大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説
(1) ア~シ
問題文より、各コースの人数の和
アイ
である。
解答ア:4, イ:5
よって、留学生を一人選んだ場合、その留学生が登録しているのが、
初級コースである確率は
このことから、確率変数
コース | 初級 | 中級 | 上級 | 計 |
---|---|---|---|---|
| | | ||
確率 | | | |
表Aより、
途中式
解答ウ:1, エ:5
途中式
よりとなる。
解答オ:4, カ:7
別解
オカについては、
公式
を使う方法もある。
この問題では計算が面倒になるけど、あえて計算すると次のようになる。
表Aより、
途中式
ウエより、
なので、分散
途中式
となる。
解答オ:4, カ:7
ここで、問題文に二項分布が出てきたから、復習だ。
復習
確率
確率変数
平均値は、
初級コースに登録している留学生は、留学生全体の
なので、留学生全体の母集団から
つまり、
に従う。
復習より、確率変数
解答キ:a, ク:5
標準偏差
である。
同様に、上級者コースの人数
に従うので、標準偏差
となる。
以上より、
途中式
である。
解答ケ:3, コ:1, サ:1, シ:8
(1) ス
さらに、
長くなるので、解説は最小限にとどめる。
詳しい考え方はこのページを見てほしい。
復習
は、正規分布
で近似できる。
だ。
これは、復習より、正規分布
で近似できる。
この図が正確に描けるようになる必要はない。
イメージが頭の中に描ければ大丈夫。
で、図Aの赤い部分の面積が、求める確率
正規分布表を使って 赤い部分の面積を求めるんだけど、表に載っているのは、標準正規分布の
なので、図Aのグラフの
のままでは使えない。
仕方がないから
復習
確率変数
平均値が
このとき、
である。
復習より、図Aの
となる。
また、標準化するので 平均値は
よって、図Aのグラフを標準化すると図Bができるけど、図Aも図Bも確率分布図なので、曲線と横軸の間の面積は
なので、ふたつの図の赤い部分の面積は等しい。
ということで、図Aの代わりに、図Bの赤い部分の面積を求める。
標準化したので、図Bのグラフは
そのまま正規分布表が使えるから、正規分布表で
を探すと、
とある。
これが図Bの緑の部分の面積である。
緑の面積
だから、赤い部分の面積
となる。
選択肢のうち、これに一番近いのは、
①
の
解答ス:1
(2)
ここで、標本平均の確率分布について復習だ。
復習
母平均
このとき、標本平均は
①母集団が正規分布に従うときには
に従う。
この問題では母集団はどのような確率分布に従うか分からないけれど、問題文に「近似的に正規分布に従う」とあるので、復習の②のパターンだ。
なので、標本平均は、近似的に 正規分布
に従う。
この正規分布の分散は
なので、標準偏差は
である。
解答セ:4
さらに、母平均の信頼区間を求める式について復習しよう。
公式
母標準偏差を
信頼度が
右図を標準正規分布の確率分布図として、
特に
信頼度
よって、求める信頼区間
は
とかける。
いまは、
母分散が
なので、母標準偏差は
以上から、式Bは
より
となる。
解答ソ:1, タ:1, チ:2, ツ:1, テ:6, ト:1, ナ:2, ニ:7, ヌ:8, ネ:4
以上、計算だけ解説した。
母平均の信頼区間の推定についての原理など、詳しくはこのページ参照。
(3)
(2)と(3)の調査を比べると、
標本の大きさが、(2)は
よって、標本の大きさだけを考える。
式Aを数直線にすると、母平均
つまり、母平均
直感的に分かると思うけど、標本の大きさが大きいほど(この問題では多くの人数を調査するほど)正確な推定ができる。
つまり、誤差の範囲が小さくなる。
なので、標本の大きさが
数直線でいえば、図Dのようになっているはずだ。
図Dより
なので、選択肢のうちで正しいのは
②
である。
解答ノ:2
別解
上の解の考え方が思いつかなければ、次のように計算で解くしかない。
式Aに
(2)
は
は
なので、
とかける。
ここで、
より
なので
だ。
よって、式Cの4つの値は
であることが分かる。
選択肢のうち、これに当てはまるのは
②
である。
解答ノ:2
最後は、(3)の調査で母分散を
2つの調査で
数直線でいえば 図Cの赤い範囲の幅が等しくなればよいので、式Aの
の部分が等しくなればよい。
母分散を
母標準偏差は
とかける。
これを解くと、
途中式
より
となる。
以上より、標本の大きさを
解答ハ:1, ヒ:5
別解
今回も、上の考え方が思いつかないときは 式Aを使って解くしかない。
値が変わるのは母分散と標本の大きさなので、この2つだけを式Aに代入する。
母分散を
標本の大きさは
は
とかける。
母分散を
母標準偏差は
は
となる。
なので、
である。
この2つの値を等しくしたいから、
という式がつくれる。
これを解くと、
途中式
より
となる。
以上より、標本の大きさを
解答ハ:1, ヒ:5