大学入学共通テスト 2023年(令和5年) 本試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説
(1)
指数と対数の関係を復習しておくと、
復習
$0 \lt a$,$a \neq 1$,$0 \lt b$のとき、
$\log_{a}b=c\ \Leftrightarrow\ a^{c}=b$
だった。
復習より、
$\log_{a}b=x$
は
$a^{x}=b$
と書きかえられる。
解答ツ:2
別解
上の解法だと一瞬で解けるけど、復習の内容を忘れていれば仕方がない。
次のように解くことになる。
$\log_{a}b=x$
の右辺に$1$をかける。
$1$とは、$\log_{a}a$のこと。
$1$をかけても右辺の値は変わらないから、
$\log_{a}b=x\log_{a}a$
と表せる。
これを変形して、
$\log_{a}b=\log_{a}a^{x}$
より
$b=a^{x}$
となる。
(2)
(i)
$\log_{5}25=x$
とすると、(1)より、
$5^{x}=25$
と書きかえられる。
これを変形すると
$5^{x}=5^{2}$
なので、
$x=2$
である。
解答テ:2
同様に
$\log_{9}27=x$
は
途中式
$9^{x}=27$
より
$\left(3^{2}\right)^{x}=3^{3}$
$3^{2x}=3^{3}$
$2x=3$
となる。
解答ト:3, ナ:2
(ii)
$\log_{2}3$を有理数と仮定すると、$p$,$q$を自然数として
$\log_{2}3=\dfrac{p}{q}$式A
とかける。
(1)より、式Aは
$2^{\frac{p}{q}}=3$
と表せるけど、これは解答群にはない。
なので、もうちょっと変形しよう。
この式の両辺を$q$乗すると、
$\left(2^{\frac{p}{q}}\right)^{q}=3^{q}$
$2^{\frac{p}{q}\cdot q}=3^{q}$
$2^{p}=3^{q}$式A'
となり、解答群にある形になった。
解答ニ:5
$p$,$q$は自然数だから、
$2$は偶数。偶数同士のかけ算は偶数なので、$2^{p}$は偶数
$3$は奇数。奇数同士のかけ算は奇数なので、$3^{q}$は奇数
より、
偶数$\neq$奇数
となって、式A'は成り立たない。
つまり、式Aは成り立たないから、$\log_{2}3$は無理数である。
(iii)
復習
$\log_{a}a=1$
なので、解答群の⓪~④は不適。
答えは、残りの⑤だ。
解答ヌ:5
で終わってしまうと面白くないし、問題文中の「(ii)と同様に考えると」にも従ってない。
なので、違う考え方も紹介しておく。
別解
(ii)の作業を整理すると
$\log_{2}3$が有理数なら、
$p$,$q$を自然数として$2^{p}=3^{q}$とかける。
$2$と$3$の一方は偶数,もう一方は奇数なので、
$2^{p}\neq 3^{q}$である。
よって、$\log_{2}3$は無理数である。
だった。
$a$,$b$を2以上の自然数として、(ii)の作業の$\log_{2}3$を$\log_{a}b$に書きかえると、
$\log_{a}b$が有理数なら、
$p$,$q$を自然数として$a^{p}=b^{q}$とかける。
$a$と$b$の一方は偶数,もう一方は奇数なので、
$a^{p}\neq b^{q}$である。
よって、$\log_{a}b$は無理数である。
となる。
以上より、$a$と$b$の一方が偶数,もう一方が奇数のとき、$\log_{a}b$は必ず無理数となる。
解答ヌ:5
別解
せっかくだからもうひとつ解き方をのせよう。
(i)で考えたように
$\log_{5}25$は有理数
だから、解答群のうち ②~④は見た瞬間に誤りだと分かる。
正解は⓪,①,⑤のうちのどれかだ。
⓪,①の$a$や$b$が偶数のときを考えると、
例えば$a=2$,$b=4$のとき、
$\log_{2}4=2$
となって$\log_{a}b$は有理数
である。
なので、⓪,①も不適。
以上より、消去法で、正しい選択肢は
⑤
だ。
解答ヌ:5