大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅡB 第4問 解説
(1)
$a_{2}$は、$\{a_{n}\}$の漸化式
$a_{n+1}=a_{n}+\textcolor{red}{4n+2}$式A
に
$\left\{\begin{array}{l}
n=1\\
a_{1}=1
\end{array}\right.$
を代入して、
$a_{2}=1+4\cdot 1+2$
$\phantom{ a_{2} } =7$
である。
解答ア:7
ここで、漸化式の基本の形の復習をしておこう。
復習
2項間漸化式の基本の形は4つあって、
$p_{n+1}=p_{n}+d$
公差$d$の等差数列
$p_{n+1}=rp_{n}$
公比$r$の等比数列
$p_{n+1}=p_{n}+f(n)$
階差数列の一般項が$f(n)$
$ p_{n+1}=\alpha p_{n}+\beta$
$(p_{n+1}-\gamma)=\alpha(p_{n}-\gamma)$の形にして解く
だった。
式Aは赤い部分が$n$の式、つまり$f(n)$なので、復習の3番目の形だ。
よって、式Aの赤い部分を階差数列の一般項として、$\{a_{n}]$の一般項を求める。
ついでに階差数列の復習もしておこう。
復習
数列$\{p_{n}\}$の階差数列が$\{q_{n}\}$のとき、
$\{p_{n}\}$の一般項$p_{n}$は、$\{q_{n}\}$の一般項$q_{n}$を使って
$p_{n}=p_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}q_{k} \hspace{30px} (2\leqq n)$
と表せる。
復習より、$2\leqq n$のとき、$\{a_{n}\}$の一般項$a_{n}$は、
$a_{n}=a_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4k+2)$
とかける。
これに$a_{1}=1$を代入して計算すると、
$a_{n} \displaystyle =1+4\sum_{k=1}^{n-1}k+\sum_{k=1}^{n-1}2$
$\phantom{ a_{n}\displaystyle } \displaystyle =1+4\cdot\frac{1}{2}(n-1)n+2(n-1)$
$\phantom{ a_{n} } =1+2(n-1)(n+1)$
より
$a_{n}=2n^{2}-1$
となる。
これは$n=1$のときも成り立つ。
解答イ:2, ウ:1
また、$\{a_{n}\}$の初項から第$n$項までの和$S_{n}$は、
$S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_{k}$
より
$S_{n}=\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(2k^{2}-1)$
途中式
$\phantom{ S_{n}\displaystyle } \displaystyle =2\sum_{k=1}^{n}k^{2}-\sum_{k=1}^{n}1$
$\phantom{ S_{n}\displaystyle } \displaystyle =2\cdot\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-n$
$\phantom{ S_{n}\displaystyle } \displaystyle =\frac{1}{3}n\{(n+1)(2n+1)-3\}$
$\phantom{ S_{n}\displaystyle } \displaystyle =\frac{1}{3}n(2n^{2}+3n-2)$
$S_{n}=\displaystyle \frac{2n^{3}+3n^{2}-2n}{3}$
である。
解答エ:2, オ:3, カ:2, キ:3
(2)
$b_{2}$は、$\{b_{n}\}$の漸化式
$b_{n+1}=b_{n}+4n+2+2\cdot(-1)^{n}$式B
に
$\left\{\begin{array}{l}
n=1\\
b_{1}=1
\end{array}\right.$
を代入して、
$b_{2}=1+4\cdot 1+2+2\cdot(-1)^{1}$
$\phantom{ b_{2} } =5$
である。
解答ク:5
次は、$a_{n}-b_{n}$だ。
式Aから式Bを辺々引くと、
$a_{n+1}$ | $=$ | $a_{n}$ | $+4n$ | $+2$ | ||
$-)$ | $b_{n+1}$ | $=$ | $b_{n}$ | $+4n$ | $+2$ | $+2\cdot(-1)^{n}$ |
$a_{n+1}-b_{n+1}$ | $=$ | $a_{n}-b_{n}$ | $-2\cdot(-1)^{n}$ |
式C
となる。
ここで
$a_{n}-b_{n}=x_{n}$
とおくと、式Cは
$x_{n+1}=x_{n} \textcolor{red}{-2\cdot(-1)^{n}}$式D
と表せる。
また、
$x_{1}=a_{1}-b{1}$
$\phantom{x_{1}}=1-1$
$\phantom{x_{1}}=0$
だ。
(1)と同じように考えると、式Dの赤い部分が階差数列の一般項なので、
$x_{n}=x_{1}+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\{-2\cdot(-1)^{k}\}$
途中式
$\phantom{ x_{n} } =x_{1}-2 \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(-1)^{k}$
より
$x_{n} = 0 -2 \cdot \displaystyle \frac{-1 \cdot \{ 1 - (-1)^{n-1} \}}{1- (-1)}$
$\phantom{ x_{n} } = 1 - (-1)^{n-1}$
となる。
ここで、
$x_{n} = a_{n}-b_{n}$なので、
$a_{n}-b_{n}=1+(-1)^{n}$
である。
解答ケ:5
別解
ケは選択肢の中から正解を探せばいいので、頭を使うよりも手を使う方法もある。
つまり、やってみる。
