大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

(1) (i)

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図A

図Aの△ABCに正弦定理を使うと、
ABsinACB=2R
より
6sinACB=25
とかける。

これを計算して、
sinACB=35
である。

解答サ:0

図Aでは 点Cを緑の弧上にとったけど、オレンジの弧上にあっても ここまでの計算は変わらない。


次はcosACBだ。

sin2ACB+cos2ACB=1
は、より
(35)2+cos2ACB=1
と表せる。

これを解いて、

途中式 cos2ACB=1(35)2
cos2ACB=523252
cos2ACB=4252
cosACB=±45式A
である。

今はACBが鈍角のとき(点Cが図Aのオレンジの弧上にあるとき)を問われているので、
cosACB<0
だ。

よって、求めるcosACBは、式Aの2つの値のうち
cosACB=45
である。

解答シ:7

(1) (ii)

次は、△ABCの面積が最大であるときを考える。

図Aより、このときの点Cは緑の弧上にあることは明らか。
なので、点Cが図Aのオレンジの弧上にあるときは考えない。


ABCの底辺をABとする。
Cの位置が変わると、△ABC
底辺は変わらない 高さは変わる ことになる。

なので、△ABCの面積が最大になるのは、高さが最大のとき。
つまり、点Cと直線ABの距離が最大のとき。

これは、図Bのように、点C
ABと平行な直線が円Oと接するときの接点 であるときだ。
この、点Cを通る接線をとする。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

Cから辺ABに垂線を下ろし、その足を点Dとすると、
二本の赤い直線は平行なので、CD だから、CDは接点を通り、接線と垂直な直線だ。

よって
CDは円の中心Oを通る から、このときの図形は図Bのようになる。

図Bにおいて、AO=BO=Oの半径なので
図中の青い三角形と黄色の三角形は合同 となり、
DABの中点である ABCAC=BCの二等辺三角形である ことが分かる。

ここまで分かったところで、問題を解こう。


図C
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図C

まず問われているのは、tanOAD(図Cの赤丸の角)だ。

図Cの青い三角形は直角三角形だから、
tanOAD=ODAD式B
とかける。

青い三角形の辺は
AD=12AB=3 AO=Oの半径=5 なので、辺の比が3:4:5だから、
OD=4
だ。

よって、式Bは
tanOAD=43
と書きなおせる。

解答ス:4


ここで
CD=OC+OD
だけど、OCは円Oの半径なので
CD=5+4=9
だ。
これが△ABCの高さにあたる。

以上より、このときの△ABCの面積は、
ABC=12ABCD
=1269
=27
である。

解答セ:2, ソ:7

(2) タ~ト

まず、△PQRの面積から。

PQRは、図Dのような形だ。

図D
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図D

この△PQRに余弦定理を使うと、
QR2=PQ2+PR22PQPRcosQPR
より

途中式 52=82+92289cosQPR
とかける。
これを計算して、
289cosQPR=82+9252
cosQPR=82+(9+5)(95)289=82+144289=8+729=1529 より
cosQPR=56
である。

解答タ:5, チ:6

このとき、
sin2QPR+(56)2=1
だから

途中式 sin2QPR=1(56)2=625262=1162 なので
sinQPR=116
となる。

よって、△PQRの面積は、
PQR=12PQPRsinQPR
より
PQR=1289116
と表せる。

これを計算して、
PQR=611
である。

解答ツ:6, テ:1, ト:1

別解

この問題ではcosQPRも問われているから上のように解いたけど、面積を求めるだけならヘロンの公式の方が早い。

PQRの各辺の和の12
8+5+92=11
なので、ヘロンの公式より
PQR=11(118)(115)(119)
とかける。

これを計算して、求める面積は
PQR=11362
=1162
=611
である。

解答ツ:6, テ:1, ト:1

(2) ナ~ハ

ここから先は初めて見る感じの問題かも知れない。
けれど、焦らなくても大丈夫。
共通テストやセンター試験によくある、前の問題がヒントになっているパターンだ。
(1)の(ii)での作業を思い出して、同じことをしてみよう。


(1)(ii)の図Bと同様に考えよう。

三角錐TPQRの底面を△PQRとする。
Tの位置が変わると、三角錐TPQR
底面積は変わらない 高さは変わる ことになる。

なので、三角錐TPQRの体積が最大になるのは、高さが最大のとき。
つまり、点Tと平面αの距離が最大のとき。

これは、図Eのように、点T
平面αと平行な平面が球Sと接するときの接点 であるときだ。

この、点Tを通る平面をβとする。

図E
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図E

Tから平面αに垂線を下ろし、その足を点Hとすると、
平面αと平面βは平行なので、THβ だから、THは接点を通り、接する面と垂直な直線だ。

よって、
THは球の中心Sを通る から、PS=QS=RS=Sの半径であり、
図中の青,黄,オレンジの3つの三角形は合同 である。

したがって、
PH=QH=RH だ。

解答ナ:6

このことから、
Hは△PQRの外心である ことが分かる。


次は、(1)(ii)と同様に、青い直角三角形を使ってHSを求める。
そのために、まずPSPHを求めよう。

PSは球Sの半径なので、
PS=5
である。

また、点Hは△PQRの外心なので、PHは外接円の半径だ。

なので、△PQRに正弦定理を使うと
QRsinQPR=2PH
より

途中式 5116=2PH
とかける。 これを整理すると
PH=1511
だ。

よって、三平方の定理より
HS2=PS2PH2

途中式 HS2=52(1511)2
HS2=52{12(311)2}
HS2=5211911
HS2=52211
となるから、
HS=5211
である。


ここまでくると勝ったも同然。
あとは単なる計算だ。

TH=TS+HS
だけど、TSは球Sの半径なので
TH=5+5211
TH=5(1+211)
である。
これが三角錐TPQRの高さにあたる。

以上より、このときの三角錐TPQRの体積は、
四角錐TPQR=13PQRTH

途中式 =136115(1+211)
=1011(1+211)
=10(11+2)
である。

解答ニ:1, ヌ:0, ネ:1, ノ:1, ハ:2