大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

まず、道路標識の7%から。

図A
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図A

問題文の説明のように、斜面は水平距離100mに対して7m高くなるので、図Aのような状況だ。

このとき、図Aの赤い三角形は直角三角形なので、DCP(図中の緑の角)について、
tanDCP=7100=0.07 である。

三角比の表を見ると
tan4=0.0699 tan5=0.0875 となっている。

よって
tan4<tanDCP<tan5
なので、
4<DCP<5
である。

解答シ:4

ス~ツ

以下、DCP=4として、電柱の高さABを求める。

ある日の影の長さと太陽高度は図Bの状態だった。

Dから直線BPに下ろした垂線の足を点Hとすると、四角形BEDHは長方形だから、
{BE=DHDE=BH式A
だ。

なので、問われているBEDEの代わりにDHBHを求めよう。


図B
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

図Bの赤い三角形(△CDH)は直角三角形なので、

sinDCH=DHCD
より
DH=CDsinDCH=CDsinDCP とかける。

したがって、式Aより、BE
BE=CDsinDCP=4sinDCP となる。

解答ス:4, セ:0

cosDCH=CHCD
より
CH=CDcosDCH=CDcosDCP とかける。

よって、BH
BH=BC+CH=7+CDcosDCP と表せる。

したがって、式Aより、DE
DE=7+CDcosDCP=7+4cosDCP となる。

解答ソ:7, タ:4, チ:2


アドバイス

ここまでで、図Bの青い線(BE)と緑の線(DE) が求められた。

これから電柱の高さ(AB)を求めるんだけど、
AB=AE+BE式D
なので、あとはAEが分かればよい。

ということで、AEを求めて、BEとたそう。

図Bの黄色い三角形(△ADE)は直三角形なので、
tanADE=AEDE
より
AE=DEtanADE
となる。

これに式Cを代入して、
AE=(7+CDcosDCP)tanADE
式E

式Dに式E,式Bを代入すると、AB
AB=(7+CDcosDCP)tanADE+CDsinDCP と表せる。


あとは、計算だ。

いま、 BPDE
なので
ADE=APB=45
CD=4 DCP=4
だから、式Fは
AB=(7+4cos4)tan45+4sin4
とかける。

tan45=1なので、これはさらに
AB=7+4cos4+4sin4=7+4(cos4+sin4) と表せる。

これに 三角比の表で調べた
cos4=0.9976 sin4=0.0698 を代入して、電柱の高さAB
AB=7+4(0.9976+0.0698)7+4×1.07=11.28 であることが分かる。

よって、電柱の高さを小数第2位で四捨五入したものは、選択肢の

である。

解答ツ:3

アドバイス以降の別解

上の解では、太陽高度が変わることを見越して AEを求めるのにtanADEを使った(式E)。
だけど、AEを求めるだけなら、図Bの黄色い三角形が直角二等辺三角形であることを使った方が早いし、自然だ。
その場合は、次のような方法になる。

BPDE
なので
ADE=APB=45

問題文より
DEAB

だから、図Bの黄色い三角形(△ADE)は直角二等辺三角形だ。

よって
AE=DE
となるから、
AB=DE+BE=式C+式B=7+CDcosDCP+CDsinDCP と表せる。

あとは式G以降の計算をすれば、電柱の高さABが求められる。

テ~ニ

電柱の高さが分かったところで、太陽高度が42のときの坂に落ちた影の長さを求める。

いま、影の長さと太陽高度は図Cの状態だ。

図C
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図C

を求めるときに作った
AB=(7+CDcosDCP)tanADE+CDsinDCP をもう一度使おう。

今度は
CDは不明
(というか、これを求めたい)
太陽高度は42なので、
ADE=APB=42
だから、式Fは
AB=(7+CDcosDCP)tan42+CDsinDCP となる。

これから求めるのはCDなので、分かりやすいように赤文字にした。

これを、CDについて解く。


式Hの右辺を展開して、
AB=7tan42+CDcosDCPtan42+CDsinDCP

CDがある項とない項を分けて、
CDsinDCP+CDcosDCPtan42=AB7tan42

左辺を共通因数CDでくくると
CD(sinDCP+cosDCPtan42)=AB7tan42

となるので、
CD=AB7tan42sinDCP+cosDCPtan42
であることが分かる。

解答テ:7, ト:5, ナ:0, ニ:1

余談

問題文のマス目に入らないから別解というわけでもないんだけど、単にCDを求めるだけなら次のような方法もある。

図D
大学入学共通テスト2024年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図D

図Dにおいて、△ABPは直角三角形なので、
tanAPB=ABBP
より
BP=ABtanAPB

途中式 BP=ABtan42=ABsin42cos42
BP=ABcos42sin42
だから、CP
CP=BP7=ABcos42sin427 とかける。

図Dの赤い三角形を考えると、
オレンジの角+緑の角+青い角=180
なので、
オレンジの角=180442=134 である。

以上より、赤い三角形に正弦定理を使うと、
CDsin青い角=CPsinオレンジの角
より
CD=sin青い角CPsinオレンジの角=sin42ABcos42sin427sin134=ABcos427sin42sin134 とかける。

いま
{AB=11.3sin134=sin46
なので、これはさらに
CD=11.3cos427sin42sin46
と表せる。

これに 三角比の表でcos42sin42sin46を調べて代入すると、
CD=11.3×0.74317×0.66910.71935.16 が求められる。

別解

実は、上の余談の方法を使ってを求めることもできる。
数Ⅱの内容も使うし 手間もかかるから掲載してなかったんだけど、読者の方からご指摘をいただいたので追加して説明しておく。

図Dにおいて、△ABPは直角三角形なので、
tanAPB=ABBP
より
BP=ABtanAPB=ABtan42 だから、CP
CP=BP7=ABtan427 とかける。

図Dの赤い三角形を考えると、
オレンジの角+緑の角+青い角=180
なので、
オレンジの角=180(緑の角+青い角)=180(DCP+42) と表せる。

以上より、赤い三角形に正弦定理を使うと、
CDsin青い角=CPsinオレンジの角
より
CD=sin青い角×CPsinオレンジの角=sin42×ABtan427sin{180(DCP+42)}=sin42(AB7tan42)sin{180(DCP+42)}tan42 式I
となる。

式Iの赤い部分は
sin{180(DCP+42)}=sin(DCP+42)
と表せ、さらに加法定理より
sin(DCP+42)=sinDCPcos42+cosDCPsin42 となるから、式Iは
CD=sin42(AB7tan42)(sinDCPcos42+cosDCPsin42)tan42 と書きかえられる。

これをさらに変形すると
CD=sin42(AB7tan42)(sinDCPcos42tan42+cosDCPsin42tan42)=sin42(AB7tan42)(sinDCPcos42sin42cos42+cosDCPsin42tan42) と表せる。

よって、CD
CD=AB7tan42sinDCP+cosDCPtan42
であることが分かる。

解答テ:7, ト:5, ナ:0, ニ:1