大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説
(1)
さいころを2回投げるので、表を書こう。
出た目の合計を$6$で割った余りが$A$なので、$A$の値は表Aのようになる。
1回目 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
$1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | ||
2 回 目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ |
$2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | |
$3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | |
$4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | |
$5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | |
$6$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ |
$A=4$になるのは表Aの赤いマスの部分で、目の合計が
$4$または$10$
のとき。
解答ア:4, イ:1, ウ:0
このときの確率を求める。
表Aのマスは$6\times 6$個あって、全部同じ確率で起こる。
そのうち、赤いマスは$6$個あるので、確率は
$\displaystyle \frac{6}{6\times 6}=\frac{1}{6}$
である。
解答エ:1, オ:6
さらに、$A\geqq 4$なのは 表Aの赤いマス$+$緑のマスで、$12$個ある。
なので、その確率は
$\displaystyle \frac{12}{6\times 6}=\frac{1}{3}$
となる。
解答カ:1, キ:3
(2)
2回目を投げない場合、$A\geqq 4$である確率は表Bのようになる。
1回目に 出た目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ |
---|---|---|---|---|---|---|
$A$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ |
$A\geqq 4$ である 確率 | $0$ | $0$ | $0$ | $1$ | $1$ | $0$ |
なので、1回目に$5$が出た場合、2回目を投げなければ、$A\geqq 4$である確率は
$1$
だ。
次に、2回目を投げる場合を考える。
表Cに表Aを再び載せた。
1回目 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
$1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ | ||
2 回 目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ |
$2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | |
$3$ | $4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | |
$4$ | $5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | |
$5$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | |
$6$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ |
1回目のさいころの目が$5$であるのは 表Cの緑の部分で、$6$マス。
2回目を投げて$A\geqq 4$になるのは 赤文字の部分で、$2$マス。
全てのマスは同じ確率で起こるから、$A\geqq 4$である確率は
赤文字のマス
緑のマス
$\displaystyle = \frac{2}{6}=\frac{1}{3}$
となる。
解答ク:1, ケ3
さらに、図Cを見ると気づくんだけど、どの縦の列にも$0$~$5$がひとつずつある。
つまり、
1回目に何の目が出ても、2回目を投げると、同じ確率で$A=0$,$1$,$2$,$3$,$4$,$5$となる
ことが分かる。
このことから、
1回目に何の目が出ても、2回目を投げると、$A\geqq 4$になる確率は$\displaystyle \frac{1}{3}$
といえる。
以上と表Bを合わせると、$A\geqq 4$である確率は 表Dのような状況であることが分かる。
1回目に 出た目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ |
---|---|---|---|---|---|---|
2回目を 投げない とき | $0$ | $0$ | $0$ | $1$ | $1$ | $0$ |
2回目を 投げる とき | $\displaystyle \frac{1}{3}$ | $\displaystyle \frac{1}{3}$ | $\displaystyle \frac{1}{3}$ | $\displaystyle \frac{1}{3}$ | $\displaystyle \frac{1}{3}$ | $\displaystyle \frac{1}{3}$ |
表Dより、花子さん的には
1回目に出た目を$6$で割った余りが$3$以下であれば2回目を投げる
のが有利だ。
解答コ:1
このときの$A\geqq 4$である確率は 表Dの赤いマスの和なんだけど、すべての赤いマスは$\displaystyle \frac{1}{6}$の確率で起こるので、
$\displaystyle \frac{1}{6}\left(1\times 2+\frac{1}{3}\times 4\right)$
