大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅠA 第3問 解説
(1)
8つのものを1列に並べるんだけど、そのうち4つ,2つ,2つはそれぞれ区別がつかない。
なので、場合の数は
$\displaystyle \frac{8!}{4!\cdot 2!\cdot 2!}=\frac{8\cdot 7\cdot 6\cdot 5}{2\cdot 2}$
$=2\cdot 7\cdot 6\cdot 5$
$=420$
である。
解答ア:4, イ:2, ウ:0
1以外のカードを先に並べ、あとから1を差し込むことにしよう。
1以外の4枚のカードの並べ方は、
$\displaystyle \frac{4!}{2!\cdot 2!}$通り。
並べた4枚のカードの間に1を差し込むんだけど、差し込むことができる場所は、図Aのように5か所ある。
そのうちの4か所に差し込むので、差し込み方は
${}_{5}\mathrm{C}_{4}$通り。
1以外のカードを並べて、間に1を差し込んで、両方の作業を行わないと試行が終わらない。
なので、この2つの数はかけ算だ。
$\displaystyle \frac{4!}{2!\cdot 2!}\times {}_{5}\mathrm{C}_{4}=3\cdot 2\cdot 5$
$=30$
なので、条件(*)を満たす整数は$30$個である。
解答エ:3, オ:0
(2) カ~ソ
$P(A_{0})$は、8枚のカードから3枚取り出し、5が1枚も含まれていない確率。
つまり、5以外の6枚から3枚出る確率なので、
$P(A_{0})=\displaystyle \frac{{}_{6}\mathrm{C}_{3}}{{}_{8}\mathrm{C}_{3}}$
$P(A_{0})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{\frac{6\cdot 5\cdot 4}{3\cdot 2\cdot 1}}{\frac{8\cdot 7\cdot 6}{3\cdot 2\cdot 1}}$
$P(A_{0})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6\cdot 5\cdot 4}{8\cdot 7\cdot 6}$
$P(A_{0})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{5}{2\cdot 7}$
$P(A_{0})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{5}{14}$
解答カ:5, キ:1, ク:4
$P(A_{1})$は、2枚の5から1枚,6枚の5以外から2枚出る確率。
$P(A_{1})=\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{6}\mathrm{C}_{2}}{{}_{8}\mathrm{C}_{3}}$
$P(A_{1})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\cdot\frac{6\cdot 5}{2\cdot 1}}{\frac{8\cdot 7\cdot 6}{3\cdot 2\cdot 1}}$
$P(A_{1})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{5}{\frac{4\cdot 7}{3}}$
$P(A_{1})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{5\cdot 3}{4\cdot 7}$
$P(A_{1})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{15}{28}$式A
解答ケ:1, コ:5, サ:2, シ:8
$P(A_{2})$は、2枚の5全部と,6枚の5以外から1枚出る確率。
だけど、5は2枚しかないので、取り出した3枚のうちの5の数は
0枚($A_{0}$)
1枚($A_{1}$)
2枚($A_{2}$)
の3パターンしかない。
はじめの2パターンの確率はすでに求めてあるので、余事象として$P(A_{2})$を求めた方が早い。
以上の考え方から、
$P(A_{2})=1-(P(A_{0})+P(A_{1}))$
$P(A_{2})$$=1-\left(\frac{5}{14}+\frac{15}{28}\right)$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{28}{28}-\frac{10+15}{28}$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{28}$式B
である。
解答ス:3, セ:2, ソ:8
別解
余事象を使わない場合は、次のようになる。
$P(A_{2})$は、2枚の5の全部と,6枚の5以外から1枚出る確率なので、
$P(A_{2})=\displaystyle \frac{{}_{2}\mathrm{C}_{2}\cdot {}_{6}\mathrm{C}_{1}}{{}_{8}\mathrm{C}_{3}}$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1\cdot 6}{\frac{8\cdot 7\cdot 6}{3\cdot 2\cdot 1}}$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{6}{8\cdot 7}$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{4\cdot 7}$
$P(A_{2})\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3}{28}$式B
