大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅠA 第4問 解説

[1]

一次不定方程式はお約束の解き方があるので憶えておこう。

23x31y=2式A
を解く。

xyの係数の2331でユークリッドの互除法を行うと、
31÷23=18式B1
23÷8=27式B2
8÷7=11式B3

これを「=余り」の形に変形して、
31231=8式B1'
2382=7式B2'
871=1式B3'

式B3'に式B2'を代入して、
8(2382)1=1
823+82=1
23(1)+83=1
これに式B1'を代入して、
23(1)+(31231)3=1
23(1)+313+23(3)=1
23(4)+313=1
ができる。

これを式Aの方程式に合わせよう。
係数の符号をあわせて、
23(4)31(3)=1
両辺に2をかけて、
23(8)31(6)=2式C

式Aから式Cを辺々引くと、

23x 31y = 2
) 23(8) 31(6) = 2
23(x+8) 31(y+6) = 0

となるから、
23(x+8)=31(y+6)式D
とかける。

ここで、2331は互いに素なので、式Dが成り立つためには、mを整数として
{x+8=31my+6=23m
より
{x=31m8y=23m6式E
でなければならない。

問題文よりxyは自然数。
よって、式Eより
{0<31m80<23m6
となるので、mの範囲は
1m
だ。

また、式Eより、mが大きくなればxyも大きくなる。
つまり、mが最小値の1のとき、xyも最小値だ。
式Eにm=1を代入して、
x=3118
x=23
y=2316
y=17
より、xが最小になるときの(x,y)(23,17)である。

解答ア:2, イ:3, ウ:1, エ:7


n=31×17式F
なので、これまでの計算で3117が出てこなかったか、まず確認だ。
式Aの不定方程式にアイウエで求めた解を代入すると、3117を含む式ができることに気づく。
とりあえず式を作って、その先はできた式を見ながら考えよう。

アイウエの解を式Aに代入して、
23233117=2
より
3117=2322
となる。
これを式Fに代入して、
n=2322
であるから、
n3=(2322)3
n3=(232)33(232)22+32322223
となる。

この式の青い部分は23で割り切れる。
よって、n323で割った余りは、式の赤い部分
23=8
なんだけど、余りが負の数ってのはセンター試験的にはアウトだ。
なので、余りを正の数にしよう。
割る数は23なので、
8+23=15
より、余りは15である。

解答オ:1, カ:5

[2](1)

循環小数を分数に変形する方法を思い出そう。

今回分数にしたい循環小数を
a=0.5˙式G
とおく。
循環している数字は1桁だから、この両辺を101倍して、
10a=5.5˙式G'
として、式G'から式Gを辺々引くと、

10a = 5.5˙
) a = 0.5˙
9a = 5
となるので、
a=59
である。

解答キ:5


次は、593進法の小数にする。
何通りかの方法を紹介する。
計算は結構違うけど、やってることは同じだから、自分に合った方法を見つけてほしい。
この部分については、詳しくはこのページ参照。

解法1

まず、10進法の小数をn進法にする方法の復習だ。

10進法の小数をn進法にする

n倍する
積の整数部分を取り出す。小数部分は①にもどって計算を繰りかえす
という作業をし、取り出した整数を順に並べればn進法の小数ができる

この方法は、10進法の分数をn進法の小数にするときにも使える。

復習より、593進法にするには、
59×3=53
59×3=1+23
23×3=2
なので、
59=0.12(3)
である。

解答ク:1, ケ:2

解法2

まず、n進法の小数の復習をしておこう。

復習

abc0以上n未満の整数とするとき、
n進法の小数
0.abc(n)

a×1n+b×1n2+c×1n3+式H
とかける。

復習より、59を式Hの形に変形して、
59=39+29
59=13+232
なので、
59=0.12(3)
である。

解答ク:1, ケ:2

解法3

復習

n進法の小数d(n)があって、整数部分が0、小数部分がa(n)で、小数部分の桁数がm桁とするとき、
d(n)=a(n)nm式I
とかける。

復習より、59を式Iの形に変えよう。
3進法なので、
分母の93nの形にして、
9=32
分子の53進法にして、
5÷3=12
より、
5(10)=12(3)
以上より、
59=12(3)32 なので、
59=0.12(3) である。

解答ク:1, ケ:2

[2](2)

n進数についてもうちょっと復習しておこう。

復習

n進法とは、n個集まったものをひとつ大きな桁で表す方法だ。
この説明じゃ何のことか分からないので、例をいくつか挙げる。

10進法の場合、

もとの数 10個集まると
1 10
3.14 31.4
0.0012 0.012
8進法の場合、
もとの数 8個集まると
1(8) 10(8)
3.14(8) 31.4(8)
0.0012(8) 0.012(8)

となる。
このことから、
n進法の数字をn倍すると、小数点がひとつ右に動く と言える。
また、
n進法の数字をnで割ると、小数点がひとつ左に動く とも言える。

2進法の小数0.10(2)4倍する。
復習より、2進法の数字を4=22倍すると、小数点はふたつ右に動く。
よって、
4x=10.1˙0˙(2)
である。

解答コ:1, サ:0

10(2)10進法で表すと、
10(2)=1×21+0×20
10(2)=2
となる。
詳しくはこのページ参照。

解答シ:2

以上より、
4xx=2
なので、
x=23
である。

解答ス:2, セ:3

[2](3)

(2)の復習より、3進法で小数第3位までで終わる小数を33倍すると、小数点は3つ右に動いて整数になる。
なので、
A=33x式J
とすると、Aは整数になる。
これを変形して、
x=A33
とかける。

ここで、
x2<17
なので、
(A33)2<17
となる。

これを変形して、
A236<17
A2<367
A2<7297
A2<104.14
だけど、Aは整数なので、
10A10
である。

問題で問われているのは、Aじゃなくてxの最大だ。
なので、この式のAxに戻そう。
式Jを代入して、
1033x10
1033x1033
より、最大のxxmaxとすると、
xmax=1033式K
である。


でも、この103310進法の数字だ。
3進法に変えて、問題文のマスの0.ソタチ(3)の形にしよう。

103進法で表す。
10÷3=31
3÷3=10
1÷3=01
の余りを右から順に並べて、
10=101(3)
である。
この計算についてはこのページ参照。

よって、式Kは
xmax=101(3)33
とかける。
ここで、(2)の復習より、3進法の数を33で割ると小数点は3つ左に動くので、これはさらに
xmax=0.101(3)
となる。

解答ソ:1, タ:0, チ:1