大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅠA 第2問 [1] 別解 解説

はじめに

この問題は2次関数の単元だけど、2次関数を全く使わなくても解くことができる。
数学というよりも中学入試の算数的な解き方で、共通テスト本番には全くお勧めしないけど、せっかくなので解説しておく。
二次関数による一般的な解法はこちらのページを見てほしい。

(1)

どうせ一般的じゃない解き方を解説するのなら、とびきり変わった方法で解こう。
最初は、直線が辺CD(点C,点Dを除く)と交わるとき、つまり 点Rが辺CD(両端を除く)上にあるときのAPの範囲だ。
イメージがつかみにくいのは、3点PQRがひとつの直線上にないから。
コンセプトは「直線上にないなら、直線上にあるようにすればいいじゃない」だ。

図A
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図A

図Aのように、直線BCに関して 点D,点Rと対称な点をとり、それぞれ点D,点Rとする。

このとき、
BQP=CQR=CQR=45
だから、PRは直線だ。

CR=CRなので、点Rが辺CD(両端を除く)上にあるためには、
Rが緑の線の範囲 にあればよい。

さらに、点Pは辺AB(点Bを除く)上にあるから、
Pは図中の青い線の範囲 にある。

以上より、求める範囲は
直線PRが図中の黄色い範囲(点線を除く)にあるとき なので、
Pが図中の赤い線の範囲にあるとき といえる。

この点Pの範囲を、APの長さの範囲にしよう。

図Aのグレーの直角二等辺三角形は、AD6だからDU6だ。
よって、
UD=DDDU
UD=(5+5)6
UD=4
だけど、このUDは赤い線と長さが等しい。

以上より、求めるAPの範囲は
0AP<4式A
である。

解答ア:4


Pが式Aの範囲にあるとき、
Sは辺AD(点Dを除く)上 Tは線分PQ(両端を除く)上 にある。
長くなるので、理由は省略。
気になる人はこちらを見てほしい。

したがって、このとき、例えば図形は図Bのような状態になる。

図B
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図B

四角形QRSTは長方形なので、
QR=ST
RS=TQ
だから、図B中の同じ色の直角二等辺三角形は合同だ。

よって、図中の赤い長方形は、4辺の長さが等しいから正方形である。


ここでちょっと復習だ。
いや、復習って言っても、数学じゃなくて算数の復習をする。

小学校で習ったかも知れないけど、

復習

図C
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図C

図Cのように 赤い正方形に45の角度で紫の長方形が内接しているとき、
紫の長方形が正方形に近い形であるほど面積は大きく、正方形のときに最大。 最大のとき、面積は赤い正方形の半分。

だった。
長くなるので、こうなる理由は省略する。
習ってなければごめん。

図D
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図D

図Dのように、赤い正方形のCD以外の頂点をEF、点Pから線分EFに下ろした垂線の足をHとする。

図Dで、
HT=PH=BF=BCFC
HT=PH=BF=65
HT=PH=BF=1
だ。

また、
EH=AP
なので、
ET=EH+HT

ET=AP+1
とかける。

これと、式Aより
1ET<5
だから、点Tは図Dの緑の線の範囲にある。

よって、点TEFの中点になること、つまり、四角形QRSTが正方形になることは可能だ。

以上より、四角形QRSTの面積が最大になるのは正方形のときで、その面積は赤い正方形の面積の半分の
12×5×5=252
である。

解答イ:2, ウ:5, エ:2


次はa=8のとき。

a=6のときと同様に考えると、点Rが辺CD(両端を除く)上にあるのは、点Pが図Eの赤い線の範囲にあるとき。

図E
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図E

赤い線の長さは
=DDグレーの三角形の高さ
より
=(5+5)8
=2
となる。

よって、a=8のときのAPの範囲は
0AP<2式B
である。

このとき、図形は、例えば図Fのような状態だ。

図F
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図F

今回も、赤い四角形は正方形だ。

ここから先もa=6のときと同じ作業をすると、
図Fで、
HT=PH=BF=BCFC
HT=PH=BF=85
HT=PH=BF=3
だ。

また、
EH=AP
なので、
ET=EH+HT

ET=AP+3
とかける。

これと、式Bより
3ET<5
だから、点Tは図Fの緑の線の範囲にある。


この範囲にEFの中点は含まれないので、四角形QRSTは正方形にはならない。
なので、面積が最大になるのは、QRSTが正方形に一番近くなる、点Tが緑の範囲の上端にあるときだ。

