大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学Ⅰ 第4問 [1] 解説
(1)
$y=f(x)$の式
$y=(x-2)(x-8)+p$
は
$y-p=(x-2)(x-8)$
と変形できるから、放物線
$y=(x-2)(x-8)$式A
を$y$軸方向に$p$平行移動したもの。
式Aの放物線は、$x$軸と
$x=2$,$8$
で交わるので、頂点の$x$座標は
$\dfrac{2+8}{2}=5$
である。
よって、頂点の$y$座標は、式Aに$x=5$を代入した
$(5-2)(5-8)=-9$
となるから、式Aの放物線の頂点は
$(5,-9)$式B
だ。
$y=f(x)$の頂点は、式Aの放物線の頂点を$y$軸方向に$p$平行移動したものなので、式Bより
$(5,-9+p)$
となる。
解答ア:5, イ:-, ウ:9
別解
上では、できるだけ計算量が少ない方法を説明した。
けれど、この問題では$f(x)$はややこしい式じゃないから、展開して計算した方が早いかも知れない。
その場合は次のような作業になる。
$y=f(x)$の式を展開すると
$y=x^{2}-10x+16+p$
とかける。
これを平方完成すると
$y=(x^{2}-10x+25)-25+16+p$
$\phantom{ y } =(x-5)^{2}-9+p$
と変形できる。
よって、$y=f(x)$の頂点の座標は
$(5,-9+p)$
である。
解答ア:5, イ:-, ウ:9
(2)
$f(x)$の$x^{2}$の係数は$1$で正だから、二次関数$y=f(x)$のグラフは下に凸だ。
なので、頂点の$y$座標が
正のとき、$x$軸と共有点をもたない
$0$のとき、頂点で$x$軸と接する
負のとき、$x$軸と異なる2点で交わる
ことになる。
イウより、頂点の$y$座標は$-9+p$だから、
$-9+p \gt 0$
つまり
$p \gt 9$
のとき、$y=f(x)$のグラフは$x$軸と共有点をもたない。
解答エ:9
$-9+p=0$
つまり
$p=9$
のとき、$y=f(x)$は$x$軸と頂点で接するから、接点の$x$座標は
$x=5$
である。
解答オ:5
$-9+p \lt 0$
つまり
$p \lt 9$
のとき、$y=f(x)$のグラフは$x$軸と異なる2点で交わる。
ことが分かる。
(3)
$y=f(x)$のグラフは、
$x^{2}$の係数が$1$
頂点が$(5,-9+p)$
であることが分かっている。
なので、これを$x$軸方向に$-3$,$y$軸方向に$5$平行移動した$y=g(x)$は、
$x^{2}$の係数が$1$
頂点が$(5-3,-9+p+5)=(2,-4+p)$
になる。
よって、$g(x)$の式は
$g(x)=(x-2)^{2}-4+p$
より
$g(x)=x^{2}-4x+4-4+p$
$\phantom{ g(x) } =x^{2}-4x+p$
とかける。
解答カ:4
別解
$f(x)$の式をそのまま平行移動すると、次のようになる。
$y=(x-2)(x-8)+p$
の$x$に$x+3$,$y$に$y-5$を代入すると、
$y-5=\{(x+3)-2\}\{(x+3)-8\}+p$
とかける。
これを計算すると
$$
\begin{align}
y&=(x+1)(x-5)+5+p\\
&=x^{2}-4x-5+5+p\\
&=x^{2}-4x+p
\end{align}
$$
なので、
$g(x)=x^{2}-4x+p$
である。
解答カ:4
最後に
$y=\left|f(x)-g(x)\right|$式C
を考える。
式Cに$f(x)$と$g(x)$の式を代入すると、
$y=\left|(x-2)(x-8)+p-(x^{2}-4x+p)\right|$
$\phantom{ y } =\left|x^{2}-10x+16+p-x^{2}+4x-p\right|$
$\phantom{ y } =\left|-6x+16\right|$
と表せる。
このグラフは
$y=-6x+16$
のグラフの$x$軸より下の部分を折り返したものだから、図Aのオレンジの折れ線である。
折れ曲がる点の$x$座標は
$-6x+16=0$
より
$$
\begin{align}
x&=\dfrac{16}{6}\\
&=\dfrac{8}{3}
\end{align}
$$
だ。
図Aより、式Cのグラフは
$x=\dfrac{8}{3}$で最小値$0$をとる
ことが分かる。
解答キ:8, ク:3