方針１にしたがって、二次関数
$y=x^2+ax+b$式Ａ
の最小値を求める。

式Ａは$x^2$の係数が正の二次関数だから、グラフは下に凸の放物線である。
なので、最小値になるのは頂点だ。
というわけで、頂点の$y$座標を求めよう。

平方完成してもいいんだけど、面倒なので

復習

$y=a{x}^2+bx+c(a\ne 0)$
の頂点の$x$座標は、
${\displaystyle \frac{-b}{2a}}$

を使う。

復習より、式Ａの二次関数の頂点の$x$座標は、
$x=-{\displaystyle \frac{a}{2}}$
であることが分かる。

これを式Ａに代入して、最小値となる$y$は、
$y={(-{\displaystyle \frac{a}{2}})}^2+a(-{\displaystyle \frac{a}{2}})+b$

途中式

$\phantom{y}={\displaystyle \frac{a^2}{4}}-{\displaystyle \frac{a^2}{2}}+b$
$\phantom{y}=-{\displaystyle \frac{a^2}{4}}+b$

$\phantom{y}={\displaystyle \frac{-1}{4}}{a}^2+b$
である。

解答ア：－, イ：１, ウ：４, エ：２

式Ａの放物線と$x$軸が共有点をもたないとき、不等式①の解はすべての実数になる。
また、①の解がすべての実数なら、式Ａの放物線と$x$軸は共有点をもたない。
よって、①の解がすべての実数になる必要十分条件は、
式Ａの放物線と$x$軸が共有点をもたない ことだといえる。

これを最小値を使っていうと、
最小値が正 つまり
${\displaystyle \frac{-1}{4}}{a}^2+b>0$ である。

解答オ：２

次は、方針２。

$x^2+ax+b=0$式Ｂ
に解の公式を使うと、
$x={\displaystyle \frac{-a\pm \sqrt{a^2-4\cdot 1\cdot b}}{2\cdot 1}}$
$\phantom{x}={\displaystyle \frac{-a\pm \sqrt{a^2-4b}}{2}}$式Ｃ
とかける。

解答カ：２, キ：４

式Ｃの根号の中が負のとき、式Ｂの方程式は実数解をもたない。
つまり、式Ａの放物線と$x$軸が共有点をもたないから、不等式①の解はすべての実数になる。
また、①の解がすべての実数なら、式Ｂの方程式は実数解をもたないから、式Ｃの根号の中は負だ。
よって、①の解がすべての実数になる必要十分条件は、
式Ｃの根号の中が負 だといえる。

これを式で表すと、
$a^2-4b<0$ である。

解答ク：０

方針１と方針２で違う式ができたみたいに見えるけど、オの式を変形するとクの式になる。

今度は、不等式
$-x^2+cx-4<0$
つまり
$x^2-cx+4>0$式Ｄ
を考える。

(i)の作業を振り返ると、
$x^2+ax+b>0$の解がすべての実数になる必要十分条件は
$a^2-4b<0$
だった。

これをそのまま使おう。

$x^2+ax+b>0$の
$a$を$-c$に $b$を$4$に 変えると不等式Ｄになる。

なので、
$a^2-4b<0$
の
$a$を$-c$に $b$を$4$に 変えると、不等式Ｄの解がすべての実数となるための必要十分条件ができるはず。

以上より、求める必要十分条件は
$(-c{)}^2-4\cdot 4<0$
とかける。

これを計算して、答えは
$c^2<4^2$
より
$-4<c<4$
であることが分かる。

解答ケ：－, コ：４, サ：４

二次不等式
$2024x^2+2023x-2022>0$式Ｅ
を考える。

式Ｅの左辺を
$y=2024x^2+2023x-2022$式Ｆ
とすると、このグラフは下に凸の放物線になる。

また、放物線の軸（頂点の$x$座標）は、(1)(i)の復習より
$x=-{\displaystyle \frac{2023}{2\cdot 2024}}$
だけど、これは$-{\displaystyle \frac{1}{2}}$よりもわずかに大きい（グラフだとちょっと右の）値だ。

さらに、(i)の結果から、式Ｆのグラフは、
$x=1$ のとき $0<y$ $x={\displaystyle \frac{1}{2}}$ のとき $y<0$ なので、${\displaystyle \frac{1}{2}}<x<1$の範囲で$x$軸と交わる。

以上より、式Ｆのグラフを描くと、図Ａのようになる。
図では $-{\displaystyle \frac{2023}{2\cdot 2024}}$を $-{\displaystyle \frac{1}{2}}$よりもはっきりと右に描いたけど、$-{\displaystyle \frac{2023}{2\cdot 2024}}\doteqdot -0.4998$ なので 実際にはほとんど差がない。

図Ａは、わずかにずれているけれど ほぼ $x=-{\displaystyle \frac{1}{2}}$ に関して対称だ。
よって、式Ｆのグラフが
${\displaystyle \frac{1}{2}}<x<1$ の範囲で$x$軸と交わる のであれば、${\displaystyle \frac{1}{2}}$，$1$と $x=-{\displaystyle \frac{1}{2}}$ に関して対称な
$-2<x<-{\displaystyle \frac{3}{2}}$ の範囲で$x$軸と交わる と考えられる。

なので、問題文にある値のうち、式Ｅの不等式を満たすものは、図Ａの赤丸の
４個 あると推測できる。

ただし、式Ｆのグラフの軸は$-{\displaystyle \frac{1}{2}}$よりわずかに右にずれているから、図Ａのオレンジの交点が本当に$-{\displaystyle \frac{3}{2}}$よりも左にあるかどうかは確認しておかなきゃいけない。

確認のために $x=-{\displaystyle \frac{3}{2}}$ を式Ｆに代入すると、
$2024\cdot {(-{\displaystyle \frac{3}{2}})}^2+2023\cdot (-{\displaystyle \frac{3}{2}})-2022<0$
なので、$x=-{\displaystyle \frac{3}{2}}$のときに式Ｆのグラフは$x$軸よりも下にある。

よって、図Ａの通り、オレンジの交点は確かに$-{\displaystyle \frac{3}{2}}$よりも左にある。

以上より、セの答えは、図Ａの赤丸の
４個 である。

解答セ：４