大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

(1)

$m=14$のとき、
$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=14$式A
なので、$a$は$3$以下でないといけない。

詳しく $a$が$4$以上だと$a^{2} \geqq 16$なので、式Aは成り立たない。
あとは、やってみよう。

やってみるときのコツは、荷造りと同じで
大きなものから入れる
だ。

$a$は$3$以下なので、最大の
$a=3$
からはじめる。

このとき、式Aより
$3^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=14$
なので、
$b^{2}+c^{2}+d^{2}=5$式A1
だから、$b$は$2$以下でないといけない。

$b$は$2$以下なので、最大の
$b=2$
とする。

このとき、式A1より
$2^{2}+c^{2}+d^{2}=5$
なので、
$c^{2}+d^{2}=1$
だ。

よって

$c=1$
$d=0$

であれば、式Aを満たすことが分かる。

以上より、$m=14$のとき、これを満たす$(a,b,c,d)$は
$(3,2,1,0)$
である。

解答ア:3, イ:2, ウ:1, エ:0

アドバイス

今回は問題文から解が一組しかないことが分かるけど、解が何組あるか分からないときは、$a$の数をひとつずつ減らして全部のパターンをやってみないといけない。


$m=28$のときも、$m=14$のときと同じようにやってみる。
一応解説したけれど、$m=14$のときと同様なので、読み飛ばしてもらって問題ない。
「解説」のグレーの部分をタップ/クリックすると見ることができる。

解説

$m=28$のとき、
$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=28$式B
なので、$a$は$5$以下でないといけない。

$a=5$のとき

$a$は$5$以下なので、最大の$5$からはじめる。

このとき、式Bより
$5^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=28$
なので
$b^{2}+c^{2}+d^{2}=3$式B1
だから、$b$は$1$以下でないといけない。

よって、$a=5$のとき、式Bを満たす組合せは
$\left\{\begin{array}{l}a=5\\b=1\\c=1\\d=1\end{array}\right.$
のひとつだけ。

$a=4$のとき

$a=5$は終わったので、次は$a=4$だ。

このとき、式Bより
$4^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=28$
なので、
$b^{2}+c^{2}+d^{2}=12$式B2
だから、$b$は$3$以下でないといけない。

$b=3$のとき

ます、一番大きな$3$から。

このとき、式B2より
$3^{2}+c^{2}+d^{2}=12$
なので
$c^{2}+d^{2}=3$
だ。
これを満たす$c,d$の組は存在しないので、$b=3$は不適。

$b=2$のとき

このとき、式B2より
$2^{2}+c^{2}+d^{2}=12$
なので、
$c^{2}+d^{2}=8$
だから、
$\left\{\begin{array}{l}a=4\\b=2\\c=2\\d=2\end{array}\right.$
であれば、式Bを満たすことが分かる。

$b \lt 2$のとき、式B2を満たす組合せはない。

$a=3$のとき

このとき、式Bより
$3^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=28$
なので、
$b^{2}+c^{2}+d^{2}=19$式B3
だから、$b$は$3$でないといけない。

詳しく $b\geqq c\geqq d$なので、$b\leqq 2$のときは、
$b^{2}+c^{2}+d^{2}\leqq 12$
になってしまう。
$19$に届かないので不適。

$b=3$のとき

式B3より
$3^{2}+c^{2}+d^{2}=19$
なので
$c^{2}+d^{2}=10$式B4
だから、
$\left\{\begin{array}{l}a=3\\b=3\\c=3\\d=1\end{array}\right.$
であれば、式Bを満たすことが分かる。

式Bは$c$が$2$以下の場合は成り立たないので、$a=3$のときには他の組合せはない。

$a\leqq 2$のとき、

$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}\leqq 16$
なので、式Bを満たす組合せはない。

上の解説より、$m=28$のとき、①を満たす$(a,b,c,d)$は
$(5,1,1,1)$,$(4,2,2,2)$,$(3,3,3,1)$
の3つある。

解答オ:3

(2)

$a$が奇数のとき、$n$を整数として
$a=2n+1$
と表す。

このとき、$a^{2}-1$は
$a^{2}-1=(2n+1)^{2}-1$
$\phantom{ a^{2}-1 } =4n^{2}+4n+1-1$
$\phantom{ a^{2}-1 } =4n(n+1)$式C
と変形できる。

問題文にもあるけど、
$n(n+1)$
は偶数。

詳しく $n$と$n+1$は連続する整数なので、どちらかは偶数、もう一方は奇数だ。
偶数$\times$奇数$=$偶数
だから、$n(n+1)$は偶数である。

なので、式Cは
$ a^{2}-1=4\times$偶数
となるから、
$a$が奇数のとき、$a^{2}-1$は必ず$8$の倍数になる。

解答カ:8

よって、$k$を整数として、$a$が奇数のとき、
$a^{2}-1=8k$
より
$a^{2}=8k+1$
とかけるから、$a^{2}$を$8$で割ると$1$余る。


また、$a$が偶数のとき、$n$を整数として
$a=2n$
と表す。

このとき、$a^{2}$は
$4n^{2}$式D
とかける。

これを$8$で割る。

$n$が偶数のとき

$m$を整数として
$n=2m$
とすると、式Dは
$4(2m)^{2}=16m^{2}$
とかけるので、$8$で割りきれる。

$n$が奇数のとき

$m$を整数として
$n=2m+1$
とすると、式Dは
$4(2m+1)^{2}=4(4m^{2}+4m+1)$
$\phantom{ 4(2m+1)^{2} } =16(m^{2}+m)+4$
とかけるので、$8$で割ると$4$余る。

