(I)～(III)をひとつずつ確認しよう。

まずは、単純に計算しよう。

問題文中の式
${\displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}(x_1{f}_1+x_2{f}_2+x_3{f}_3+\cdots +x_k{f}_k)}$
に

	$x_2=x_1+h$
	$x_3=x_1+2h$
	$⋮$
	$x_k=x_1+(k-1)h$

を代入して、平均値$\bar{x}$は
${\displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}[x_1{f}_1+(x_1+h)f_2+(x_1+2h)f_3}$
$+\cdots +\{x_1+(k-1)h\}{f}_k]$
と表せる。

この式の$[]$の中を展開した
${\displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}\{x_1{f}_1+x_1{f}_2+h{f}_2+x_1{f}_3+2h{f}_3}$
$+\cdots +x_1{f}_k+(k-1)h{f}_k\}$
の、$x_1$の項と$h$の項に分けると
${\displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}[x_1(f_1+f_2+f_3+\cdots +f_k)}$
$+h\{f_2+2f_3+\cdots +(k-1)f_k\}]$
と変形できる。

この式の赤い部分は
$f_1+f_2+f_3+f_4+\cdots +f_k=n$
とかける。

詳しく

$f_1$～$f_k$はそれぞれの階級の度数なので、この問題だと都道府県の数にあたる。
$f_1+f_2+f_3+f_4+\cdots +f_k$
はすべての度数の和だから、この問題だと全都道府県数だ。
なので、データの大きさ$n$に等しい。

問題文中の度数分布表を見ると、度数の計が$n$になっている。
このことからも、
$f_1+f_2+f_3+f_4+\cdots +f_k=n$
であることが分かる。

なので、さらに
${\displaystyle \bar{x}=\frac{1}{n}[n{x}_1}$
$+h\{f_2+2f_3+3f_4+\cdots +(k-1)f_k\}]$
より
${\displaystyle \bar{x}=\frac{n{x}_1}{n}}$
${\displaystyle +\frac{h}{n}\{f_2+2f_3+3f_4+\cdots +(k-1)f_k\}}$
$\phantom{\bar{x}}{\displaystyle =x_1+\frac{h}{n}\{f_2+2f_3+3f_4+\cdots +(k-1)f_k\}}$
$$式Ａ
となる。

解答テ：３

式Ａを使って、問題文中の図２のヒストグラムから平均値$\bar{x}$を求める。

図２を見ると、階級幅$h$は$100$で、

階級値	$x_1$	$x_2$	$x_3$	$x_4$	$x_5$	計
	$100$
度数	$f_1$	$f_2$	$f_3$	$f_4$	$f_5$	$n$
		$25$	$14$	$3$	$1$	$47$

であることが分かる。

これを式Ａに当てはめて、
${\displaystyle \bar{x}=100+\frac{100}{47}(25+2\cdot 14+3\cdot 3+4\cdot 1)}$
より
${\displaystyle \bar{x}=100+\frac{100}{47}\times 113}$
$\phantom{\bar{x}}\doteqdot 240$
である。

解答ト：２, ナ：４, ニ：０

次に、分散$s^2$について考える。

問題文中の式にもあるように、分散$s^2$は
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}\{(x_1-\bar{x}{)}^2{f}_1+(x_2-\bar{x}{)}^2{f}_2}$
$+\cdots +(x_k-\bar{x}{)}^2{f}_k\}$
とかける。

この式の$\{\}$の中を展開して
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}[\{x_1^2-2\bar{x}{x}_1+(\bar{x}{)}^2\}{f}_1}$
$+\{x_2^2-2\bar{x}{x}_2+(\bar{x}{)}^2\}{f}_2$
$+\cdots +\{x_k^2-2\bar{x}{x}_k+(\bar{x}{)}^2\}{f}_k]$

