大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説

(1) シ~タ

PQRが正三角形のとき、3点PQRは例えば図Aのような状態になる。

図A
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図A

このとき、
{POQ=23πQOR=23π
である。

なので、
α=θ+23π
β=θ+43π
とかける。

解答シ:2, ス:4


より、αの三角比は
{cosα=cos(θ+23π)sinα=sin(θ+23π)
と表せる。

それぞれの式に加法定理を使うと、

cosα=cosθcos23πsinθsin23π
cosα=cosθ(12)sinθ(32)
cosα=32sinθ12cosθ

sinα=sinθcos23π+cosθsin23π
sinα=sinθ(12)+cosθ(32)
sinα=12sinθ+32cosθ

となる。

解答セ:7, ソ:4


同様に βの三角比については、より
{cosβ=cos(θ+43π)sinβ=sin(θ+43π)
とかける。

よって、加法定理より

cosβ=cosθcos43πsinθsin43π
cosβ=cosθ(12)sinθ(32)
cosβ=32sinθ12cosθ

sinβ=sinθcos43π+cosθsin43π
sinβ=sinθ(12)+cosθ(32)
sinβ=12sinθ32cosθ

と表せる。


以上より、このときのsは、
s=cosθ+cosα+cosβ
s=cosθ+(32sinθ12cosθ)
+(32sinθ12cosθ)
s=cosθ12cosθ12cosθ
32sinθ+32sinθ
s=0

tは、
t=sinθ+sinα+sinβ
t=sinθ+(12sinθ+32cosθ)
+(12sinθ32cosθ)
t=sinθ12sinθ12sinθ
+32cosθ32cosθ
t=0

となる。

解答タ:0

なので、
PQRが正三角形  s=t=0 である。

(1) チ~ネ

Pが直線y=x上にあり、点QRy=xに関して対称のとき、例えば図Bのような状態だ。

図B
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図B

このとき、

θ=π4なので、
cosθ=sinθ=12
cosθ=sinθ=22式A

Qと点Ry=xに関して対称なので、
Qx座標=Ry座標 Qy座標=Rx座標 だから、
{cosα=sinβsinα=cosβ式B

である。

式A,式Bをstの式に代入すると、
s=cosθ+cosα+cosβ
s=22+cosα+sinα
t=sinθ+sinα+sinβ
t=22+sinα+cosα
なので、
s=t=22+sinα+cosα式C
となる。

解答チ:2, ツ:2

図C
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図C

式Cの赤い部分で三角関数の合成をすると、図Cより、
sinα+cosα=2sin(α+14π)
とかける。

解答テ:2, ト:4

なので、式Cは
s=t=22+2sin(α+14π)
と書きなおせる。


s=t=0のとき、この式は
22+2sin(α+14π)=0
より
2sin(α+14π)=22
sin(α+14π)=12
となる。

この式の赤い部分を
α+14π=A式D
とおくと、
sinA=12
と表せる。
これを解く。

まず、Aの範囲から。
いま、点Qy=xよりも上にあるので、
14π<α<54π
とかける。

この各辺に14πをたして
14π+14π<α+14π<54π+14π
より
12π<A<32π
だ。

図D
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図D

この範囲で
sinA=12
となるのは、
A=76π
のときだけ。
(図D参照。図中の緑はAの定義域)

これを式Dに代入して、このときのα
α+14π=76π
α=76π14π
α=14312π
α=1112π式E
である。

解答ナ:1, ニ:1

さらに、y=xQORの二等分線なので
αβの平均が54π だから、
α+β2=54π
より
α+β=52π
とかける。

これに式Eを代入して、このときのβ
1112π+β=52π
β=3012π1112π
β=1912π
である。

解答ヌ:1, ネ:9

別解

図E
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図E

ヌネについては、図形的に求めることもできる。

図Eの緑の角と紫の角は等しい。

緑の角は
=απ2
とかけるから、
=απ2
だ。

ここで、
β=2π
なので、
β=2π(απ2)
β=52πα
と表せる。

これに式Eを代入して、β
β=52π1112π
β=3012π1112π
β=1912π
である。

解答ヌ:1, ネ:9

図F
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図F

このとき、図Fの

緑の角=βα
=1912π1112π
=23π

赤い角=αθ
=1112ππ4
=23π

より、POR23πなので、
緑の角=赤い角=POR
となって、s=t=0のとき△PQRは正三角形になってしまう。

(2)