以上より、$a$が偶数のとき、$a^{2}$を$8$で割ると$0$または$4$余る。

(3)

$a^{2},b^{2},c^{2},d^{2}$をそれぞれ$8$で割った余りを$r_{a},r_{b},r_{c},r_{d}$とすると、$k_{a},k_{b},k_{c},k_{d}$を整数として

$a^{2}=8k_{a}+r_{a}$式E
$b^{2}=8k_{b}+r_{b}$
$c^{2}=8k_{c}+r_{c}$
$d^{2}=8k_{d}+r_{d}$

とかける。

(2)より、整数${}^{2}$を$8$で割った余りは

$1$(奇数のとき)
$0$または$4$(偶数のとき)

である。
なので、$r_{a},r_{b},r_{c},r_{d}$は、それぞれ$1,0,4$のどれかだ。

式Eを式①に代入すると、
$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=(8k_{a}+r_{a})+(8k_{b}+r_{b})$
$\hspace{170px} +(8k_{c}+r_{c})+(8k_{d}+r_{d})$
$\phantom{a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}}=8(k_{a}+k_{b}+k_{c}+k_{d})$
$\hspace{170px} +\textcolor{red}{r_{a}+r_{b}+r_{c}+r_{d}}$
と表せる。

この式が$8$の倍数になるためには、赤い部分が$8$の倍数にならないといけない。

$1,0,4$を$4$つ加えて$8$の倍数にするには、
$0+0+0+0$ $4+4+0+0$ $4+4+4+4$ の3つの組合せしかない。
つまり、$r_{a},r_{b},r_{c},r_{d}$の中に1個でも$1$があると、$8$の倍数にはならない。

以上より、$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}$が$8$の倍数なら、$a,b,c,d$はすべて偶数である。

解答キ:4

(4)

$m=224$のとき、式①は
$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=224$式F
となる。


$224$は$8$の倍数だから、(3)より、$a,b,c,d$は全て偶数だ。
なので、$a',b',c',d'$を整数として

$a=2a'$式G
$b=2b'$
$c=2c'$
$d=2d'$

とかける。

これを式Fに代入して、
$(2a')^{2}+(2b')^{2}+(2c')^{2}+(2d')^{2}=224$
より
$4a^{\prime 2}+4b^{\prime 2}+4c^{\prime 2}+4d^{\prime 2}=224$
$a^{\prime 2}+b^{\prime 2}+c^{\prime 2}+d^{\prime 2}=56$式F'
とかける。


$56$も$8$の倍数なので、同じことをもう1回しよう。

(3)より、$a',b',c',d'$は全て偶数だから、$a'',b'',c'',d''$を整数として

$a'=2a''$式G'
$b'=2b''$
$c'=2c''$
$d'=2d''$

とかける。

これを式F'に代入して、
$(2a'')^{2}+(2b'')^{2}+(2c'')^{2}+(2d'')^{2}=56$
より
$4a^{\prime\prime 2}+4b^{\prime\prime 2}+4c^{\prime\prime 2}+4d^{\prime\prime 2}=56$
$a^{\prime\prime 2}+b^{\prime\prime 2}+c^{\prime\prime 2}+d^{\prime\prime 2}=14$式F''
とかける。

より、式F''を満たす$a^{\prime\prime}\geqq b^{\prime\prime}\geqq c^{\prime\prime}\geqq d^{\prime\prime}\geqq 0$である整数は

$a''=3$
$b''=2$
$c''=1$
$d''=0$

の1組だけ。

これを式G',さらに式Gに代入して、式Fを満たす$a\geqq b\geqq c\geqq d\geqq 0$である整数は

$a=12$
$b=8$
$c=4$
$d=0$

の1組だけである。

解答ク:1, ケ:2, コ:8, サ:4, シ:0

(5)

$896$を素因数分解すると
$896=2^{7}\cdot 7$
なので、$7$の倍数で$896$の約数である正の整数$m$は
$m=2^{0}\cdot 7$,$2^{1}\cdot 7$,$2^{2}\cdot 7$,$\cdots$,$2^{7}\cdot 7$式H
の8個ある。


(4)より、①を満たす整数の組の数は
$m=\left\{\begin{array}{l}14=2^{1}\cdot 7\\56=2^{3}\cdot 7\\224=2^{5}\cdot 7\end{array}\right.$
のときで等しくて、1組だった。

このことからさらに
$m=2^{7}\cdot 7$
のときも整数の組は1組であると考えられる。

また、より
$m=28$
$\phantom{m}=2^{2} \cdot 7$
のとき、整数の組は3組なので、
$m=\left\{\begin{array}{l}2^{4}\cdot 7\\2^{6}\cdot 7\end{array}\right.$
のときも3組であるはず。

さらに、
$m=2^{0}\cdot 7$
$\phantom{m}=7$
のとき、①を満たす整数の組を(1)と同様に探すと
$(2,1,1,1)$
の1組だけ。


以上より、

$a^{2}+b^{2}+c^{2}+d^{2}=2^{\ell}\cdot 7$
を満たす$a\geqq b\geqq c\geqq d\geqq 0$である整数は

1組($\ell=0,1,3,5,7$のとき)
3組($\ell=2,4,6$のとき)式I

であることが分かる。

よって、式Hの8個の$m$のうち、
$a,b,c,d$の組が3組あるのは、式Iより3個。

解答ス:3

そのうち最大のものは
$m=2^{6}\cdot 7=448$
である。

解答セ:4, ソ:4, タ:8