大学入学共通テスト 2024年(令和6年) 本試 数学ⅠA 第2問 [1] 解説
(1)
開始時刻から1秒後には、図形は図Aのようになっている。
図Aを見ると、△$\mathrm{PBQ}$(赤い部分)の面積は、
△$\mathrm{PBQ}=$台形$\mathrm{OABC}-$青$-$黄$-$オレンジ
になっている。
ここで、
$$ \begin{align} \text{台形}\mathrm{OABC}&=\dfrac{1}{2}\times(\mathrm{BC}+\mathrm{OA})\times \mathrm{OC}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot(4+6)\cdot 6\\ &=30 \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{青}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{AP}\times \text{青い線}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot(6-1)\cdot 6\\ &=15 \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{黄}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{OP}\times \mathrm{OQ}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot 1\cdot(6-2)\\ &=2 \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{オレンジ}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{BC}\times \mathrm{CQ}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot 4\cdot 2\\ &=4 \end{align} $$
なので、△$\mathrm{PBQ}$の面積を$S$とすると、
$$
\begin{align}
S&=30-15-2-4\\
&=9
\end{align}
$$
である。
解答ア:9
別解
数Ⅱの知識を使うし、別におすすめでもないんだけど、△$\mathrm{PBQ}$の面積$S$は次のようにしても求められる。
図Bのように、点$\mathrm{Q}$を通り$x$軸と平行な直線を引き、$\mathrm{BP}$との交点を$\mathrm{R}$とする。
図Bより
$S=$青$+$緑
である。
ここで、
青$=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times$青い線
緑$=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times$緑の線
なので、
$$
\begin{align}
S&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times \text{青い線}+\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times \text{緑の線}\\
&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times(\text{青い線}+\text{緑の線})\\
\end{align}
$$
とかける。
いま、
青い線$+$緑の線$=\mathrm{OC}$
だから、これはさらに
$$
\begin{align}
S&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times \mathrm{OC}\\
&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{QR}\times 6\\
&=3\cdot \mathrm{QR}\class{tex_formula}{式A}
\end{align}
$$
と表せる。
というわけで、$\mathrm{QR}$、つまり点$\mathrm{R}$の$x$座標を求める。
$\mathrm{OA}$∥$\mathrm{QR}$∥$\mathrm{CB}$なので、
$$
\begin{align}
\mathrm{PR}:\mathrm{BR}&=\mathrm{OQ}:\mathrm{CQ}\\
&=4:2\\
&=1:2
\end{align}
$$
だ。
なので、図Bのように、点$\mathrm{R}$は$\mathrm{PB}$を
$2:1$
に内分する点だから、その$x$座標は
$\dfrac{1\times \text{点}\mathrm{P}\text{の}x\text{座標}+2\times \text{点}\mathrm{B}\text{の}x\text{座標}}{2+1}$
より
$\dfrac{1\cdot 1+2\cdot 4}{3}=3$
なので、$\mathrm{QR}$は$3$である。
さらにこの部分の別解
直線$\mathrm{BP}$の式を使って点$\mathrm{R}$の$x$座標を求めると、次のようになる。
直線$\mathrm{BP}$は 点$\mathrm{B}(4,6)$,点$\mathrm{P}(1,0)$を通るので、傾きは
$\dfrac{6-0}{4-1}=2$
だ。
傾き$2$の直線が$(1,0)$を通るから、直線$\mathrm{BP}$の式は
$y-0=2(x-1)$
より
$y=2x-2$
とかける。
点$\mathrm{R}$は この直線の上にあって $y$座標が点$\mathrm{Q}$と同じ$4$なので、その$x$座標は
$2x-2=4$
より
$x=3$
だから、$\mathrm{QR}$は$3$である。
この
$\mathrm{QR}=3$
を式Aに代入すると、
$$
\begin{align}
S&=3\cdot 3\\
&=9
\end{align}
$$
が求められる。
解答ア:9
(2)以降もこの方法で解けるけど、長くなるので省略する。
(2)
開始時刻から3秒間について考える。
図Aの$1$,$2$を$t$,$2t$に変えると、開始してから$t$秒後の図ができる(図C)。
図Cで(1)と同じように考えると、
台形$\mathrm{OABC}=30$
$$ \begin{align} \text{青}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{AP}\times\text{青い線}\\ &=\dfrac{1}{2}(6-t)\cdot 6\\ &=18-3t \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{黄}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{OP}\times \mathrm{OQ}\\ &=\dfrac{1}{2}t(6-2t)\\ &=3t-t^{2} \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{オレンジ}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{BC}\times \mathrm{CQ}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot 4\cdot 2t\\ &=4t \end{align} $$
