大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 追試 数学Ⅰ 第2問 [1] 解説

ア~カ

説明のために、各辺が3xx+6302xである三角形を△ABCとし、
{AB=3xBC=x+6AC=302x
とする。

図A
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第2問[1] 解説図A

ABCが存在するためには、
{AB<BC+ACBC<AC+ABAC<AB+BC
より、連立不等式
3x<(x+6)+(302x)式A x+6<(302x)+3x式B 302x<3x+(x+6)式C を満たすxが存在すればよい。

式Aを変形すると、
3xx+2x<6+30
4x<36
x<9式A'

式Bを変形すると、
x+2x3x<306
0<24
なので、この式は必ず成り立つ

式Cを変形すると、
2x3xx<630
6x<24
x>4式C'

だから、三角形が存在するのは、式A'とC'の共通部分の
4<x<9式D
のとき。

解答ア:4, イ:9


また、三角形が二等辺三角形になるのは、
AB=BC
3x=x+6式E
AB=AC
3x=302x式F
BC=AC
x+6=302x式G
のいずれかの場合。

式Eの場合
式Eを変形すると
2x=6
x=3
だけど、これは式Dの範囲に入らないので不適。

式Fの場合
式Fを変形すると
5x=30
x=6
だけど、これは式Dの範囲に入っている。

式Gの場合
式Gを変形すると
3x=24
x=8
で、これも式Dの範囲に入っている。

以上より、三角形が二等辺三角形になるのは
x=68
のとき。

解答ウ:6, エ:8


ここで、三角形の辺と角の関係を思い出すと、

復習

ABCの最長の辺がABであるとき、
AB2<BC2+AC2のとき、△ABCは鋭角三角形 AB2=BC2+AC2のとき、△ABCは直角三角形 AB2>BC2+AC2のとき、△ABCは鈍角三角形 だった。

x=8のとき、三角形の各辺は
AB=38=24 BC=8+6=14 AC=3028=14 なので、最長の辺はABだ。

なので、AB2BC2+AC2の大小関係を調べると、

AB2=242
AB2=(212)2
AB2=22144

BC2+AC2=142+142
BC2+AC2=(27)2+(27)2
BC2+AC2=22249

だから、
AB2>BC2+AC2
だ。

よって、このとき、三角形は鈍角三角形になる。

解答オ:2

x=6のとき、三角形の各辺は
AB=36=18 BC=6+6=12 AC=3026=18 となるから、明らかに鋭角三角形である。

詳しく 二等辺三角形が直角三角形や鈍角三角形になるためには、等辺じゃない辺が最長でないといけない。

解答カ:0

キ~コ

次は、△ABCの外接円の半径だ。

ここで、外接円の半径が含まれる公式の復習をしておく。

復習

大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第2問[1] 復習図

図のような△ABCにおいて、外接円の半径Rが含まれる公式は
正弦定理
asinA=bsinB=csinC=2R
三角形の面積の公式
S=abc4R
の2つある。

復習の公式を使って外接円の半径Rを求めるんだけど、
解法1:正弦定理を使う方法
sinABCを求め、それを正弦定理に代入する。
たぶん一般的な解法。
解法2:面積を使う方法 おすすめ
ヘロンの公式で△ABCの面積を求め、それを復習の面積の公式に代入する。
の2通りの方法を説明する。

解法1

x=6のとき、△ABCは、図Bのようになる。

図B
大学入学共通テスト2023年追試 数学Ⅰ第2問[1] 解説図B

まず、sinABCを求めるために、ABCを角のひとつとする直角三角形をつくる。

図Bのように、頂点Aから辺BCに垂線を下ろし、その足を点Hとする。
ABCは二等辺三角形なので、点HBCの中点になるから、
BH=6
だ。

このとき、△ABHに三平方の定理を使うと、
AH2=AB2BH2=18262=62(3212)=628

0<AHなので、
AH=68=622 である。


ABHは直角三角形なので、
sinABH=AHAB
とかける。

これにABAHの値を代入すると、
sinABH=62218=223 となる。

なので、sinABC
sinABC=223
だ。


sinABCの値が分かったので、あとは正弦定理に代入だ。

ABCの外接円の半径をRとすると、△ABCに正弦定理を使って
ACsinABC=2R
とかける。

これにそれぞれの値を代入すると
2R=18223
と表せる。

この式の右辺の分母分子に3をかけて
2R=18322
より
R=9322

分母を有理化して、求める外接円の半径は、
R=932222=2724 である。

解答キ:2, ク:7, ケ:2, コ:4

解法2

ヘロンの公式より、
AB+BC+AC2=18+12+182=24
を使って、△ABCの面積S
S=24(2418)(2412)(2418)
とかける。

これを計算すると
S=246126=122622=1262 となる。

よって、△ABCの外接円の半径をRとすると、復習の面積の公式より、
1262=1812184R
と表せる。

これを解いて、外接円の半径R
12624R=181218
より
R=18121812624=3922=2724 である。

解答キ:2, ク:7, ケ:2, コ:4