大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅡB 第1問 [1] 解説

解説

まず、角度と座標の復習をしよう。

復習

図A
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅡB第1問[1] 復習図A

図Aのように、原点から$x$軸の正の向きと$\theta$の角度で直線$\ell$を引く。
このとき、$\ell$と、原点中心で半径が$1$の円の
交点の$x$座標が$\cos\theta$ 交点の$y$座標が$\sin\theta$ だった。

なので、$x$座標と$y$座標を$a$倍した点$(a\cos\theta,a\sin\theta)$は、原点中心で半径が$|a|$の円周上にある。
(図Aは$1 \lt a$のとき)

復習より、座標平面上に点$\mathrm{A}$,$\mathrm{P}$,$\mathrm{Q}$をとると図Bができる。

図B
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅡB第1問[1] 解説図B

$\mathrm{AP}^{2}$と$\mathrm{PQ}^{2}$、つまり三角形の辺の長さの2乗を問われているので、余弦定理だ。

△$\mathrm{OAP}$に余弦定理を使って、
$\mathrm{AP}^{2}=\mathrm{OA}^{2}+\mathrm{OP}^{2}-2\mathrm{OA}\cdot \mathrm{OP}\cdot\cos\angle \mathrm{AOP}$
$\mathrm{AP}^{2}$$=1^{2}+1^{2}-2\cdot 1\cdot 1\cdot\cos 2\theta$
$\mathrm{AP}^{2}$$=2-2\cos 2\theta$式A
である。

解答ア:2, イ:2

$\cos 2\theta$が出てきたので、2倍角の公式の復習をしておこう。

公式

$\sin 2\theta=2\sin\theta\cos\theta$
$\cos 2\theta=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta$
$\cos 2\theta$$=1-2\sin^{2}\theta$
$\cos 2\theta$$=2\cos^{2}\theta-1$
$\displaystyle \tan 2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^{2}\theta}$

2倍角の公式を式Aに代入して、
$\mathrm{AP}^{2}=2-2(2\cos^{2}\theta-1)$
$\mathrm{AP}^{2}$$=4-4\cos^{2}\theta$
となる。

解答ウ:4, エ:4

$\mathrm{AP}^{2}$のときと同様に、△$\mathrm{OPQ}$に余弦定理を使って、
$\mathrm{PQ}^{2}=\mathrm{OP}^{2}+\mathrm{OQ}^{2}-2\mathrm{OP}\cdot \mathrm{OQ}\cdot\cos\angle \mathrm{POQ}$
$\mathrm{PQ}^{2}$$=1^{2}+2^{2}-2\cdot 1\cdot 2\cdot\cos\theta$
$\mathrm{PQ}^{2}$$=5-4\cos\theta$
である。

解答オ:5, カ:4

よって、
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}=(4-4\cos^{2}\theta)+(5-4\cos\theta)$
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$$=-4\cos^{2}\theta-4\cos\theta+9$式B
とかける。


図C
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅡB第1問[1] 解説図C

ここで、
$\displaystyle \frac{\pi}{3}\leqq\theta \lt \pi$式C
より、$\theta$の定義域は図Cの緑の範囲。

なので、$\cos\theta$の範囲は
$-1 \lt \displaystyle \cos\theta\leqq\frac{1}{2}$式D
である。

解答キ:-, ク:1, ケ:1, コ:2

$\cos\theta=x$式E
とおくと、式B,式Dは
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}=-4x^{2}-4x+9$式B'
$-1 \lt x\displaystyle \leqq\frac{1}{2}$式D'
となるから、あとは二次関数の最大・最小の問題だ。

式B'を平方完成してもいいんだけど、分数になって面倒だから、ここでは次の復習の方法を使うことにする。

復習

$y=ax^{2}+bx+c$のグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-b}{2a}$
だった。

復習より、式B'のグラフの頂点の$x$座標は
$\displaystyle \frac{-(-4)}{2\cdot(-4)}=-\frac{1}{2}$
なので、図Dのようなグラフになる。

図D
大学入試センター試験2018年追試 数学ⅡB第1問[1] 解説図D

図Dより、$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$の最大は、$x=-\displaystyle \frac{1}{2}$のとき。
このとき、式Eより
$\displaystyle \cos\theta=-\frac{1}{2}$式F
また、式Cより
$\displaystyle \frac{\pi}{3}\leqq\theta \lt \pi$
なので、式Fを満たす$\theta$は
$\displaystyle \theta=\frac{2}{3}\pi$
である。

解答サ:2, シ:3

最大値は、式B'に$x=-\displaystyle \frac{1}{2}$を代入して、
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}=-4\left(-\frac{1}{2}\right)^{2}-4\left(-\frac{1}{2}\right)+9$
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$$=-1+2+9$
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$$=10$
となる。

解答ス:1, セ:0

また、図Dより、$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$の最小は、$x=\displaystyle \frac{1}{2}$のとき。
このとき、式Eより
$\displaystyle \cos\theta=\frac{1}{2}$式G
また、式Cより
$\displaystyle \frac{\pi}{3}\leqq\theta \lt \pi$
なので、式Gを満たす$\theta$は
$\displaystyle \theta=\frac{\pi}{3}$
である。

解答ソ:3

最小値は、式B'に$x=\displaystyle \frac{1}{2}$を代入して、
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}=-4\left(\frac{1}{2}\right)^{2}-4\left(\frac{1}{2}\right)+9$
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$$=-1-2+9$
$\mathrm{AP}^{2}+\mathrm{PQ}^{2}$$=6$
となる。

解答タ:6