このとき、点Pは点Aと重なるので、図形は図Gのようになる。

図G
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図G

図Gの四角形QRSTの面積Sは、
S=赤い正方形
      黄色い三角形×2青い三角形×2式C
とかける。

赤い正方形の面積は、
=5×5
=25

黄色い三角形の面積は、
ET=EP
ET=85
ET=3
なので、
=12×3×3

青い三角形の面積は、
FT=EFET
FT=53
FT=2
なので、
=12×2×2

以上を式Cに代入して、このときの面積の最大値Sは、
S=251232212222
S=253222
S=12
である。

解答オ:1, カ:2

(2)

図H
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図H

(1)と同様に考えると、点Rが辺CD(両端を除く)上にあるのは、点Pが図Hの赤い線の範囲にあるとき。

赤い線の長さは
=DDグレーの三角形の高さ
より
=(5+5)a
=10a
だ。

よって、このときのAPの範囲は
0AP<10a
である。

解答キ:1, ク:0


ここまでくると図形の変化がだいたいイメージできただろうか。

Tを通りABと平行な直線と、ADBCの交点をそれぞれEFとすると、四角形CDEFは必ず正方形になる。
なので、この正方形CDEFを固定して、aが変化すると 辺ABが左右に動く、と考えると分かりやすいかもしれない。

aAPの値を変えられる図を、図Iに載せた。
スライダーをいろいろ動かしてみて、イメージをつかんでほしい。

図I
a
8
AP
1

イメージが頭に入ったところで、問題に戻ろう。
長方形QRSTの面積の最大値が252であるようなaの範囲を求める。

イウで考えたように、QRSTの面積が252になるのは正方形のときで、点TEFの中点のとき。
このとき、図形は図Jのようになる。

図J
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図J

このような図になるためには、点Pが図Jの紫の線上にないといけないので、辺ABは緑の範囲にある。
つまり、直線DEと直線QTの交点をUとすると、点Aは線分EU(点Eを除く)上にある。
式で表すと
0<AEUE
だ。

このとき、
UE=ET=12×EF
UE=ET=52
なので、
0<AE52
であることが分かる。

ここで、
a=AE+ED
a=AE+5
なので、求めるaの範囲は
5<a152
である。

解答ケ:1, コ:5, サ:2


aがこの範囲にないとき、つまり
152<a<10
のとき、辺ABは図Jの緑の範囲よりも左にある。
したがって、図Kのように 点TEFの中点よりも下にあるから、四角形QRSTは正方形にならない。

図K
大学入学共通テスト2022年追試 数学ⅠA第2問[1] 別解 解説図K

このとき、QRSTの面積が最大になるのは、できるだけ正方形に近い形のとき。
つまり、点TEFの中点に一番近づくときだから、点Pと点Aが重なるとき。
よって、図Kのオレンジの面積が 152<a<10 におけるQRSTの面積の最大値だ。

この面積をSとすると、
S=赤い正方形
      黄色い三角形×2青い三角形×2式D
とかける。

赤い正方形の面積は、
=5×5
=25

黄色い三角形の面積は、
ET=EP
ET=a5
なので、
=12×(a5)×(a5)

青い三角形の面積は、
FT=EFET
FT=5(a5)
FT=10a
なので、
=12×(10a)×(10a)

以上を式Cに代入して、このときの面積の最大値Sは、
S=2512(a5)2212(10a)22
S=25(a5)2(10a)2

途中式 因数分解すると
S={5+(a5)}{5(a5)}(10a)2
S=a(10a)(10a)2
S=(10a){a(10a)}
S=(10a)(102a)
S=2a2+30a100
だけど、今回は単純に展開して
S=25(a210a+25)(a220a+100)
S=25a2+10a25a2+20a100
S=2a2+30a100
としたほうが早い。
なので、
S=2a2+30a100
である。

解答シ:-, ス:2, セ:3, ソ:0, タ:1, チ:0, ツ:0