大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅠA 第5問 解説

(1)

手順1の通りに作図すると、図Aのようになる。

図A
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図A

図Aの緑の直線が 円$\mathrm{O}$の接線であることを示したい。

復習

円$\mathrm{O}$と直線$\ell$が点$\mathrm{E}$で接する$\Leftrightarrow$点$\mathrm{E}$を通る円$\mathrm{O}$の半径が、点$\mathrm{E}$を通る直線と垂直

なので、緑の直線が円$\mathrm{O}$の接線であることを証明するためには、
$\angle \mathrm{OEH}=90^{\circ}$
であることを示せばよい。

解答ア:9, イ:0


問題を解く前に、図Aに ぱっと見て分かることを書き込んでおこう。

$\angle \mathrm{OCB}=90^{\circ}$

詳しく $\mathrm{OA}=\mathrm{OB}$ (円$\mathrm{O}$の半径)
なので、△$\mathrm{OAB}$は二等辺三角形。
二等辺三角形の頂点から引いた中線は底辺の垂直二等分線なので、
$\angle \mathrm{OCB}=90^{\circ}$

$\mathrm{DF}=\mathrm{GF}$

詳しく $\mathrm{OD}=\mathrm{OG}$ (円$\mathrm{O}$の半径)
なので、△$\mathrm{ODG}$は二等辺三角形。
二等辺三角形の頂点から底辺におろした垂線は底辺の中点を通るので、
$\mathrm{DF}=\mathrm{GF}$

$\angle \mathrm{DOF}=\angle \mathrm{GOF}$

詳しく 二等辺三角形の底辺の垂直二等分線は頂角の二等分線なので、
$\angle \mathrm{DOF}=\angle \mathrm{GOF}$

直線$\mathrm{EG}$を引くと、
$\angle \mathrm{FOG}=\angle \mathrm{DEG}$

詳しく $\angle \mathrm{FOG}=\dfrac{1}{2}\angle \mathrm{DOG}$ $\angle \mathrm{DEG}=\dfrac{1}{2}\angle \mathrm{DOG}$ なので、
$\angle \mathrm{FOG}=\angle \mathrm{DEG}$

他にもいろいろあるけど、とりあえずこのくらいで。
以上を図Aに書き込むと、図Bができる。

図B
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図B

図Bより
$\angle \mathrm{OGH}+\angle \mathrm{OCH}=180^{\circ}$
なので、図Cのように、
4点$\mathrm{C}$,$\mathrm{G}$,$\mathrm{H}$,$\mathrm{O}$は同一円周上にある ことが分かる。

解答ウ:3

図C
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図C

復習

円に内接する四角形の内角は、その対角の外角と等しい

四角形$\mathrm{COGH}$は青い円に内接するので、復習より
$\angle \mathrm{CHG}=\angle \mathrm{FOG}$
である。

解答エ:4

さらに、図Cより
$\angle \mathrm{FOG}=\angle \mathrm{DEG}$
である。

解答オ:3

よって、
$\angle \mathrm{CHG}=\angle \mathrm{CEG}$
となるので、円周角の定理の逆より、
4点$\mathrm{C}$,$\mathrm{G}$.$\mathrm{H}$,$\mathrm{E}$は同一円周上にある といえる。

解答カ:2

この円は図Cの青い円なので、点$\mathrm{O}$も通る。
このとき、同じ弧に対する円周角は等しいから、
$\angle \mathrm{OEH}=\angle \mathrm{OCH}$
より
$\angle \mathrm{OEH}=90^{\circ}$ であることが分かる。

以上で、直線$\mathrm{EH}$は円$\mathrm{O}$の接線であることが証明できた。

(2)

もう一度、作図だ。
手順2の通りに作図すると、図Dのようになる。

図D
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図D

このとき、(1)と同様に考えると 次のことが分かる。

4点$\mathrm{P}$,$\mathrm{O}$,$\mathrm{S}$,$\mathrm{T}$は同一円周上にある。

詳しく $\angle \mathrm{OPT}+\angle \mathrm{OST}=180^{\circ}$
なので、四角形$\mathrm{POST}$は円に内接する。
つまり、4点$\mathrm{P}$,$\mathrm{O}$,$\mathrm{S}$,$\mathrm{T}$は同一円周上にある。

この4点を通る円を円$\mathrm{U}$とすると、円$\mathrm{U}$は△$\mathrm{PST}$の外接円にあたる。

図E
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図E

図Dに多少書き加えて図Eをつくった。

この図Eにおいて、

$=$

詳しく 四角形$\mathrm{POST}$は円に内接する。
円に内接する四角形の内角は、その対角の外角と等しいので、
$=$

$=$

詳しく △$\mathrm{OQS}$は二等辺三角形で、二等辺三角形の頂点から底辺に下ろした垂線は頂角の二等分線なので、
$=\dfrac{1}{2}\angle \mathrm{QOS}$
円周角$=\dfrac{1}{2}$中心角なので、
$=\dfrac{1}{2}\angle \mathrm{QOS}$
だから
$=$

なので、
$=$
であることが分かる。

解答キ:3

よって、4点$\mathrm{P}$,$\mathrm{R}$,$\mathrm{S}$,$\mathrm{T}$は同一円周上にある。

詳しく 四角形$\mathrm{PRST}$において、
$=$
より、$\angle \mathrm{PTS}$は、対角$\angle \mathrm{PRS}$の外角と等しい。
したがって、四角形$\mathrm{PRST}$は円に内接する。

4点$\mathrm{P}$,$\mathrm{R}$,$\mathrm{S}$,$\mathrm{T}$を通る円は△$\mathrm{PST}$の外接円なので、円$\mathrm{U}$だ。
なので、点$\mathrm{O}$もこの円周上にある。

このとき、同じ弧に対する円周角は等しいから、
$\angle \mathrm{ORT}=\angle \mathrm{OPT}$
$\phantom{ \angle \mathrm{ORT} } =90^{\circ}$
となるので、直線$\mathrm{RT}$は点$\mathrm{R}$で円$\mathrm{O}$と接することが分かる。

図Dに円$\mathrm{U}$と線分$\mathrm{OR}$,$\mathrm{RT}$を書き込むと、図Fになる。

図F
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図F

図がややこしくなってきたから整理しよう。
図Fから必要な部分だけを取り出し、円$\mathrm{O}$の半径と$\mathrm{OT}$の値を書き込むと、図Gができる。

図G
大学入学共通テスト2023年本試 数学ⅠA第5問 解説図G

3点$\mathrm{O}$,$\mathrm{P}$,$\mathrm{R}$を通る円は円$\mathrm{U}$だから、点$\mathrm{T}$も通る。
図Gで言えば、青い円だ。

$\angle \mathrm{ORT}=90^{\circ}$
なので、$\mathrm{OT}$は青い円の直径にあたる。
問われている半径は直径の$\dfrac{1}{2}$なので、
$\dfrac{3\sqrt{6}}{2}$
である。

解答ク:3, ケ:6, コ:2

さらに、$\mathrm{RT}$は、△$\mathrm{ORT}$に三平方の定理を使って、

途中式 $\mathrm{RT}^{2}=\mathrm{OT}^{2}-\mathrm{OR}^{2}$
$\hspace{33px}=(3\sqrt{6})^{2}-\sqrt{5}^{2}$
$\hspace{33px}=54-5$
$\hspace{33px}=49$
より
$\mathrm{RT}=7$
である。

解答サ:7