これまでに
$\left\{\begin{array}{l}
a_{1}=1\\
b_{1}=1
\end{array}\right.$
$\left\{\begin{array}{l}
a_{2}=7\\
b_{2}=5
\end{array}\right.$
であることが分かっている。
なので、
$\left\{\begin{array}{l}
a_{1}-b_{1}=0\\
a_{2}-b_{2}=2
\end{array}\right.$
だ。
これに当てはまるのは、解答群のうち
②,④,⑤
の3つ。
このうちから正解をさがすために、$n=3$のときを考えよう。
式A,式Bより
$a_{3}=7+4\cdot 2+2$
$\phantom{ a_{3} } =17$
$b_{3}=5+4\cdot 2+2+2\cdot(-1)^{2}$
$\phantom{ b_{3} } =17$
なので、
$a_{3}-b_{3}=0$
となる。
これに当てはまるのは、さっきの3つの選択肢のうち
⑤
である。
解答ケ:5
(3)
ケの $1+(-1)^{n}$ は
$1+(-1)^{n}$ | $0 \hspace{16px} n$が奇数のとき $2 \hspace{16px} n$が偶数のとき |
とかけるから、
$a_{n}-b_{n}$ | $0 \hspace{16px} n$が奇数のとき $2 \hspace{16px} n$が偶数のとき | 式E |
と表せる。
よって、
$n$が奇数のとき
$a_{n}-b_{n}=0$
なので
$a_{2021}-b_{2021}=0$
より
$a_{2021}=b_{2021}$
解答コ:1
$n$が偶数のとき
$a_{n}-b_{n}=2$
なので
$a_{2022}-b_{2022}=2$
より
$a_{2022} \gt b_{2022}$
解答サ:2
となる。
さらに、$\{a_{n}\}$と$\{b_{n}\}$の大小関係を並べて書くと、図Aができる。
図Aより、
$S_{2021} \gt T_{2021}$
解答シ:2
$S_{2022} \gt T_{2022}$
解答ス:2
である。
(4)
次に、初項が$c$で、漸化式が
$c_{n+1}=c_{n}+4n+2+2\cdot(-1)^{n}$式F
である数列$\{c_{n}\}$を考える。
式Bから式Fを辺々引くと、
$b_{n+1}$ | $=$ | $b_{n}$ | $+4n$ | $+2$ | $+2\cdot(-1)^{n}$ | |
$-)$ | $c_{n+1}$ | $=$ | $c_{n}$ | $+4n$ | $+2$ | $+2\cdot(-1)^{n}$ |
$b_{n+1}-c_{n+1}$ | $=$ | $b_{n}-c_{n}$ | 式G |
とかける。
ここで
$b_{n}-c_{n}=y_{n}$
とおくと、式Gは
$y_{n+1}=y_{n}$
と表せる。
つまり、$\{y_{n}\}$は、すべての項が同じ値の数列だ。
いま
$\left\{\begin{array}{l}
b_{1}=1\\
c_{1}=c
\end{array}\right.$
なので、
$y_{1}=b_{1}-c_{1}$
$\phantom{ y_{1} } =1-c$
だけど、$\{y_{n}\}$はすべての項が同じ値なので、
$y_{n}=1-c$
だから
$b_{n}-c_{n}=1-c$式H
である。
解答セ:1, ソ:c
次は、$\{a_{n}\}$と$\{c_{n}\}$の和の比較だ。
なので、$a_{n}$と$c_{n}$の関係式をつくろう。
式Eと式Hを辺々たす。
$n$が奇数のとき、
$a_{n}-b_{n}$ | $=$ | $0$ | |||
$+)$ | $b_{n}-c_{n}$ | $=$ | $1$ | $-$ | $c$ |
$a_{n}-c_{n}$ | $=$ | $1$ | $-$ | $c$ |
$n$が偶数のとき、
$a_{n}-b_{n}$ | $=$ | $2$ | |||
$+)$ | $b_{n}-c_{n}$ | $=$ | $1$ | $-$ | $c$ |
$a_{n}-c_{n}$ | $=$ | $3$ | $-$ | $c$ |
より、
$a_{n}-c_{n}=$ | $1-c \hspace{16px} n$が奇数のとき $3-c \hspace{16px} n$が偶数のとき | 式I |
と表せる。
なので、$S_{4}-U_{4}$は
$a_{1}$ | $-$ | $b_{1}$ | $=$ | $1$ | $-$ | $c$ | ||
$a_{2}$ | $-$ | $b_{2}$ | $=$ | $3$ | $-$ | $c$ | ||
$a_{3}$ | $-$ | $b_{3}$ | $=$ | $1$ | $-$ | $c$ | ||
$+)$ | $a_{4}$ | $-$ | $b_{4}$ | $=$ | $3$ | $-$ | $c$ | |
$S_{4}$ | $-$ | $U_{4}$ | $=$ | $8$ | $-$ | $4c$ | 式J |
とかける。
いま
$S_{4}=U_{4}$
より
$S_{4}-U_{4}=0$
だから、式Jは
$8-4c=0$
となる。
これを解いて、
$c=2$
である。
解答タ:2
このとき、式Iは
$a_{n}-c_{n}=$ | $1-2=-1 \hspace{16px} n$が奇数のとき $3-2=1 \hspace{28px} n$が偶数のとき |
と表せる。
なので、$m$を奇数として
$(a_{m}-c_{m})+(a_{m+1}-c_{m+1})=-1+1$
$\phantom{(a_{m}-c_{m})+(a_{m+1}-c_{m+1})}=0$
とかけるから、図Bのように、
$a_{n}-c_{n}$
は、2行セットで和が$0$だ。
このことから、
$S_{2020}-U_{2020}=0$
つまり 図Bの黄色い部分の和は$0$だ。
よって、図Bより、
$S_{2021}-U_{2021}=a_{2021}-c_{2021}$
$\phantom{ S_{2021}-U_{2021} } =-1$
なので、
$S_{2021} \lt U_{2021}$
となる。
解答チ:0
また、図Bより
$S_{2022}-U_{2022}=0$
だから、
$S_{2022}=U_{2022}$
である。
解答ツ:1