なので、△$\mathrm{PBQ}$の面積を$S$とすると、
$$
\begin{align}
S&=30-(18-3t)-(3t-t^{2})-4t\\
&=t^{2}-4t+12\class{tex_formula}{式B}
\end{align}
$$
と表せる。
式Bのグラフは下に凸の放物線で、頂点の$t$座標は
復習
二次関数
$y=ax^{2}+bx+c$
の頂点の$x$座標は
$\dfrac{-b}{2a}$
より
$\dfrac{-(-4)}{2\cdot 1}=2$
となる。
いま、$t$の範囲は
$0\leqq t\leqq 3$
なので、緑の部分を定義域として、式Bのグラフは図Dのようになる。
図Dより、面積$S$が
最小になるのは紫の点で、
$t=2$
のとき。
最小値は、式Bに$t=2$を代入して、
$2^{2}-4\cdot 2+12=8$
である。
解答イ:8
最大になるのは赤い点で、
$t=0$
のとき。
最大値は、式Bに$t=0$を代入して、
$12$
である。
解答ウ:1, エ:2
(3)
開始時刻から3秒間の最大値・最小値は(2)で求めたので、次に
3秒後~終了時刻
について考えよう。
終了時刻は
点$\mathrm{P}$が点$\mathrm{A}$に到達する
点$\mathrm{Q}$が再び点$\mathrm{C}$に戻る
ときなので、開始時刻から
$6$秒後
である。
なので、ここでは、経過時間を$t$として、
$3\leqq t\leqq 6$
のときを考える(図E)。
点$\mathrm{P}$は開始してから3秒後に点$\mathrm{O}$に到達し、そこで折り返すので、
点$\mathrm{P}$が点$\mathrm{O}$を出発してからの時間は$t-3$秒
である。
さらに、点$\mathrm{P}$は1秒間に2動くから、$\mathrm{OQ}$は
$2(t-3)$
となる。
これを使って 図Eで(2)と同様の作業をすると、
台形$\mathrm{OABC}$,青い三角形の面積は(2)と同じで、
台形$\mathrm{OABC}=30$
青$=18-3t$
$$ \begin{align} \text{黄}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{OP}\times \mathrm{OQ}\\ &=\dfrac{1}{2}t\cdot 2(t-3)\\ &=t^{2}-3t \end{align} $$
$$ \begin{align} \text{オレンジ}&=\dfrac{1}{2}\times \mathrm{BC}\times \mathrm{CQ}\\ &=\dfrac{1}{2}\cdot 4\cdot\{6-2(t-3)\}\\ &=24-4t \end{align} $$
なので、△$\mathrm{PBQ}$の面積を$S$とすると、
$$
\begin{align}
S&=30-(18-3t)-(t^{2}-3t)-(24-4t)\\
&=-t^{2}+10t-12\class{tex_formula}{式C}
\end{align}
$$
と表せる。
以上より、面積$S$の式は、式Bと式Cから
$$
\begin{equation}
S=
\begin{cases}
t^{2}-4t+12&(0\leqq t\leqq 3)\class{tex_formula}{式B}\\
-t^{2}+10t-12&(3\leqq t\leqq 6)\class{tex_formula}{式C}
\end{cases}
\end{equation}
$$
であることが分かった。
式Cのグラフは上に凸の放物線で、頂点の$t$座標は
$\dfrac{-10}{2\cdot(-1)}=5$
になる。
よって、図Dに式Cのグラフを紫の線で書き加えると、図Fができる。
アで考えたように、$t=1$のときの$S$は$9$だった。
式Bの放物線の軸は$t=2$だから、
軸から左に$1$の$t=1$のときに$S=9$なら、
軸から右に$1$の$t=3$のときも$S=9$
だ。
なので、式Bのグラフと式Cのグラフが変わる点の$S$座標は、計算しなくても
$9$
だと分かる。
また、緑の部分は定義域の$0\leqq t\leqq 6$だ。
図Fより、$0\leqq t\leqq 6$の範囲で 面積$S$が
最小になるのは紫の点で、最小値はイで求めた
$8$
解答オ:8
最大になるのは図Fの赤い点で、
$t=5$
のとき。
最大値は、式Cに$t=5$を代入して、
$-5^{2}+10\cdot 5-12=13$
解答カ:1, キ:3
である。
(4)
図Fに$S=10$の線を書き加えると、図Gのようになる。
ここでは面積$S$が$10$以下である時間を問われているので、求めるのは図Gの黄色い範囲の幅にあたる。
それを求めるために、図Gの赤い点とオレンジの点の$t$座標を計算する。
赤い点の$t$座標は、式Bに$S=10$を代入した
$t^{2}-4t+12=10$式D
を解けば求められる。
式Dより、
$t^{2}-4t+2=0$
これに解の公式を使うと
途中式
$$
\begin{align}
t&=\dfrac{4\pm\sqrt{(-4)^{2}-4\cdot 1\cdot 2}}{2\cdot 1}\\
&=\dfrac{4\pm 2\sqrt{4-2}}{2}\\
\end{align}
$$
より
となる。
この2つの解は
$2-\sqrt{2} \lt 2+\sqrt{2}$
なので、
$t=2-\sqrt{2}$が図Gの赤い点
$t=2+\sqrt{2}$が図Gの青い点
の$t$座標であることが分かる。
オレンジの点の$t$座標は、式Cに$S=10$を代入した
$-t^{2}+10t-12=10$式E
を解けば求められる。
式Eより、
$t^{2}-10t+22=0$
これに解の公式を使うと
途中式
$$
\begin{align}
t&=\dfrac{10\pm\sqrt{(-10)^{2}-4\cdot 1\cdot 22}}{2\cdot 1}\\
&=\dfrac{10\pm\sqrt{(2\cdot 5)^{2}-4\cdot 22}}{2}\\
&=\dfrac{10\pm 2\sqrt{5^{2}-22}}{2}\\
\end{align}
$$
より
となる。
この2つの解は
$5-\sqrt{3} \lt 5+\sqrt{3}$
なので、
$t=5-\sqrt{3}$が図Gのオレンジの点
$t=5+\sqrt{3}$が図Gの紫の点
の$t$座標であることが分かる。
以上より、面積が$10$以下となる時間は、
$$
\begin{align}
\text{黄色の範囲}&=\text{オレンジの点の}t\text{座標}-\text{赤い点の}t\text{座標}\\
&=(5-\sqrt{3})-(2-\sqrt{2})\\
&=3-\sqrt{3}+\sqrt{2}
\end{align}
$$
と求められる。
解答ク:3, ケ:3, コ:2