大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説

サ~セ

最初に、y=g(x)のグラフを描こう。

g(x)の式の絶対値の部分は
|x|={x(x<0)x(0x)
なので、
g(x)={x(x+1)(x<0)x(x+1)(0x)
とかける。

よって、y=g(x)
y={x(x+1)(x<0)x(x+1)(0x)式A
だ。

図A
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図A

このy=x(x+1)y=x(x+1)
(1,0)(0,0)
x軸と交わる放物線で、片方は上に凸、もう片方は下に凸。
なので、それぞれのグラフは図Aの青と緑で表した放物線だ。
青と緑のグラフはx軸に関して対称である。

式Aより、y=g(x)
青い放物線のx<0の部分 緑の放物線の0xの部分 なので、グラフは図Aの実線部分だ。


Pにおけるy=g(x)の接線を考える。

Px座標は1なので、この部分でのg(x)の式は
g(x)=x(x+1)
g(x)=x2x式B
だ。

なので、点Pにおけるy=g(x)の接線の傾きは、式Bを微分した
g(x)=2x1

x=1
を代入した、
g(1)=2(1)1
g(1)=1
である。

解答サ:1

図B
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図B

この接線は、図Bの緑の直線。
なので、点Pを通り、傾きc
0<c<1
の直線は、例えば図Bの赤い直線になる。

図Bより、赤い直線は、y=g(x)と3点PQRで交わる。


次は、点QRx座標だ。

PQRx座標は、g(x)と式Bの赤い直線の連立方程式の解である。

g(x)の式は、
g(x)=|x|(x+1)
直線の式は、
P(1,0)を通る傾きcの直線なので、
y0=c{x(1)}
より
y=c(x+1)

以上より、連立方程式
{y=|x|(x+1)y=c(x+1)式C
がつくれる。
これを解く。

式Cより、
|x|(x+1)=c(x+1)

途中式 なので、
|x|(x+1)c(x+1)=0
(|x|c)(x+1)=0
より
|x|c=0x+1=0
x=±c1
となる。

このうち、1は点Px座標。
また、0<cなので、
cが点Qx座標 cが点Rx座標 である。

解答シ:-, ス:c, セ:c

ソ~テ

図C
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図C

最後に、y=g(x)と、0<c<1のときのに囲まれた面積を求める。

いま、グラフは図Cのような状況だ。

まず、S(オレンジの面積)だけど、これには16公式が使える。

ここで16公式の復習をしておこう。

復習

図D
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図D

図Dのそれぞれのグラフの
赤い線の式を 緑の線の式を とする。

このとき、図Dの黄色い部分の面積は、
黄=αβ()dx
とかける。

は必ず二次式になるので、実数aを用いて、この式はさらに
黄=αβ(ax2)dx式D
   =aαβ(x2)dx
   =a{16(βα)3}
と表せる。

式中の赤い部分'で x2の項以外を省略しているのは、計算結果に関係がないから。

復習より、Sは、
S=1c(g(x)の式)dx
S=1c{x(x+1)c(x+1)}dx

途中式 S=1c(x2)dx
S=1c(x2)dx
S=[16{(c)(1)}3]
となるので、
S=(c+1)36
S=c3+3c23c+16
である。

解答ソ:-, タ:3, チ:3, ツ:6


次は、図Cの青い面積Tだ。
これについては、ちょっと考えて楽をしよう。

アドバイス

さっきの16公式の復習を思い出すと、計算に使うのは、式Dの
a:積分する式のx2の係数 αβ:積分範囲の幅 だけだった。

つまり、積分する式のx2の係数と積分範囲の幅が同じであれば、積分結果は等しい。
例えば、図Eのオレンジの面積はすべて等しい。

図E
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図E

図CのTの部分を拡大すると、図Fができる。

図F
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図F

求めるT、つまり図Fの青い部分の面積は、
=赤い三角形+斜線部
だけど、アドバイスより 黄と斜線部の面積は等しいから、
=赤い三角形
であることが分かる。

詳しく
図G
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第2問 [2] 解説図G

図Gで、アドバイスより 黄とオレンジの面積は等しい。
青と緑の放物線はx軸に関して対称なので、オレンジと斜線部の面積は等しい。
なので、黄と斜線部の面積は等しい。

以上の考え方で、青い部分の面積の代わりに 赤い三角形の面積を求める。

の式は、
y=c(x+1)
y=cx+c
なので、y切片はcである。

よって、赤い三角形をy軸で分割すると、
底辺がc 高さがc の三角形が2つできる。

赤い三角形の面積は、この2つの三角形の面積の和なので、
赤い三角形=2×12cc
              =c2式E
だから、
T=c2
である。

解答テ:2

別解1

上の解法のポイントは「黄色の面積=斜線部の面積」なんだけど、これに気付かないと、仕方がないから積分して計算しないといけない。
その場合は次のような解き方になる。


図Fにおいて、
T=赤い三角形+斜線部式F
なので、この方針で解く。

式Eより、
赤い三角形=c2
だった。

黄の面積は、
=c0(g(x)直線OQ)dx
   =c0{x(x+1)直線OQ}dx
   =c0(x2)dx
   =c0(x2)dx式G
だけど、 部分は結果に影響がないので計算しない。
つまり、直線OQの式は求めなくていい。

16公式より、式Gは
=[16{0(c)}3]
   =c36
となる。

同様に、斜線部の面積は、
斜線=0c(直線ORg(x))dx
      =0c{直線ORx(x+1)}dx
      =0c(x2)dx
      =0c(x2)dx
16公式を使って、
斜線={16(c0)3}
      =c36
である。


以上を式Fに代入して、T
T=c2c36+c36
T=c2
となる。

解答テ:2

別解2

16公式を使う方法にも気づかなければ、直接求めるしかない。
このときの計算を一応載せたけれど、時間もかかるし、ミスしやすくなるし、本当はこんな解き方をしてはいけない。


y軸を境にg(x)の式が変わるので、Tx<0の部分と、0xの部分に分けて計算する。

x<0の部分では
g(x)=x(x+1)
なので、この部分の面積をT1とすると、
T1=c0(の式g(x))dx
T1=c0[c(x+1){x(x+1)}]dx

途中式 T1=c0{x2+(c+1)x+c}dx
T1=[13x3+c+12x2+cx]c0
T1=0{13(c)3+c+12(c)2+c(c)}
T1=c33c32c22+c2
T1=c36+c22
とかける。

また、0xの部分では
g(x)=x(x+1)
なので、この部分の面積をT2とすると、
T2=0c(の式g(x))dx
T2=0c{c(x+1)x(x+1)}dx

途中式 T2=0c{x2+(c1)x+c}dx
T2=[13x3+c12x2+cx]0c
T2=(13c3+c12c2+cc)0
T2=13c3+12c312c2+c2
T2=c36+c22
となる。

よって、求めるTは、この二つの面積の和の
T=c36+c22+c36+c22
T=c2
である。

解答テ:2