大学入学共通テスト 2022年(令和4年) 追試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説
(1)
$\ell_{1}$と$x$軸の交点の$x$座標は、$\ell_{1}$の式に$y=0$を代入して
$3x+2\cdot 0-39=0$
より
$x=13$
である。
解答ア:1, イ:3
次の「$k$ の値に関係なく」にはお約束があって、
復習
「$k$ の値に関係なく」と言われたら、方程式を $k$ について整理する
だった。
$\ell_{2}$の式を $k$ について整理すると、
$kx-5k-y+12=0$
より
$k(\textcolor{red}{x-5})-y+12=0$式A
とかける。
この式の赤い部分が$0$のとき、つまり
$x=5$
のとき、式Aから $k$ は消えて、
$-y+12=0$
より
$y=12$
となる。
よって、
$x=5$
のときは、$k$ がどんな値であっても
$y=12$
なので、$\ell_{2}$は $k$ の値に関係なく$(5,12)$を通る。
解答ウ:5, エ:1, オ:2
(2)
今度は、$\ell_{1}$,$\ell_{2}$,$x$軸の3直線で三角形が作れない場合。
つまり、直線同士が平行(重なるときも含む)になる場合を考えればよい。
いま、$\ell_{1}$と$x$軸とは平行じゃない。
なので、
$\ell_{2}$ ∥ $x$軸
$\ell_{2}$ ∥ $\ell_{1}$
の2つの場合を考える。
$\ell_{2}$ ∥ $x$軸 の場合
$\ell_{2}$の式を変形すると
$y=kx-5k+12$
となるから、$\ell_{2}$の傾きは
$k$
である。
この傾きが$0$、つまり
$k=0$
のとき、$\ell_{2}$と$x$軸は平行になり、三角形はできない。
解答カ:0
$\ell_{2}$ ∥ $\ell_{1}$ の場合
$\ell_{1}$の式を変形すると
$2y=-3x+39$
$y=-\displaystyle \frac{3}{2}x+\frac{39}{2}$
となるから、$\ell_{1}$の傾きは
$-\displaystyle \frac{3}{2}$式B
である。
$\ell_{2}$の傾きが式Bと等しい
$k=-\displaystyle \frac{3}{2}$
のとき、2つの直線は平行になる。(この場合は、$\ell_{1}$と$\ell_{2}$は重なる)
このとき、三角形はできない。
解答キ:-, ク:3, ケ:2
(3)
$\ell_{2}$が$(-13,0)$を通るときの$k$は、式Aに$(-13,0)$を代入して、
$k(-13-5)-0+12=0$
より
$k=\displaystyle \frac{-12}{-18}$
$\phantom{ k\displaystyle } \displaystyle =\frac{2}{3}$
である。
解答コ:2, サ:3
このとき、三角形の3つの頂点を点$\mathrm{A}$,$\mathrm{B}$,$\mathrm{C}$とすると、領域$D$は図Aのようになる。
また、領域$E$の
$x^{2}+y^{2}\leqq r^{2}$
は、原点を中心とした半径$r$の円の周および内部にあたる。
よって、$D$が$E$に含まれるためには、点$\mathrm{A}$,$\mathrm{B}$,$\mathrm{C}$と原点との距離が$r$以下であればよい。
つまり、連立不等式
$\mathrm{OA}\leqq r$
$\mathrm{OB}\leqq r$
$\mathrm{OC}\leqq r$
式C
が成り立てばよい。
いま、
$\mathrm{OA}=13$
$\mathrm{OB}=13$
$\mathrm{OC}=\sqrt{5^{2}+12^{2}}$
$\phantom{ \mathrm{OC} } =13$
である。
よって、式Cから、求める$r$の範囲は
$13\leqq r$
であることが分かる。
解答シ:1, ス:3
$r=13$のとき、領域$E$は図Bのようになる。
このとき、
$\mathrm{OB}=13=r$
$\mathrm{OC}=13=r$
なので、$D$が$E$に含まれるためには、点$\mathrm{A}$($\ell_{2}$と$x$軸の交点)が、図中の赤線上にあればよい。
$\ell_{2}$は必ず点$\mathrm{C}$を通る。
よって、$x$軸と赤線上で交わるためには、$\ell_{2}$は図中の
青い矢印の範囲
または
オレンジの矢印の範囲
にないといけない。
$\ell_{2}$が青い矢印の範囲にあるとき
$\ell_{2}$の傾きは、図中の紫の直線の傾きより大きいか、等しい。
