大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅠA 第4問 解説
(1)
この問題には
赤い長方形と青い長方形
それを並べて作る長方形
が出てくる。
「長方形」がかぶって面倒なので、以下の解説では
赤い長方形を「赤いタイル」
青い長方形を「青いタイル」
と書くことにする。
また、タイルを並べてつくった正方形または長方形を「四角形」と書く。
$462$と$110$を素因数分解すると、
$2$ | $)$ | $462$ | $110$ |
$11$ | $)$ | $231$ | $55$ |
$21$ | $5$ |
となる。
なので、
$462$と$110$の両方を割り切る素数のうち最大のものは
$11$
解答ア:1, イ:1
最小公倍数は
$110\times 21=2310$
なので、正方形のうち最小のものの1辺は
$2310$
解答ウ:2, エ:3, オ:1, カ:0
最大公約数は
$2\cdot 11=22$
なので、四角形の縦と横の差の絶対値の最小値は
$22$
解答キ:2, ク:2
詳しく
横方向に並べるタイルの数を$x$
縦方向に並べるタイルの数を$y$
とすると、四角形の縦と横の差の絶対値は
$\left| 462x - 110y \right| $
とかける。
この式は、$462$と$110$の最大公約数の$22$をくくり出すと
$22 \textcolor{red}{\left| 21x - 5y \right|} $式A
と変形できるけど、四角形が正方形でないとき、赤い部分の最小値は、最小の正の整数の
$1$
だ。
よって、式Aの最小値は
$462$と$110$の最大公約数の$22$
で、これが四角形の縦と横の差の絶対値の最小値である。
である。
縦が横よりも$22$長い長方形は、式を作らないといけない。
横方向に並べるタイルの数を$x$
縦方向に並べるタイルの数を$y$
とすると、縦が横よりも$22$長い長方形を表す式は
$462x+22=110y$
となり、この両辺を$22$で割ると
$21x+1=5y$式B
と変形できる。
式Bが成り立つためには、左辺が$5$の倍数でなければならない。
つまり
$21x+1$
の値の1の位が
$5$または$0$
でないといけから、
$21x$
の値の1の位は
$4$または$9$
である。
これを満たす最小の自然数$x$は
$x=4$
なので、求める長方形はタイルを横に4枚並べた場合だ。
この長方形の横の長さは
$462\times 4=1848$
である。
解答ケ:1, コ:8, サ:4, シ:8
(2)
問題文中の図2の四角形の縦の長さは、
赤いタイルの縦の長さ$110$の倍数
かつ
青いタイルの縦の長さ$154$の倍数
なので、四角形の縦の長さの最小値は$110$と$154$の最小公倍数だ。
$110$と$154$の最小公倍数は、
$2$ | $)$ | $110$ | $154$ |
$11$ | $)$ | $55$ | $77$ |
$5$ | $7$ |
より
$110\times 7=770$
である。
解答ス:7, セ:7, ソ:0
さらに、すべての公倍数は最小公倍数の倍数なので、
図2の四角形の縦の長さは$770$の倍数
であることが分かる。
また、$462$と$363$の最大公約数は、
$3$ | $)$ | $462$ | $363$ |
$11$ | $)$ | $154$ | $121$ |
$14$ | $11$ |
より
$3\times 11=33$
解答タ:3, チ:3
なので、
図2の四角形の横の長さは$33$の倍数
である。
よって、図2の四角形が正方形のとき、一辺の長さは
$33$の倍数 かつ $770$の倍数
でないといけない。
$33$の倍数 かつ $770$の倍数である最小の正の整数、つまり$33$と$770$の最小公倍数は
$11$ | $)$ | $33$ | $770$ |
$3$ | $70$ |
より
$33\times 70=2310$
解答ツ:2, テ:3, ト:1, ナ:0
なので、
図2の四角形が正方形のとき、一辺の長さは$2310$の倍数
であることが分かる。
赤いタイルを横に並べる数を$R$
青いタイルを横に並べる数を$B$
とすると、図2の四角形の横の長さ、つまり正方形の一辺の長さは
$462R+363B$
とかける。
これが$2310$の倍数なので、$m$を整数として、
$462R+363B=2310m$式C
と表せるけど、この両辺を$33$で割ると
$14R+\textcolor{red}{11B}=14\cdot 5m$式C'
となる。
$14$と$11$は互いに素なので、式C'が成り立つためには、赤い部分が$14$の倍数でなければならない。
式にすると、$b$を自然数として
$B=14b$
でなければならない。
これを式C'に代入すると
$14R+11\cdot 14b=14\cdot 5m$
より
$R+11b=5m$式D
と変形できる。
この式が成り立つためには、左辺が$5$の倍数であればよい。
$R$,$b$は自然数なので、式Dを満たす$R$,$b$の組は、例えば
$b=1$のとき、$R=4$,$9$,$14$,$\ldots$
$b=2$のとき、$R=3$,$8$,$13$,$\ldots$
$\hspace{50px} \vdots$
などが考えられる。
今問われているのは、正方形の辺が最小のもの。
なので、$R$,$b$は自然数のうち 出来るだけ小さい数にしたいけど、
$R$が$1$増えると 赤いタイルが$1$枚増えるから、
正方形の横の長さ、つまり一辺の長さは$462$増える
$B=14b$なので、$b$が$1$増えると$B$は$14$増える。
$B$が$14$増えると 青いタイルが$14$枚増えるから、
正方形の横の長さ、つまり一辺の長さは
$365\times 14$増える
ことから、$R$を小さくするよりも$b$を小さくする方が優先だ。
以上より、求める最小の正方形のときの$R$,$b$の組は
$R=4$,$b=1$式E
であることが分かる。
これを式Dに代入して、このときの$m$は
$4+11\cdot 1=5m$
$m=3$
これを式Cの右辺に代入して、最小の正方形の一辺は
$2310\times 3=6930$
である。
解答ニ:6, ヌ:9, ネ:3, ノ:0
式Eからの別解
ちょっと計算が面倒なので別解にしたけど、考え方はこっちの方が自然かも。
式Eより
$R=4$
$B=14$
なので、これを式Cの左辺に代入すると、一辺の長さは
$462\cdot 4+363\cdot 14 = 6930$
である。
解答ニ:6, ヌ:9, ネ:3, ノ:0