大学入学共通テスト 2021年(令和3年) 追試 数学ⅡB 第5問 解説

(1)

最初に図を描こう。
図を描くことには、ミスを防いだり情報を整理したりする目的もある。なので「図がなくても解けるよ」と思っても、必ず描くことをお勧めする。

空間で描くと図Aみたいなのができるけど、お勧めじゃない。
時間がかかるから。

図A
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図A

なので、図Bのような平面の図を描こう。

図B
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図B

図Bに点C~Eを描きたすと、図Cができる。

図C
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図C

図Cを見ながら問題を解く。


まず、|OA|2から。
OA=(1,2,0)
なので、
|OA|2=(1)2+22+02
         =5
である。

解答ア:5

また、点DOA9:1に内分するので、
OD=99+1OA
OD=910OA式A
とかける。

解答イ:9, ウ:1, エ:0

さらに、点CABの中点なので、
OC=OA+OB2式B
となる。

よって、式A,式Bより、
CD=ODOC

CD=910OAOA+OB2

途中式 CD=910OA510OA12OB
CD=410OA12OB
CD=25OA12OB式C
と表せる。

解答オ:2, カ:5, キ:1, ク:2


いま、OACDなので、
OACD=0
とかける。

これに式Cを代入すると、
OA(25OA12OB)=0

途中式 両辺を10倍して、
OA(4OA5OB)=0
より
4|OA|25OAOB=0
5OAOB=4|OA|2
OAOB=45|OA|2
となる。

この式にで求めた|OA|2を代入して、
OAOB=455
             =4式①
である。

解答ケ:4

補足

次は|OB|2だけど、問題文中の式②に
|OB|2=20
とあるので、ここでは自分で求める必要はない。
以下に求め方を載せたけど、問題だけ解ければいいやっていう人は、この補足は読み飛ばしてもらってかまわない。


CDのときと同様に、CE
CE=OEOC式D
とかける。

ここで、点EOB3:2に内分するので、
OE=33+2OB
      =35OB
となる。

これと式Bを式Dに代入すると、
CE=35OBOA+OB2
CE=12OA+110OB式E
である。

いま、OBCEなので、式Eより
OB(12OA+110OB)=0

途中式 だけど、この両辺を10倍して
OB(5OA+OB)=0
より
5OAOB+|OB|2=0
|OB|2=5OAOB
と表せる。

これに式①を代入して、
|OB|2=54
         =20式②
となる。

さらに、
OAOB=(1,2,0)(2,p,q)
なので、
OAOB=2p2
とかける。

これに式①を代入して
2p2=4
2p=6
p=3
である。

よって、
OB=(2,3,q)
となるから、
|OB|2=22+32+q2
         =q2+13
と表せる。

これに式②を代入すると
q2+13=20
q=±7
だけど、q>0なので
q=7
となる。

以上より
OB=(2,3,7)
となるから、点Bの座標は
(2,3,7)
である。

解答コ:3, サ:7

(2)

ここからは、空間での図を描かないといけない。
αを黄色い平面とすると、図Dができる。

図D
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図D

図中の青いベクトルをOAOBを用いて表す。

OABHは同一平面上にあり、
OAOB OA0 かつ OB0 なので、stを実数として、
OH=sOA+tOB
と表せる。

よって、
GH=OHOG

GH=sOA+tOBOG
GH=OG+sOA+tOB
とかける。

解答シ:-


このGHOAが垂直なので、
OAGH=0
より
OA(OG+sOA+tOB)=0
OAOG+s|OA|2+tOAOB=0
とかける。

これにOAOGの成分とで求めた|OA|2OAOBを代入して、
(1,2,0)(4,4,7)+5s+4t=0
48+5s+4t=0
5s+4t4=0式F
との式ができる。

また、GHOBも垂直なので、
OBGH=0
より
OB(OG+sOA+tOB)=0
OBOG+sOAOB+t|OB|2=0
とかける。

これをさっきと同じように計算すると
(2,3,7)(4,4,7)+4s+20t=0
812+7+4s+20t=0
4s+20t13=0式G
との式ができる。

あとは、式F,式Gの連立方程式

5s+4t4=0式F
4s+20t13=0式G

を解けばよい。

式F×5 25s +20t 20 = 0
式G) 4s +20t 13 = 0
21s 7 = 0

より、
s=721
s=13
となる。

解答ス:1, セ:3

これを式Fに代入して、
513+4t4=0

途中式 両辺を3倍して
5+12t12=0
12t=7
t=712
である。

解答ソ:7, タ:1, チ:2


最後は、点Hの存在範囲だ。
まず、点の存在範囲と位置ベクトルの復習をしよう。

復習

図E
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図E

図Eのように、三角形OABがあり、OA=aOB=bとする。

OABと同じ平面上に点Pがあり、
OP=sa+tb
を考える。
話を簡単にするため、0<s+tとする。


s+tで場合分けすると、点Pが存在するのは、
s+t<1のとき、直線ABより点O s+t=1のとき、直線AB 1<s+tのとき、直線ABの点Oと反対側 である。

図にまとめると、点Pの存在範囲は図Fのようになる。

図F
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図F

stの符号で場合分けすると、点Pが存在するのは、
0<s0<tのとき、直線OAOBの間 s<00<tのとき、直線OBより左 0<st<0のとき、直線OAより右 である。

図で表すと、点Pの存在範囲は図Gのような感じだ。

図G
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図G

最後に、stの大小関係で場合分けする。
これは学校ではやらないかも知れない。

ABの中点を点Cとすると、点Pが存在するのは
t<sのとき、直線OCよりも点A s<tのとき、直線OCよりも点B である。

図にすると、図Hのようになる。

図H
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図H

今回は、
OH=sOA+tOB
で、タチより
{s=13t=712
だった。

s+t=13+712
s+t=1112<1
なので、点Hは、復習でいうと、図Fの緑の範囲に存在する。

また、
{s>0t>0
なので、点Hは、復習だと、図Gのオレンジの範囲だ。

さらに、
s<t
なので、点Hは、復習の図Hの緑の範囲にある。

以上より、点Hは、上の3つの範囲の共通部分である
OBCの内部 に存在する。
これに当てはまる選択肢は

だ。

解答ツ:1

別解

と、復習の内容を知っていれば この問題はすぐに解ける。
けれど、知らない場合は仕方がない。計算だ。


まず
OH=sOA+tOB式H
stの和を1にする。

いま、
{s=13t=712
なので、
s+t=13+712
s+t=1112
だ。
これを1にするには、式Hの両辺に1211をかけて、
1211OH=1211sOA+1211tOB
とすればよい。

これにstの値を代入して計算すると、
1211OH=121113OA+1211712OB

途中式 1211OH=411OA+711OB
1211OH=4OA+7OB4+7
OH=11124OA+7OB4+7
とかける。

この式の赤い部分は、AB7:4に内分する点へのベクトルだ。
それを1112倍するとOHなので、点Hは図Iの位置にある。

図I
大学入学共通テスト2021年追試 数学ⅡB 第5問 解説図I

図Iより、点H
OBCの内部 に存在する。
これに当てはまる選択肢は

である。

解答ツ:1