紫の直線は図Aの 直線$\mathrm{AC}$ にあたるので、傾きはコサで求めた
$\displaystyle \frac{2}{3}$
である。
よって、このときの$\ell_{2}$の傾き$k$は
$\displaystyle \frac{2}{3}\leqq k$
となる。
解答セ:2, ソ:3
$\ell_{2}$がオレンジの矢印の範囲にあるとき
$\ell_{2}$は、$\ell_{1}$よりも右下がりになる。
つまり、$\ell_{2}$の傾きは $\ell_{1}$より小さい。
式Bより、$\ell_{1}$の傾きは
$-\displaystyle \frac{3}{2}$
だった。
よって、このときの$\ell_{2}$の傾き$k$は
$k \lt -\displaystyle \frac{3}{2}$
である。
解答タ:-, チ:3, ツ:2
別解1
点$\mathrm{A}$が図Bの赤線上にあるので、
$-13\leqq$点$\mathrm{A}$の$x$座標$ \lt 13$式D
とかける。
点$\mathrm{A}$は$\ell_{2}$と$x$軸の交点なので、$\ell_{2}$の式に$y=0$を代入して、$x$座標は
$kx-0-5k+12=0$
より
$kx=5k-12$
$x=5-\displaystyle \frac{12}{k}$式E
である。
よって、式Dは
$-13\displaystyle \leqq 5-\frac{12}{k} \lt 13$
$-18\displaystyle \leqq-\frac{12}{k} \lt 8$式D'
と表せる。
ここで 各辺に$k$をかけるんだけど、$k$が正か負かわからない。
負のときは、かけると不等号の向きが変わってしまう。
なので、場合分けだ。
$0 \lt k$のとき
式D'は
$-18k\leqq-12 \lt 8k$
$18k\geqq 12 \gt -8k$
より
$18k\geqq 12$
$3k\geqq 2$
$\displaystyle \frac{2}{3}\leqq k$
$12 \gt -8k$
$-3 \lt 2k$
$-\displaystyle \frac{3}{2} \lt k$
となる。
これと、場合分けの
$0 \lt k$
をあわせて、この場合の$k$の範囲は
$\displaystyle \frac{2}{3}\leqq k$
である。
解答セ:2, ソ:3
$k \lt 0$のとき
式D'は
$-18k\geqq-12 \gt 8k$
$18k\leqq 12 \lt -8k$
より
$18k\leqq 12$
$3k\leqq 2$
$k\displaystyle \leqq\frac{2}{3}$
$12 \lt -8k$
$-3 \gt 2k$
$k \lt -\displaystyle \frac{3}{2}$
となる。
これと、場合分けの
$k \lt 0$
をあわせて、この場合の$k$の範囲は
$k \lt -\displaystyle \frac{3}{2}$
となる。
解答タ:-, チ:3, ツ:2
別解2
式Cより
$\mathrm{OA}\leqq r$
なので、
$\mathrm{OA}\leqq 13$
となる$k$の範囲を求める。
$\mathrm{OA}=|$点$\mathrm{A}$の$x$座標$|$
で、別解1の式Eより
点$\mathrm{A}$の$x$座標$=5-\displaystyle \frac{12}{k}$
だから、
$\displaystyle \left|5-\frac{12}{k}\right|\leqq 13$
という式が作れる。
この式の絶対値をはずすと、
$-13\displaystyle \leqq 5-\frac{12}{k}\leqq 13$
$-18\displaystyle \leqq-\frac{12}{k}\leqq 8$式F
とかける。
式Fは別解1の式D'とほぼ同じなので、途中計算は省略する。
式Fを解くと、式D'のときと少し違う
$k \textcolor{red}{\leqq}-\displaystyle \frac{3}{2}$,$\displaystyle \frac{2}{3}\leqq k$式F'
になるけど、キクケより
$k=-\displaystyle \frac{3}{2}$
のときは三角形が出来ないので不適。
なので、答えは、式F'から$k=-\displaystyle \frac{3}{2}$を除いた
$k \textcolor{red}{ \lt }-\displaystyle \frac{3}{2}$,$\displaystyle \frac{2}{3}\leqq k$
である。
解答セ:2, ソ:3, タ:-, チ:3, ツ:2