大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅠA 第1問 [1] 解説
(1) ア~ウ
問題文にある場合分けの
$x\displaystyle \geqq c-\frac{1}{3}$式A
を考える。
式Aを変形すると
$x-c+\displaystyle \frac{1}{3}\geqq 0$
より
$3x-3c+1\geqq 0$
となる。
なので、このとき、式①の絶対値の中は$0$以上だから、式①は
$3x-3c+1=(3-\sqrt{3})x-1$②
とかける。
ここまでは問題文に書いてあるので、共通テスト本番では自分で考える必要はない。
②を解いて、
途中式
$3x-(3-\sqrt{3})x=-1+3c-1$
$\sqrt{3}x=3c-2$
$x=\displaystyle \sqrt{3}c-\frac{2}{\sqrt{3}}$
分母を有理化して、
である。
解答ア:3, イ:2
これが①の解になるのは、③が式Aの範囲に含まれるとき。
つまり
$\displaystyle \sqrt{3}c-\frac{2\sqrt{3}}{3}\geqq c-\frac{1}{3}$
のとき。
これを$c$について整理すると、
途中式
$\displaystyle \sqrt{3}c-c\geqq -\frac{1}{3} + \frac{2\sqrt{3}}{3}$
$(\displaystyle \sqrt{3}-1)c\geqq\frac{2\sqrt{3}-1}{3}$
この両辺を$\sqrt{3}-1$で割るんだけど、
$1 \lt \sqrt{3}$
より
$0 \lt \sqrt{3}-1$
だから、不等号の向きは変わらない。
よって、
$c\displaystyle \geqq\frac{2\sqrt{3}-1}{3(\sqrt{3}-1)}$
分母を有理化して、
$c\displaystyle \geqq\frac{(2\sqrt{3}-1)(\sqrt{3}+1)}{3(\sqrt{3}-1)(\sqrt{3}+1)}$
より、
③が解になるのは
$c\displaystyle \geqq\frac{5+\sqrt{3}}{6}$
のときである。
解答ウ:2
これを数直線で表すと、図Aのようになる。
(1) エ~キ
問題文中ふたつめの場合分けの
$x \lt c-\displaystyle \frac{1}{3}$式B
は、式Aと不等号が違うだけなので、変形すると
$3x-3c+1 \lt 0$
になるはず。
なので、このとき、式①の絶対値の中は負だから、式①は
$-(3x-3c+1)=(3-\sqrt{3})x-1$
より
$-3x+3c-1=(3-\sqrt{3})x-1$④
とかける。
ここまでは問題文に書いてあるので、先ほどと同様に 共通テスト本番では考える必要はない。
④を解くと、
途中式
$(3-\sqrt{3})x+3x=3c-1+1$
$(6-\sqrt{3})x=3c$
$x=\displaystyle \frac{3}{6-\sqrt{3}}c$
分母を有理化して、
$x=\displaystyle \frac{3(6+\sqrt{3})}{(6-\sqrt{3})(6+\sqrt{3})}c$
$\phantom{ x } \displaystyle =\frac{\cancel{3}(6+\sqrt{3})}{\cancel{33}^{11}}c$
より
となる。
解答エ:6, オ:1, カ:1
これが①の解になるのは、⑤が式Bの範囲に含まれるとき。
つまり
$\displaystyle \frac{6+\sqrt{3}}{11}c \lt c-\frac{1}{3}$
のとき。
これを$c$について整理すると、
途中式
$\displaystyle \frac{1}{3} \lt c - \frac{6+\sqrt{3}}{11}c$
$\displaystyle \frac{11}{3} \lt 11c - (6+\sqrt{3})c$
$\displaystyle \frac{11}{3} \lt (5-\sqrt{3})c$
この両辺を$5-\sqrt{3}$で割るんだけど、
$\sqrt{3} \lt 5$
より
$0 \lt 5-\sqrt{3}$
だから、不等号の向きは変わらない。
よって、
$\displaystyle \frac{11}{3(5-\sqrt{3})} \lt c$
分母を有理化して、
$\displaystyle \frac{11(5+\sqrt{3})}{3(5-\sqrt{3})(5+\sqrt{3})} \lt c$
$\displaystyle \frac{\cancel{11}(5+\sqrt{3})}{3\cdot \cancel{22}^{2}} \lt c$
より、
⑤が解になるのは
$\displaystyle \frac{5+\sqrt{3}}{6} \lt c$
のときである。
解答キ:5
これを数直線で表すと、図Bのようになる。
(2)
(1)で考えたように、①の方程式の解の候補は③と⑤の2つあるけど、$c$の値によって解だったり解じゃなかったりする。
それを数直線で表したのが図Aと図Bだった。
ここで、図Aと図Bをひとつの数直線にまとめておく(図C)。
図Cより、
①の方程式が異なる2つの解をもつ、つまり、③も⑤も解なのは、図Cの赤い部分だけだから、
$\displaystyle \frac{5+\sqrt{3}}{6} \lt c$
のときだけ
解答ク:1
①の方程式がただ一つの解をもつ、つまり、③と⑤の片方だけが解なのは、
$c=\displaystyle \frac{5+\sqrt{3}}{6}$
のときだけ
解答ケ:4
①の方程式が解をもたない、つまり、③も⑤も解じゃないのは、
$c \lt \displaystyle \frac{5+\sqrt{3}}{6}$
のときだけ
解答コ:7
であることが分かる。