数学B : 統計的な推測 二項分布と正規分布
例題
さいころを100回投げたとき、3の倍数の目が出る回数を
前振り
求める確率を
数Ⅰの確率で考えると、これは、
この式の右辺をばらばらに書くと
余事象を使うと、
少し楽になったけれど、やっぱりとても面倒だ。
なので、他の方法を考えよう。
復習
確率
例題の場合、
試行回数
だから、確率変数
に従う。
これが材料になる二項分布だ。
イメージをつかむために、Aの確率分布をヒストグラムにしてみた。この図が描けるようになる必要はない。私もPCで作図した。
横軸は
例題で問われているのは
正規分布表を使って青い面積の近似値を求めるのが今回の方法である。
アドバイス
回数の多い反復試行の確率は、正規分布表を使って求める。
この方法は完全にパターン化していて、やり方さえ知っていれば機械的に計算できるので、方法を憶えておいてほしい。
以下、
1.二項分布を正規分布で近似する
2.正規分布を標準化する
3.正規分布表から確率を読み取る
の3ステップで問題を解く。
1.二項分布を正規分布で近似する
復習
だった。
余談
実は、
pが
図Aに、Bの正規分布のグラフを重ねたのが、図Bである。しつこく言うが、このグラフが描けるようになる必要はない。
Aの二項分布はBの正規分布で近似できるので、図中の青い面積は赤い斜線の面積とほとんど変わらない。
なので、青い面積を求める代わりに 赤い斜線部分の面積を求める。
2.正規分布を標準化する
図Bの斜線の面積を求めるために、正規分布表を使う。
教科書や参考書に載っている正規分布表を見てもらいたい。図Cのようなグラフがついていると思う。このグラフから分かるように、正規分布表は、正規分布のグラフの面積をまとめた表である。
全体の面積は1で、グラフは左右対称なので、
あとは正規分布表を見るだけと言いたいところだが、ひとつ問題がある。
Bの正規分布は、
正規分布表に載っているのは、標準正規分布で、平均値が
なので、どちらかを変換してもう一方にあわせてやらないといけない。普通は、標準正規分布にあわせる。
ある分布のグラフを、平均値が
標準化するには、
公式
確率変数
である。
とすればよい。
これを使って図Bを標準化する。
横軸の
になる。
今は例としてすべての目盛を計算したけど、問題を解くのに必要なのは式Aだけだ。
この計算結果をもとに、図Bを標準化すると図Dになる。
3.正規分布表から確率を読み取る
ここまでくれば勝ったも同然だ。
正規分布表で
緑の面積と赤い斜線の面積の和は
より、求める確率の近似値は
解答
余談
上の解説で、あれ?
疑問に思わなかった人は、読まなくていいです。てか、読まない方がいいかも知れない。
分かりやすいように、図Bを拡大して図Eにしてみた。
図中のヒストグラムが二項分布、赤い曲線が近似する正規分布のグラフである。
上の解法の流れを整理すると、
求める確率は図Eの青い部分の和、つまり面積
青い部分は、赤い斜線の面積で近似できる
だから、赤い斜線の面積を求めよう
というストーリーだった。
図Eの面積を求める部分をもっと拡大すると、図Fになる。
上の解説では、赤い斜線の部分の面積として、
でも、赤い斜線の部分は
なので、
をさがさないといけない。
上の解説よりもこちらの方がより近似した値が求められるんだけど、センター試験や共通テストでは不正解になる。
つまり、センター試験や共通テスト的には、図Fのオレンジの面積が正解で、赤い斜線の面積は不正解である。
なので、センター試験や共通テストでは、疑問を持たずにオレンジの部分の面積を求めてください。