x4x(13x)24x

途中式 S2=116{4x(13x)2}=116(4x1+6x9x2)=116(9x2+10x1)=916x2+1016x116
S2=916x2+58x116式E
とかける。

解答ツ:9, テ:1, ト:6, ナ:5, ニ:8


式Eのグラフは、上に凸の放物線だ。
なので、頂点が定義域に含まれれば、S2が最大になるのは頂点のとき。
というわけで、頂点のx座標を求める。

式Eを平方完成するのは面倒なので、

復習

y=ax2+bx+cのグラフの頂点のx座標は
x=b2a

を使う。

復習より、式Eのグラフの頂点のx座標は
x=582(916)=59 となる。

ここで、
x=AB2
だけど、

BC<AB+AC
なので
1<AB+2AB
13<AB

AC<AB+BC
なので
2AB<AB+1
AB<1

だから
13<AB<1
より
19<x<1
となるので、59は定義域に含まれる。

よって、S2が最大になるのは
x=59
のとき。

解答ヌ:5, ネ:9

このとき、
AB2=59
より
AB=±53
だけど、ABは辺の長さなので
AB=53
である。

解答ノ:5, ハ:3


以上より、△ABCの各辺が
{AB=53BC=1AC=253
のとき、面積Sは最大になる。

このとき、

{AB2+BC2=59+1=149AC2=209
なので
AB2+BC2<AC2
だから、ABCは鈍角

解答ヒ:2

{AC2+BC2=209+1=299AB2=59
なので
AC2+BC2>AB2
だから、ACBは鋭角

解答フ:0

であることが分かる。