である。
解答ス:3, セ:2, ソ:8
(2) タ~ナ
$P(A_{1}\cap B)$は、$A_{1}$が起こり、そのうちから1枚取り出すと5である確率。
$A_{1}$が起こる確率は、式Aより
$\displaystyle \frac{15}{28}$
$A_{1}$が起こっているので、袋の中には
5
1または2
1または2
のカードが入っている。
これから1枚取り出すと5なので、その確率は
$\displaystyle \frac{1}{3}$
よって、
$P(A_{1}\displaystyle \cap B)=\frac{15}{28}\cdot\frac{1}{3}$
$P(A_{1}\displaystyle \cap B)$$\displaystyle =\frac{5}{28}$式C
である。
解答タ:5, チ:2, ツ:8
$P(A_{2}\cap B)$も同様に考えよう。
$A_{2}$が起こる確率は、式Bより
$\displaystyle \frac{3}{28}$
$A_{2}$が起こっているので、袋の中には
5
5
1または2
のカードが入っている。
これから1枚取り出すと5なので、その確率は
$\displaystyle \frac{2}{3}$
よって、
$P(A_{2}\displaystyle \cap B)=\frac{3}{28}\cdot\frac{2}{3}$
$P(A_{2}\displaystyle \cap B)$$\displaystyle =\frac{1}{14}$式D
である。
解答テ:1, ト:1, ナ:4
(2) ニヌ
ここで、条件付き確率の復習をすると、
復習
事象$X$が起こる確率を$P(X)$,事象$X$と$Y$の両方が起こる確率を$P(X\cap Y)$とするとき、
$X$が起こったときに$Y$が起こる条件付き確率$P_{X}(Y)$は
$P_{X}(Y)=\displaystyle \frac{P(X\cap Y)}{P(X)}$式E
である。
事象$B$、つまり試行$T_{2}$で5が出るのは、さっき確率を求めた
$A_{1}\cap B$
$A_{2}\cap B$
の2パターンしかない。
なので、事象$B$が起こる確率$P(B)$は
$P(B)=P(A_{1}\cap B)+P(A_{2}\cap B)$
で、これは、式Cと式Dより
$P(B)=\displaystyle \frac{5}{28}+\frac{1}{14}$
である。
これが、復習の式Eの分母にあたる。
また、試行$T_{2}$で5が出て、袋の中にも5が入っているためには、
試行$T_{1}$で5が2枚取り出される
試行$T_{2}$で5が取り出される
の両方が起こった場合なので、$A_{2}\cap B$の事象だ。
なので、確率は、式Dより
$P(A_{2}\displaystyle \cap B)=\frac{1}{14}$
である。
これが、復習の式Eの分子にあたる。
以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{\frac{1}{14}}{\frac{5}{28}+\frac{1}{14}}$
となる。
この分母分子に$28$をかけて、
$\displaystyle \frac{\frac{1}{14}\cdot 28}{\frac{5}{28}\cdot 28+\frac{1}{14}\cdot 28}=\frac{2}{5+2}$
$=\displaystyle \frac{2}{7}$
である。
解答ニ:2, ヌ:7
別解
上の解説では、問題文が誘導するとおりに解いた。
しかし、ニヌだけを求めるような場合には、次のように解いた方が早い。
この問題の試行は、まず$T_{1}$を行い次に$T_{2}$を行うといった2ステップになっていてややこしく見えるけど、だまされてはいけない。
以下、説明を分かりやすくするために、カードを生徒、試行$T_{2}$で取り出されたカードを委員長、取り出されなかった2枚のカードを副委員長とする。
問題の試行をまとめると、
8人の生徒から無作為に3人選び
その3人から無作為に1人を選んで委員長に、残りを副委員長にする
と書き直すことができる。
8人の生徒みんな、同じ確率で委員長に選ばれ、同じ確率で副委員長に選ばれる。
なので、単に
8人の生徒から無作為に1人の委員長と2人の副委員長を選ぶ
としても、確率は変わらない。
ここまで整理したところで、もう一度、条件付き確率の復習をしよう。
復習
事象$X$が起こったときに事象$Y$が起こる条件付き確率$P_{X}(Y)$とは、$X$が起こった場合を全事象と考えて、その中で$Y$が起こる確率のことである。
よって、問われている条件付き確率は、
二人の5のうち一方が必ず委員長となるとしたとき、もう一人の5が副委員長になる確率
と言いかえられる。
この確率を求めるわけだけれど、
委員長は必ず5
だから、最初から5を一人除いて、残り7人から2人の副委員長を選ぶと考える。
起こってほしい副委員長の選び方は、
ひとりは5なので、選び方は${}_{1}\mathrm{C}_{1}$通り。
もう一人は残りの6人から選ぶので、選び方は${}_{6}\mathrm{C}_{1}$通り。
なので、
${}_{1}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{6}\mathrm{C}_{1}$
通り。
すべての副委員長の選び方は、
${}_{7}\mathrm{C}_{2}$
通り。
以上より、求める条件付き確率は、
$\displaystyle \frac{{}_{1}\mathrm{C}_{1}\cdot {}_{6}\mathrm{C}_{1}}{{}_{7}\mathrm{C}_{2}}=\frac{6}{\frac{7\cdot 6}{2\cdot 1}}$
$=\displaystyle \frac{2}{7}$
である。
解答ニ:2, ヌ:7