大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅡB 第2問 [1] 解説
問題を解く準備
問題を解く前に、まず$y=F(x)$のグラフについて考えておこう。
問題文の
$f(x)$は2次関数
$x^{2}$の係数は正
である。
$F(x)$はこの$f(x)$を$0$から$x$まで積分したものなので、
$F(x)$は3次関数
$x^{3}$の係数は正
になる。
ここで、3次関数の形を復習しておくと、
復習
三次関数のグラフは、
$x^{3}$の係数が正のとき
全体として右上がりで、図Aの①②③
$x^{3}$の係数が負のとき
全体として右下がりで、図Aの④⑤⑥
のような形になる。
よって、$F(x)$のグラフは、図Aの
①②③
のいずれかの形になる。
①②③のグラフの違いは、傾きが$0$になる点の数の違いだ。
つまり、
$F'(x)=0$となる$x$が
$2$個なら、①のグラフ | |
$1$個なら、②のグラフ | |
$0$個なら、③のグラフ |
になる。
ということで$F'(x)$を考えるんだけど、ここで積分と微分の復習だ。
復習
関数を定数$\alpha$から$x$まで積分して微分すると
$\displaystyle \left[\int_{\alpha}^{x}f(t)dt\right]'=f(x)$
となって、もとの関数にもどる。
復習より、
$\displaystyle F'(x)=\left[\int_{0}^{x}f(t)dt\right]'$
$\phantom{ F'(x) } =f(x)$
$\phantom{ F'(x) }=(x-a)(x-2)$
となるから、$F'(x)=0$となるのは
$x=a,2$式A
のとき。
よって、
$a\neq 2$のとき、
$F'(x)=0$となる$x$は $x=a,2$の$2$個なので、
$y=F(x)$のグラフは図Aの①
$a=2$のとき、
$F'(x)=0$となる$x$は $x=2$の$1$個なので、
$y=F(x)$のグラフは図Aの②
となる。
さらに、グラフが①の場合、$F(x)$は
$a \lt 2$なら、
$x=a$で極大値
$x=2$で極小値
$2 \lt a$なら、
$x=2$で極大値
$x=a$で極小値
をとる。
以上をまとめると、$y=F(x)$のグラフは表Bのようになる。
$a \lt 2$のとき | $a=2$のとき | $2 \lt a$のとき |
---|---|---|
ここまで分かれば、勝ったも同然。
表Bを見ながら問題を解こう。
(1)
$a=1$なので、グラフは表Bの左がわ。
なので、$F(x)$が極小になるのは、
$x=2$
のとき。
解答ア:2
(2)
次は、$F(x)$がつねに増加するとき。
表Bを見ると、$F(x)$がつねに増加しているのは真ん中のグラフで、このときの$a$は
$a=2$
である。
解答イ:2
また、
$F(0)=\displaystyle \int_{0}^{0}ft(dt)$
$\phantom{F(0)}=0$
である。
解答ウ:0
なので、$y=F(x)$のグラフは原点を通る。
よって、表Bの真ん中のグラフに$x$軸と$y$軸を書き加えると、図Cのようになる。
図Cより、$F(2)$は正である。
解答エ:1
(3)
さらに、$G(x)$だ。
定積分の性質に、次のようなのがあった。
復習
$\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx=-\int_{b}^{a}f(x)dx$
$\displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx+\int_{b}^{c}f(x)dx=\int_{a}^{c}f(x)dx$
この性質を使うと、$G(x)$は
$G(x)=\displaystyle \int_{b}^{x}f(t)dt$
$\phantom{ G(x)\displaystyle } \displaystyle =\int_{b}^{0}f(t)dt+\int_{0}^{x}f(t)dt$
$\phantom{ G(x) } =\displaystyle \textcolor{red}{\int_{0}^{x}f(t)dt}-\textcolor{royalblue}{\int_{0}^{b}f(t)dt}$
と変形できる。
この式の
赤い部分は$F(x)$ | |
青い部分は定数で$F(b)$ |
なので、$G(x)$は
$G(x)=F(x)-F(b)$
と表せる。
よって、$y=F(x)$のグラフを
$y$軸方向に$-F(b)$
平行移動すると、$y=G(x)$のグラフになる。
解答オ:1, カ:3
いまは$a \gt 2$なので、$y=F(x)$のグラフは表Bの右がわだ。
このグラフを$y$軸方向に平行移動、つまり上下に動かすと$y=G(x)$になる。
なので、極大や極小のときの$x$座標は変わらない。
よって、$G(x)$は
$x=2$で極大
$x=a$で極小
になる。
解答キ:2, ク:a
ここで、
$G(b)=\displaystyle \int_{b}^{b}f(t)dt$
$\phantom{ G(b) } =0$
である。
解答ケ:0
なので、
$b=$キ
$\phantom{ b } =2$
のとき、
$G(2)=0$
となる。
以上より、$y=G(x)$のグラフは、
表Bの右端のグラフを$y$軸方向に平行移動したもので
$x=2$のとき$y=0$
だから、図Dであることが分かる。
図Dより、グラフと$x$軸との共有点の個数は
$2$個
である。
解答コ:2