大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅡB 第2問 [1] 解説

(1)

$k$が正の定数のときの
$f(x)=x^{2}(k-x)$式A
を考える。

まず、
$y=f(x)$
のグラフの形を考えよう。
この問題はグラフなしでも解けるけど、可能なときはグラフを描いて、目で見ながら考えることをおすすめする。

式Aより、$f(x)=0$になるのは
$x=0$,$k$式B
のときなので、$y=f(x)$のグラフと$x$軸との共有点は
$(0,0)$,$(k,0)$
だ。

解答ア:4

この2つの共有点について、式Bの$x=0$は重解,$x=k$は重解じゃないので
$(0,0)$は接点,$(k,0)$は交点 であることが分かる。

また、式Aを展開すると
$f(x)=-x^{3}+kx^{2}$式A'
なので、$x^{3}$の係数は負である。

復習

三次関数のグラフは、

大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[1] 復習図
$x^{3}$の係数が正のとき、全体として右上がりの、右図のような形に、
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[1] 復習図
$x^{3}$の係数が負のとき、全体として右下がりの、右図のような形になる。

以上より、$y=f(x)$のグラフは、
原点で$x$軸に接する
$(k,0)$で$x$軸と交わる
全体として右下がり
の三次関数なので、図Aのようになる。

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[1] 解説図A

さらに、式A'を微分すると、$f(x)$の導関数$f'(x)$は
$f'(x)=-3x^{2}+2kx$
である。

解答イ:-, ウ:3, エ:2

これはさらに
$f'(x) =(-3x+2k)x$
と変形できるから、
$f'(x)=0$
となる$x$は
$x=0$,$\dfrac{2}{3}k$
だ。

よって、
図Aの赤い点の$x$座標は
$\dfrac{2}{3}k$
$y$座標は、これを式Aに代入して、
$\left(\dfrac{2}{3}k\right)^{2}\left(k-\dfrac{2}{3}k\right)=\left( \dfrac{2}{3}\right)^{2}\left(\dfrac{3}{3}-\dfrac{2}{3}\right)k^{3}$

途中式 $\hspace{134px}=\dfrac{2^{2}}{3^{2}}\cdot\dfrac{3-2}{3}k^{3}$
$\hspace{134px}=\dfrac{2^{2}}{3^{3}}k^{3}$
$\hspace{134px}=\dfrac{4}{27}k^{3}$
である。

以上より、関数$f(x)$は
$x=0$のとき 極小値$0$ $x=\dfrac{2}{3}k$のとき 極大値$\dfrac{4}{27}k^{3}$ をとることが分かる。

解答オ:0, カ:0, キ:3, ク:9

また、図Aより、$0 \lt x \lt k$において$f(x)$が最大になるのは、赤い点の
$x=\dfrac{2}{3}k$
のときなので、最大値は極大値と同じ
$\dfrac{4}{27}k^{3}$
だ。

(2)

問題文中の図を真横から見ると、図Bのような状態だ。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[1] 解説図B

図Bで、円柱の高さを$h$とすると、緑の三角形の高さは
$15-h$
とかける。

赤い三角形と緑の三角形は相似なので、
$9:15=x:15-h$
より

途中式 $9(15-h)=15x$
$3(15-h)=5x$
$15-h=\dfrac{5}{3}x$
$h=15-\dfrac{5}{3}x$
となる。

よって、円柱の体積を$y$とすると、
$y=$底面積$\times$高さ

途中式 $\phantom{ y } =\pi x^{2}\times\left(15-\dfrac{5}{3}x\right)$
$\phantom{ y } =\pi x^{2}\times\left(\dfrac{15\cdot 3}{3}-\dfrac{5}{3}x\right)$
$\phantom{ y } =\dfrac{5}{3}\pi x^{2}(9-x)\qquad (0 \lt x \lt 9)$式C
と表せる。

解答ケ:5, コ:3, サ:9


ここで、(1)での作業を振り返ってみると、
$f(x)=x^{2}(k-x)$
の$0 \lt x \lt k$における最大値は
$x=\dfrac{2}{3}k$のとき$\dfrac{4}{27}k^{3}$
だった。

このことから、
$y=x^{2}(9-x)$式D
の$0 \lt x \lt 9$における最大値は
$x=\dfrac{2}{3}\cdot 9$
$\phantom{ x } =6$式E
のとき
$\dfrac{4}{27}\cdot 9^{3}=4\cdot 9\cdot 3$式F
であることが分かる。

また、式Dのグラフを$y$軸方向に$\dfrac{5}{3}\pi$拡大すると、式Cのグラフができる。(図C)

図C
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅡB第2問[1] 解説図C

以上より、式Cの$y$、つまり円柱の体積$V$が

最大となるのは、式Eと同じ
$x=6$
のとき

解答シ:6

最大値は、式F$\times\dfrac{5}{3}\pi$の
$ 4\cdot 9\cdot 3\cdot\dfrac{5}{3}\pi=180\pi$

解答ス:1, セ:8, ソ:0

である。