大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説
(1)
最初に、期間A,Bの相関係数と、全期間の相関係数との大小関係の問題。
全期間の共分散も
まず、相関係数の復習から。
復習
データ
である。
問題文の表1から、全期間の
となる。
よって、正しいのは⑤の
解答シ:5
(2)
まず、箱ひげ図の復習をしておこう。
復習
範囲は、最大値
四分位範囲は、第3四分位数
復習が終わったところで、選択肢の⓪~⑥をひとつずつ確認する。
⓪ 問題文の図4を見ると、期間Aの最大値(ひげの右端)は、期間Bのひげの右端よりも右にある。なので、誤り。
① 問題文の図4を見ると、期間Aの第1四分位数(箱の左端)は、期間Bの箱の左端よりもわずかに右にあるようだ。なので、誤り。
② 問題文の図4を見ると、期間Aも期間Bも、四分位範囲(箱の幅)は0.6~0.7の間の数。なので、差は0.2より小さいから、誤り。
③ 問題文の図4を見ると、期間Aの範囲(ひげの右端から左端の幅)は、期間Bのものよりも大きい。なので、誤り。
④
問題文より、期間Aの中央値は0.0584、期間Bの中央値は0.0252。
また、図4より、期間Aも期間Bも四分位範囲(箱の幅)は0.6~0.7の間の数。
期間Aも期間Bも、四分位範囲は中央値の絶対値の10倍以上なので、当然8倍より大きい。
よって、正しい。
⑤
問題文の図4を見ると、期間Aの第3四分位数は0.4付近。
図3を見ると、期間Aで度数が最大なのは、0~0.5の階級。
この階級に0.4前後の数は含まれるので、正しい。
⑥
問題文の図4を見ると、期間Bの第1四分位数は-0.3付近。
図3を見ると、期間Bで度数が最大なのは、0~0.5の階級。
この階級に-0.3前後の数は含まれないので、誤り。
以上より、当てはまるものは④⑤である。
解答ス:4, セ:5 (順不同)
(3)
今回もまず復習から。
データの変換と統計量の関係の復習をしておこう。
復習
データ
平均値を
式にすると、
として新しいデータをつくる。
このとき、新しいデータ
平均値は
さらに、共分散と相関係数については、
データ
共分散を
として新しいデータ
このとき、
共分散は
異符号のとき、
式Cより、選択肢の⓪,④以外は不適。
⓪は
というわけで④が正しそうなんだけど、理由が何となくじゃいけないので、ちゃんと考えてみる。
(
よって、
(
よって、
以上より、
となるので、④は正しい。
解答ソ:4
別解
上の解説のように、直接相関係数を考えるよりも、共分散と標準偏差から考えた方が分かりやすいかも知れない。
式Aより、
式Bより、
となる。
なので、
となるけど、上の式の赤文字の部分は
よって、正解は④である。
解答ソ:4
(4)
さらに、相関係数と散布図について復習する。
復習
ここに載せた散布図は、全て
横軸
縦軸
であるとする。
図A・図Bのように、点が直線状に連なっているとき、
図Aのように右上がりの場合を「正の相関」といい、図Bのように右下がりの場合を「負の相関」という。
また、同じ正の相関であっても、図Aと図Cを比較すると、図Aの方がより直線状になっている。このような場合、図Aの方が「相関が強い」といい、図Cの方が「相関が弱い」という。
相関が強い場合、相関係数は、
正の相関なら
負の相関なら
これを考えながら問題文中の散布図を見る。
散布図1は、右上がりの直線状に点が分布している(図D)
従って、3つの散布図中で相関係数が最も
である。
散布図2と3はちょっと分かりにくいけど、
散布図2は...分布に沿って直線を引くのは無理だねぇ(図E)
散布図3も難しいけど、分布図2よりは右下がりの直線に近い(図F)
従って、分布図3の相関係数が
よって、
になる。
以上より、正しい組合せは⑤である。
解答タ:5