大学入学共通テスト 2018年(平成30年) 試行調査 数学ⅠA 第3問 解説
はじめに
文章を短くするために、解説では、
「1番目の人」を「」
「2番目の人」を「
」
「当たりくじを引く」を「当たる」
「箱A(B)から当たりくじを引く」を「箱A(B)で当たる」
「と同じ(異なる)箱から当たりくじを引く」を「同(異)箱で当たる」
と書く。
また、「が当たった場合(事象
(1) ア~ク
まず、が箱Aで当たる確率だ。
が箱Aを選ぶ確率は、
箱Aから当たりくじを引く確率は
である。
なので、求める確率は
となる。
解答ア:1, イ:2, ウ:0
同様に、が箱Bで当たる確率は、
である。
よって、が当たる確率は、式Aと式Bをたして
となる。
解答エ:3, オ:4, カ:0
問題文より、求める条件付き確率
とかける。
いま、
式Aより、
よって、式Dは
となる。
解答キ:2, ク:3
ついでに、が当たったとき、それが箱Bである条件付き確率
式Dと同様に
となるので、これに式B,式Cを代入して、
である。
の別解
が当たったとき、くじを引いた箱はAとBの2通りしかない。
なので、
の関係が成り立つ。
ここで、
である。
エオカキクの別解
箱A,箱Bを選ぶ確率が同じで、それぞれに入っているくじの数も同じ。
なので、くじは全部で
両方の箱に入っている当たりくじの数は、
なので、が当る確率
である。
解答エ:3, オ:4, カ:0
また、どのくじも引かれる確率は等しいので、引いた当たりくじが箱Aから出た条件付き確率
である。
解答キ:2, ク:3
同様に、引いた当たりくじが箱Bから出た条件付き確率
となる。
(1) コ~ソ
が当たりくじを引いたあと、箱に残っているくじの数は表Aのようになっている。
箱Aのとき | 箱Bのとき | ||
---|---|---|---|
引いた あと | 箱A には | 当たり 全部で | 当たり 全部で |
箱B には | 当たり 全部で | 当たり 全部で |
が同箱で当たる場合は、表Aの青い部分。
なので、条件付き確率は
である。
解答ケ:4
これはさらに
とかける。
これを計算すると、
となる。
解答コ:2, サ:2, シ:7
が異箱で当たる場合は、表Aの緑の部分。
なので、条件付き確率は
とかける。
これを計算すると、
である。
解答ス:1, セ:1, ソ:5
(2)
箱Bの当たりくじを
が箱Aで当たる確率は
箱Bで当たる確率は
なので、が当たる確率は
である。
よって、が箱Aで当たる条件付き確率
箱Bで当たる条件付き確率
の別解
式Eより
なので、これに
を代入すると、
となる。
ここまでの別解
全部で
なので、
よって、引いた当たりくじが箱Aから出た条件付き確率
箱Bから出た条件付き確率
となる。
このとき、表Aは表Bのように書きなおせる。
箱Aのとき | 箱Bのとき | ||
---|---|---|---|
引いた あと | 箱A には | 当たり 全部で | 当たり 全部で |
箱B には | 当たり 全部で | 当たり 全部で |
が同箱で当たる場合は、表Bの青い部分。
なので、条件付き確率は
とかける。
いま、箱Bの当たりくじの数は
だから、式Fは
となる。
これを計算して、求める条件付き確率は、
である。
解答タ:4, チ:5, ツ:1
さらに、問題文中に答えがあるけど、せっかくなのでが異箱で当たる条件付き確率も求めてみよう。
表Bの緑の部分より
とかける。
ここでは
なので、式Gは
より
となる。
(3)
これまでの結果を振り返ってみよう。
(1)より、箱Bの当たりくじがが当たる条件付き確率は
同箱では
なので、このとき、が当たる確率は
同箱
である。
(2)より、箱Bの当たりくじがが当たる条件付き確率は
同箱では
なので、このとき、が当たる確率は
同箱
である。
つまり、は、箱Bの当たりくじの数が
よって、答えは選択肢の
①または②
であることが分かる。
①と②のどちらが答えかを見つけるために、箱Bの当たりくじの数
が同箱で当たる条件付き確率は、式Fより
途中式
が異箱で当たる条件付き確率は、式Gより
途中式
となる。
ここで、
だから、
以上より、正しい選択肢は
①
である。
解答テ:1
別解
上の解とやっていることは同じだけど、途中式が違う方法も紹介しておく。
式F,式Gより、が当たりくじを引いたとき、
が
同箱で当たる条件付き確率は
なので、が同箱から引いた方が有利な
とかける。
と変形できる。
式Hに
より
途中式
となって、式Hは成り立つ。
式Hが成り立つということは、が同箱から引いた方が有利な範囲に入っているということ。
以上より、正しい選択肢は
①
である。
解答テ:1