大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学ⅠA 第5問 解説

(1)

最初は、点$\mathrm{S}$の位置から。

図A
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図A

図Aにチェバの定理を使うと
$\dfrac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PB}}\cdot\dfrac{\mathrm{BS}}{\mathrm{SC}}\cdot\dfrac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}}=1$
なので、
$\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{\mathrm{BS}}{\mathrm{SC}}\cdot\dfrac{2}{1}=1$
とかける。

これを計算して、
$\dfrac{\mathrm{BS}}{\mathrm{SC}}=\dfrac{3}{4}$
より
$\mathrm{BS}:\mathrm{SC}=3:4$
である。

よって、
点$\mathrm{S}$は辺$\mathrm{BC}$を$3:4$に内分する点 となる。

解答ア:3, イ:4


図Bのように、△$\mathrm{ABC}$の内接円(青い円)が△$\mathrm{ABC}$と3点$\mathrm{P}$,$\mathrm{Q}$,$\mathrm{T}$で接している場合を考える。

図B
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図B

このとき、

$\mathrm{AB}=5$,$\mathrm{AP}:\mathrm{PB}=2:3$なので、
$\mathrm{AP}=2$ $\mathrm{PB}=3$

$\mathrm{PB}=\mathrm{BT}$なので
$\mathrm{BT}=3$

$\mathrm{AP}=\mathrm{AQ}$なので
$\mathrm{AQ}=2$

解答ウ:2

$\mathrm{AQ}:\mathrm{QC}=1:2$なので、
$\mathrm{QC}=4$

$\mathrm{QC}=\mathrm{TC}$なので
$\mathrm{TC}=4$

となる。

よって、
$$ \begin{align} \mathrm{BC}&=\mathrm{BT}+\mathrm{TC}\\ &=3+4\\ &=7 \end{align} $$

解答エ:7

であり、点$\mathrm{T}$は
辺$\mathrm{BC}$を$3:4$に内分する点 なので、点$\mathrm{S}$と一致する。
つまり、点$\mathrm{S}$は△$\mathrm{ABC}$の内接円と辺$\mathrm{BC}$の接点だといえる。

解答オ:2

(2) (i)

さらに、△$\mathrm{BPR}$(図Cの赤い三角形)と△$\mathrm{CQR}$(青い三角形)の面積比を考える。

図C
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図C

図Cのオレンジの三角形にメネラウスの定理を使うと、
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}}\cdot\dfrac{\mathrm{QC}}{\mathrm{CA}}\cdot\dfrac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PB}}=1$
より
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}}\cdot\dfrac{4}{5}\cdot\dfrac{2}{3}=1$
とかける。

これを計算すると
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}}=\dfrac{15}{8}$
なので、点$\mathrm{R}$は線分$\mathrm{BQ}$を
$15:8$ に内分する。

解答カ:1, キ:5, ク:8


緑の三角形にメネラウスの定理を使うと
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}\cdot\dfrac{\mathrm{PB}}{\mathrm{BA}}\cdot\dfrac{\mathrm{AQ}}{\mathrm{QC}}=1$
より
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}\cdot\dfrac{3}{5}\cdot\dfrac{1}{4}=1$
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}=\dfrac{20}{3}$
となる。

よって、点$\mathrm{R}$は線分$\mathrm{CP}$を
$20:3$ に内分する。

解答ケ:2, コ:0, サ:3


カキケコを図Cに書き込むと、図Dになる。

図D
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図D

△$\mathrm{ABC}$の面積を$S$とする。

赤い三角形の面積を考えると、
$\mathrm{RP}:\mathrm{CP}=3:23$なので、オレンジの三角形の面積は
オレンジ$=\dfrac{3}{23}S$
$\mathrm{PB}:\mathrm{AB}=3:5$なので、赤い三角形の面積は
赤$=\dfrac{3}{5}$オレンジ
より、
赤$=\dfrac{3}{5}\cdot\dfrac{3}{23}S$式A

青い三角形の面積を考えると、
$\mathrm{RQ}:\mathrm{BQ}=8:23$なので、緑の三角形の面積は
緑$=\dfrac{8}{23}S$
$\mathrm{QC}:\mathrm{AC}=4:5$なので、青い三角形の面積は
青$=\dfrac{4}{5}$緑
より、
青$=\dfrac{4}{5}\cdot\dfrac{8}{23}S$式B

である。

よって、
$$ \begin{align} \dfrac{\text{△}\mathrm{CQR}\text{の面積}}{\text{△}\mathrm{BPR}\text{の面積}}&=\dfrac{\text{青い三角形の面積}}{\text{赤い三角形の面積}}\\ &=\dfrac{\text{式B}}{\text{式A}} \end{align} $$

