大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説

(1)

(i)

最初に、データの代表値の復習から。

復習

平均値
データの値の和をデータの大きさで割ったもの。小学校以来使ってきた「平均」のこと。

中央値
データを大きい順(小さい順でもいいけど)に並べたとき、中央になる値。データの大きさが偶数のときには、中央2数の平均値。

最頻値
データ中で最も個数が多い値。度数分布表や度数分布図では、度数が最も多い階級の階級値。

復習より、

Aの最頻値は、問題文中の図1のヒストグラムで、右から2つ目の階級($510$以上$540$未満)の階級値。

解答サ:8

Bの中央値は、大きい方から(小さい方からでもいいけど)25番目と26番目の値の平均値。
25番目の値も26番目の値も 問題文中の図2の右から3つ目の階級($450$以上$480$未満)にあるので、中央値もこの階級に含まれる。

解答シ:6

(ii)

次に、箱ひげ図と四分位数の復習だ。

復習

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第2問[2] 復習図

第1四分位数 データの下位半分の中央値。
データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その下位半分の中央値をとる。

第2四分位数 中央値に等しい。

第3四分位数 データの上位半分の中央値。
データの大きさが奇数のときは、全体の中央値を除いて偶数にし、その上位半分の中央値をとる。

四分位範囲 第3四分位数-第1四分位数。

問題文中の図3の箱ひげ図から、データAとBの速い方から13番目のタイムを比較する。

この問題で気をつけないといけないのは、
速い $=$ タイム(秒数)が小さい ということだ。

速い方から13番目は、タイムが小さい方から13番目だ。
これは、タイムが大きい順に考えると 下位25人のちょうど真ん中、つまり第1四分位数にあたる。
なので、問題文中の図3の箱ひげ図の、第1四分位数(箱の左端)を見よう。

問題文中の図3より、
Aの第1四分位数は$478$くらい Bの第1四分位数は$434$くらい なので、差は$44$くらいだ。

これに近いのは、選択肢の

である。

解答ス:4

問題文中の図3より、

Aの
第3四分位数は$534$くらい 第1四分位数は$478$くらい なので、四分位範囲は
$534-478=56$
くらい。

Bの
第3四分位数は$488$くらい 第1四分位数は$434$くらい なので、四分位範囲は
$488-434=64$
くらい。

なので、Aの四分位範囲とBの四分位範囲の差の絶対値は
$$ \begin{align} |56-64|&=|-8|\\ &=8 \end{align} $$ である。

これにあてはまるのは、選択肢の

だ。

解答セ:0

(iii)

問題文中の式
$$ \begin{equation} \left( \begin{matrix} \text{あるデータの}\\ \text{ある選手の}\\ \text{ベストタイム} \end{matrix} \right) =\left( \begin{matrix} \text{その} \\ \text{データの} \\ \text{平均値} \end{matrix} \right) +z \times \left( \begin{matrix} \text{その} \\ \text{データの} \\ \text{標準偏差} \end{matrix} \right) \end{equation} $$ を変形すると、
$$ \begin{equation} z=\dfrac{ \left( \begin{matrix} \text{あるデータのある選手の}\\ \text{ベストタイム} \end{matrix} \right) - \left( \begin{matrix} \text{そのデータの} \\ \text{平均値} \end{matrix} \right)}{\text{(そのデータの標準偏差)}} \end{equation} $$ とかける。

この式を使って計算すると、

Aの1位の選手の$z$は
$$ \begin{align} z&=\dfrac{376-504}{40}\\ &=-3.20 \end{align} $$

Bの1位の選手の$z$は
$$ \begin{align} z&=\dfrac{296-454}{45}\\ &\doteqdot-3.51 \end{align} $$

解答ソ:3, タ:5, チ:1

となる。

値はマラソンのタイムなので、数が小さい方が速いから、

ベストタイムで比較すると、
$376 \gt 296$
なので、Bの1位の選手の方が優れている

$z$の値で比較すると、
$-3.20 \gt -3.51$
なので、Bの1位の選手の方が優れている

といえる。

以上より、解答群のうち正しいものは

である。

解答ツ:1

(2)

(a)

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第2問[2] 解説図A

マラソンの速い方から3番目までの選手は、図Bの赤い点。

図Bを見ると、
赤い点は全て10000mの$1670$秒の線(緑の線)よりも下にある。 なので、(a)は正しい。

(b)

相関係数の復習をすると、

復習

以下の散布図は、横軸・縦軸ともに矢印方向が大きい値とする。

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第2問[2] 復習図

左端の散布図のように すべての点が右上がりの直線上に分布していれば、相関係数は$+1$ 右端の図のように 右下がりの直線上に分布していれば、相関係数は$-1$ 点の分布が直線的な配置から乱れるにつれて、相関係数は$0$に近づく

ただし、点が直線的に分布していても、次の図のように縦軸や横軸に平行なときには、相関係数は$0$に近い値になる。

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第2問[2] 復習図

(誤解しないでほしいのだけど、分布の傾きが$0$に近づけば相関係数も$0$に近づくという意味ではない。このへんについてはページをつくって詳しく解説したいけど、当分先の話になるかも。)

特に、下の図のように点が完全に軸に平行に分布しているとき、相関係数は計算できないため存在しない。

大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第2問[2] 復習図

問題文中の図4と図5を見比べると、図5の分布の方が右上がりの直線的だ。

なので、
5000mと10000mの間の相関の方が、マラソンと10000mの間の相関より強い ことになる。

よって、(b)は誤り。


以上より、正誤の組合せで正しいものは

である。

解答テ:1