途中式

$\phantom{s^2{\displaystyle }}{\displaystyle =\frac{1}{n}\{x_1^2{f}_1-2\bar{x}{x}_1{f}_1+(\bar{x}{)}^2{f}_1}$
$+x_2^2{f}_2-2\bar{x}{x}_2{f}_2+(\bar{x}{)}^2{f}_2$
$+\cdots +x_k^2{f}_k-2\bar{x}{x}_k{f}_k+(\bar{x}{)}^2{f}_k\}$
$\bar{x}$がない項，$\bar{x}$の項，$(\bar{x}{)}^2$の項に分けて、
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}\{x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k}$
$-2\bar{x}{x}_1{f}_1-2\bar{x}{x}_2{f}_2-\cdots -2\bar{x}{x}_k{f}_k$
$+(\bar{x}{)}^2{f}_1+(\bar{x}{)}^2{f}_2+\cdots +(\bar{x}{)}^2{f}_k\}$
$\phantom{s^2}{\displaystyle =\frac{1}{n}[(x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k)}$
$-(2\bar{x}{x}_1{f}_1+2\bar{x}{x}_2{f}_2+\cdots +2\bar{x}{x}_k{f}_k)$
$+\{(\bar{x}{)}^2{f}_1+(\bar{x}{)}^2{f}_2+\cdots +(\bar{x}{)}^2{f}_k\}]$

$\phantom{s^2}{\displaystyle =\frac{1}{n}\{(x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k)}$
$-2\bar{x}(x_1{f}_1+x_2{f}_2+\cdots +x_k{f}_k)$
$+(\bar{x}{)}^2(f_1+f_2+\cdots +f_k)\}$
$$式Ｂ
と変形できる。

(2)の問題文中の式にもあるように
${\displaystyle \frac{1}{n}(x_1{f}_1+x_2{f}_2+\cdots +x_k{f}_k)=\bar{x}}$
なので、式Ｂの緑の部分は
$x_1{f}_1+x_2{f}_2+\cdots +x_k{f}_k=n\bar{x}$
である。

また、(2)でも考えたように、式Ｂの赤い部分は
$f_1+f_2+f_3+f_4+\cdots +f_k=n$
だった。

よって、式Ｂは
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}\{(x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k)}$
$-2\bar{x}\times n\bar{x}+(\bar{x}{)}^2\times n\}$
とかける。

解答ヌ：３, ネ：０

これはさらに
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}\{(x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k)-n(\bar{x}{)}^2\}}$
より
$s^2={\displaystyle \frac{1}{n}(x_1^2{f}_1+x_2^2{f}_2+\cdots +x_k^2{f}_k)-(\bar{x}{)}^2}$
$$式Ｂ'
と表せる。

解答ノ：６

表Ｃに必要な値を書きたすと、表Ｄができる。

階級値	$x_1$	$x_2$	$x_3$	$x_4$	$x_5$	計
	$100$	$200$	$300$	$400$	$500$
度数	$f_1$	$f_2$	$f_3$	$f_4$	$f_5$	$n$
	$4$	$25$	$14$	$3$	$1$	$47$

これとトナニを式Ｂ'に当てはめて、
$s^2={\displaystyle \frac{1}{47}({100}^2\cdot 4+{200}^2\cdot 25+{300}^2\cdot 14}$
$+{400}^2\cdot 3+{500}^2\cdot 1)-{240}^2$

途中式

より
$s^2={\displaystyle \frac{1}{47}\cdot {100}^2(1\cdot 4+2^2\cdot 25+3^2\cdot 14}$
$+4^2\cdot 3+5^2\cdot 1)-{24}^2\cdot {10}^2$
$\phantom{s^2}{\displaystyle ={10}^2\{\frac{1}{47}\cdot {10}^2(4+100+126+48+25)-{24}^2\}}$
$\phantom{s^2}{\displaystyle ={10}^2(\frac{1}{47}\cdot {10}^2\cdot 303-576)}$
$\phantom{s^2}\doteqdot {10}^2(6.45\cdot {10}^2-576)$
$\phantom{s^2}\doteqdot 69\cdot {10}^2$

$\phantom{s^2}\doteqdot 6900$
となる。

よって、正しい選択肢は
③
だ。

解答ハ：３