$=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{6+4}{3}$
$=\displaystyle \frac{5}{9}$
である。
解答サ:5, シ:9
(3)
太郎さんの戦略に入る前に、$A$によって得点なしの確率がどのように変化するかを考えておこう。
ルールを確認しておくと、
$A$が決まった後にもう1回さいころを投げ、出た目を$n$とすると、$A\leqq n$であれば得点なし
だった。
なので、得点なしの確率は、
$A=0$,$1$のとき、
$n$が何であっても$A\leqq n$なので、
確率は$1$
$A=2$のとき、
$n=2$,$3$,$4$,$5$,$6$なら$A\leqq n$なので、
確率は$\displaystyle \frac{5}{6}$
$A=3$のとき、
$n=3$,$4$,$5$,$6$なら$A\leqq n$なので、
確率は$\displaystyle \frac{4}{6}$
$A=4$のとき、
$n=4$,$5$,$6$なら$A\leqq n$なので、
確率は$\displaystyle \frac{3}{6}$
$A=5$のとき、
$n=5$,$6$なら$A\leqq n$なので、
確率は$\displaystyle \frac{2}{6}$
これを表にまとめると、表Eになる。
$A$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ |
---|---|---|---|---|---|---|
得点なしの 確率 | $1$ | $1$ | $\displaystyle \frac{5}{6}$ | $\displaystyle \frac{4}{6}$ | $\displaystyle \frac{3}{6}$ | $\displaystyle \frac{2}{6}$ |
ここまで考えたところで、問題に戻ろう。
表Eより、2回目を投げない場合、得点なしの確率は表Fのようになる。
1回目に 出た目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ |
---|---|---|---|---|---|---|
$A$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $0$ |
得点なしの 確率 | $1$ | $\displaystyle \frac{5}{6}$ | $\displaystyle \frac{4}{6}$ | $\displaystyle \frac{3}{6}$ | $\displaystyle \frac{2}{6}$ | $1$ |
よって、1回目に$3$が出た場合、2回目を投げなければ 得点なしの確率は
$\displaystyle \frac{4}{6}=\frac{2}{3}$
となる。
解答ス:2. セ:3
次に、2回目を投げる場合を考える。
(2)で考えたように、
1回目に何の目が出ても、2回目を投げると、同じ確率で$A=0$,$1$,$2$,$3$,$4$,$5$となる
ことが分かっている。
なので、1回目に何の目が出ても、2回目を投げた場合の得点なしの確率は、表Eより
$\displaystyle \frac{1}{6}\left\{1+1+\frac{5}{6}+\frac{4}{6}+\frac{3}{6}+\frac{2}{6}\right\}$
途中式
$=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{6+6+5+4+3+2}{6}$
$=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{26}{6}$
となる。
解答ソ:1, タ:3, チ:1, ツ:8
以上より、1回目に$3$が出た場合、得点なしの確率は
2回目を投げなければ、$\displaystyle \frac{2}{3}=\frac{12}{18}$
2回目を投げれば、$\displaystyle \frac{13}{18}$
となるから、
2回目を投げない方が得点なしとなる確率は小さい。
解答テ:0
ここまでの作業から、得点なしの確率は表Gのような状況であることが分かる。
1回目に 出た目 | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ | $6$ |
---|---|---|---|---|---|---|
2回目を 投げない とき | $1$ | $\displaystyle \frac{5}{6}$ | $\displaystyle \frac{4}{6}$ | $\displaystyle \frac{3}{6}$ | $\displaystyle \frac{2}{6}$ | $1$ |
2回目を 投げる とき | $\displaystyle \frac{13}{18}$ | $\displaystyle \frac{13}{18}$ | $\displaystyle \frac{13}{18}$ | $\displaystyle \frac{13}{18}$ | $\displaystyle \frac{13}{18}$ | $\displaystyle \frac{13}{18}$ |
表Gより、太郎さん的には
1回目に出た目を$6$で割った余りが$2$以下であれば2回目を投げる
のが有利だ。
解答ト:0
このときの得点なしとなる確率は 表Gの赤いマスの和なんだけど、すべての赤いマスは$\displaystyle \frac{1}{6}$の確率で起こるので、
$\displaystyle \frac{1}{6}\left(\frac{4}{6}+\frac{3}{6}+\frac{2}{6}+\frac{13}{18}\times 3\right)$
途中式
$=\displaystyle \frac{1}{6}\left(\frac{9}{6}+\frac{13}{6}\right)$
$=\displaystyle \frac{1}{6}\cdot\frac{22}{6}$
となる。
解答ナ:1, ニ:1, ヌ:1, ネ:8