s=t=0のとき、
{cosθ+cosα+cosβ=0sinθ+sinα+sinβ=0式F
より、
{cosθ=(cosα+cosβ)sinθ=(sinα+sinβ)
ができる。

これを
sin2θ+cos2θ=1
に代入すると、
(sinα+sinβ)2+(cosα+cosβ)2=1
とかける。

これを変形すると、
sin2α+2sinαsinβ+sin2β
+cos2α+2cosαcosβ+cos2β=1
より
2cosαcosβ+2sinαsinβ
=1(sin2α+cos2α+sin2β+cos2β)
だけど、この式の赤い部分と青い部分は1なので、
2cosαcosβ+2sinαsinβ=1
cosαcosβ+sinαsinβ=12式G
となる。

解答ノ:-, ハ:1, ヒ:2

同様に、式Fを
{cosβ=(cosθ+cosα)sinβ=(sinθ+sinα)
と変形して
sin2β+cos2β=1
に代入すると
cosθcosα+sinθsinα=12式H
ができる。


式Gも式Hも、いかにも加法定理を使いなさいという形だ。

式Gに加法定理を使うと
cos(βα)=12
と変形できる。

いま、
α<β
なので、
0<βα
0<αβ<2π
なので、
βα<2π
より
0<βα<2π
である。

以上より、
βα=B
とおくと、この方程式は
cosB=12
(0<B<2π)
とかける。

図G
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図G

図Gより、この方程式の解は
B=23π43π
なので、
βα=23π43π式I
である。

同様に考えると、式Hより
αθ=23π43π式J
であることが分かる。


図H
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第1問 [2] 解説図H

ここで、βααθとは何か考えてみると、それぞれ図Hの緑の角,赤い角にあたる。
β<2π
だから、
θ+緑の角+赤い角<2π
つまり
θ+(βα)+(αθ)<2π
でなければならない。

式I,式Jの解のうち、これを満たすのは
βα=αθ=23π
だけである。

解答フ:2, ヘ:3

このとき、POR23πになるので、△PQRは正三角形である。
よって、
s=t=0 PQRは正三角形 であることが分かる。

(3)

(1)(2)より、
PQRが正三角形  s=t=0 なので、正しい選択肢は

である。

解答ホ:0

余談

と、これで終わってしまうと少し寂しい気もするので、少し余談を書いておく。
問題が解ければいいやっていう人は、ここから先は読まないでも大丈夫。


まず、復習から。

図形と方程式の単元の内容になってしまうけれど、三角形の重心の座標は、

復習

3点 A(Ax,Ay)B(Bx,By)C(Cx,Cy)があるとき、
ABCの重心の座標は
(Ax+Bx+Cx3,Ay+By+Cy3)
である

だった。

復習より、△PQRの重心の座標は
(cosθ+cosα+cosβ3,sinθ+sinα+sinβ3)
とかけるから、
(s3,t3)
と表せる。

なので、
s=t=0PQRの重心が(0,0)
といえる。

さらに、P,Q,Rは原点を中心とする円周上にあるので、△PQRの外心は原点(0.0)だから
s=t=0PQRの外心と重心が一致する ことになる。


ここで、図形の性質の単元で学習した、正三角形と内心,外心,重心,垂心の復習をしておこう。

復習

正三角形であれば、内心,外心,重心,垂心は一致する 内心,外心,重心,垂心のうち2つが一致すれば、正三角形である

復習より、
PQRの外心と重心が一致する PQRは正三角形 である。


以上より、
s=t=0PQRが正三角形 となるので、(1)(2)を解かなくても、の答えは

だと分かる。