途中式 $$ \begin{align} \hspace{103px} &=\dfrac{\cfrac{4}{5}\cdot\cfrac{8}{23}S}{\cfrac{3}{5}\cdot\cfrac{3}{23}S}\\ &=\dfrac{4\cdot 8}{3\cdot 3} \end{align} $$
$\hspace{103px} =\dfrac{32}{9}$
となる。

解答シ:3, ス:2, セ:9

(2) (ii)

今度は、△$\mathrm{BPR}$と△$\mathrm{CQR}$の面積比が分かっていて、それから$\mathrm{AQ}:\mathrm{QC}$を求める問題。
ちょっと面倒だけど、
$\mathrm{AQ}:\mathrm{QC}=x:1$
とおいて、(i)の作業をもう一回やろう。

図E
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図E

図Cのオレンジの三角形にメネラウスの定理を使うと、
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}}\cdot\dfrac{\mathrm{QC}}{\mathrm{CA}}\cdot\dfrac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PB}}=1$
より
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}}\cdot\dfrac{1}{x+1}\cdot\dfrac{2}{3}=1$
$\dfrac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RQ}} =\dfrac{3x+3}{2}$
なので、点$\mathrm{R}$は線分$\mathrm{BQ}$を
$3x+3:2$ に内分する。

緑の三角形にメネラウスの定理を使うと
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}\cdot\dfrac{\mathrm{PB}}{\mathrm{BA}}\cdot\dfrac{\mathrm{AQ}}{\mathrm{QC}}=1$
より
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}\cdot\dfrac{3}{5}\cdot\dfrac{x}{1}=1$
$\dfrac{\mathrm{CR}}{\mathrm{RP}}=\dfrac{5}{3x}$
なので、点$\mathrm{R}$は線分$\mathrm{CP}$を
$5:3x$ に内分する。


以上を図Eに書き込むと、図Fができる

図F
大学入学共通テスト2023年追試 数学ⅠA第5問 解説図F

△$\mathrm{ABC}$の面積を$S$とする。

赤い三角形の面積を考えると、
$\mathrm{RP}:\mathrm{CP}=3x:3x+5$なので、オレンジの三角形の面積は
オレンジ$=\dfrac{3x}{3x+5}S$
$\mathrm{PB}:\mathrm{AB}=3:5$なので、赤い三角形の面積は
赤$=\dfrac{3}{5}$オレンジ
より、
赤$=\dfrac{3}{5}\cdot\dfrac{3x}{3x+5}S$式C

青い三角形の面積を考えると、
$\mathrm{RQ}:\mathrm{BQ}=2:3x+5$なので、緑の三角形の面積は
緑$=\dfrac{2}{3x+5}S$
$\mathrm{QC}:\mathrm{AC}=1:x+1$なので、青い三角形の面積は
青$=\dfrac{1}{x+1}$緑
より、
青$=\dfrac{1}{x+1}\cdot\dfrac{2}{3x+5}S$式D

である。

よって、
$$ \begin{align} \dfrac{\text{△}\mathrm{CQR}\text{の面積}}{\text{△}\mathrm{BPR}\text{の面積}}&=\dfrac{\text{青い三角形の面積}}{\text{赤い三角形の面積}}\\ &=\dfrac{\text{式D}}{\text{式C}} \end{align} $$

途中式 $$ \begin{align} \hspace{103px} &=\dfrac{\cfrac{1}{x+1}\cdot\cfrac{2}{3x+5}S}{\cfrac{3}{5}\cdot\cfrac{3x}{3x+5}S}\\ &=\dfrac{\cfrac{1\cdot 2}{x+1}}{\cfrac{3\cdot 3x}{5}}\\ &=\dfrac{1\cdot 2}{x+1}\cdot\dfrac{5}{3\cdot 3x} \end{align} $$
$\hspace{103px} =\dfrac{10}{9x^{2}+9x}$式E
となる。

問題文から
$\dfrac{\text{△}\mathrm{CQR}\text{の面積}}{\text{△}\mathrm{BPR}\text{の面積}}=\dfrac{1}{4}$
なので、式Eはさらに
$\dfrac{10}{9x^{2}+9x}=\dfrac{1}{4}$
とかける。

これを解くと

途中式 $9x^{2}+9x=40$
$9x^{2}+9x-40=0$
$(3x+8)(3x-5)=0$
$x=-\dfrac{8}{3}$,$\dfrac{5}{3}$
となるけど、$x$は負じゃないので、
$x=\dfrac{5}{3}$
だ。

よって、
$\mathrm{AQ}:\mathrm{QC}=\dfrac{5}{3}:1$
$\phantom{ \mathrm{AQ}:\mathrm{QC} } =5:3$
なので、点$\mathrm{Q}$は線分$\mathrm{CP}$を
$5:3$ に内分する点である。

解答ソ:5, タ:3