大学入試センター試験 2018年(平成30年) 追試 数学ⅡB 第3問 解説
(1)
式①に$s=4$を代入すると、
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{2a_{n}+4}{a_{n}+2}$
$a_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2(a_{n}+2)}{a_{n}+2}$
$a_{n+1}$$=2$
となる。
よって、数列$\{a_{n}\}$は、
初項$a_{1}=\displaystyle \frac{1}{2}$
$2$項目以降は、全部$2$
なので、
$a_{2}=2$
$a_{100}=2$
である。
解答ア:2, イ:2
(2)
$b_{n}=\displaystyle \frac{1}{a_{n}}$
なので、
$b_{1}=\displaystyle \frac{1}{a_{1}}$
$b_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{\frac{1}{2}}$
$b_{1}$$=2$
である。
解答ウ:2
式①に$s=0$を代入すると、
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{2a_{n}}{a_{n}+2}$式A
となる。
この先どうしようか一瞬悩むけど、
$b_{n}=\displaystyle \frac{1}{a_{n}}$
とおくので、とにかく分母が$a_{n}$や$a_{n+1}$の分数をつくろう。
言うまでもないかも知れないけれど、
$b_{n}=\displaystyle \frac{1}{a_{n}}$式B1
ならば
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}$式B2
である。
式Aの両辺の逆数をとって、
$\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}=\frac{a_{n}+2}{2a_{n}}$
$\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}$$\displaystyle =\frac{a_{n}}{2a_{n}}+\frac{2}{2a_{n}}$
$\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}$$\displaystyle =\frac{1}{2}+\frac{1}{a_{n}}$
これに式B1,式B2を代入して、
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{2}+b_{n}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =b_{n}+\frac{1}{2}$
となる。
解答エ:1, オ:2
別解
今問われているのは、$\{b_{n}\}$の漸化式だ。
つまり、$b_{n+1}$と$b_{n}$の関係式を作りたい。
式Aの$a_{n+1}$と$a_{n}$を$b_{n+1}$と$b_{n}$にできれば、それが目的の漸化式だ。
なので、
$b_{n}=\displaystyle \frac{1}{a_{n}}$
を
$a_{n}=$
の形に変形してから式Aに代入して、$b_{n+1}$と$b_{n}$だけの式を作ろう。
式B1,式B2より、
$a_{n}=\displaystyle \frac{1}{b_{n}}$
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{1}{b_{n+1}}$
これらを式Aに代入して、
$\displaystyle \frac{1}{b_{n+1}}=\frac{2\cdot\frac{1}{b_{n}}}{\frac{1}{b_{n}}+2}$
$\displaystyle \frac{1}{b_{n+1}}$$=\displaystyle \frac{2}{1+2b_{n}}$
両辺の逆数をとって、
$b_{n+1}=\displaystyle \frac{1+2b_{n}}{2}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1}{2}+\frac{2b_{n}}{2}$
$b_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =b_{n}+\frac{1}{2}$
となる。
解答エ:1, オ:2
ここで、2項間漸化式の基本パターンの復習をしておこう。
復習
2項間漸化式の基本の形は4つあって、
$p_{n+1}=p_{n}+d$
公差$d$の等差数列
$p_{n+1}=rp_{n}$
公比$r$の等比数列
$p_{n+1}=p_{n}+f(n)$
階差数列の一般項が$f(n)$
$ p_{n+1}=\alpha p_{n}+\beta$
特性方程式を使って解く
だった。
$b_{n}$の漸化式は復習の1番目のパターンなので、$\{b_{n}\}$は、
初項$b_{1}=2$
公差が$\displaystyle \frac{1}{2}$
の等差数列である。
等差数列の一般項の式より、
$b_{n}=2+(n-1)\displaystyle \times\frac{1}{2}$
$b_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{n+3}{2}$
これを式B1に代入して、
$\displaystyle \frac{1}{a_{n}}=\frac{n+3}{2}$
両辺の逆数をとって、
$a_{n}=\displaystyle \frac{2}{n+3}$
となる。
解答カ:2, キ:3
(3)
$c_{n}=\displaystyle \frac{1+a_{n}}{1 - a_{n}}$式C
なので、
$c_{1}=\displaystyle \frac{1+a_{1}}{1-a_{1}}$
$c_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{1+\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}}$
$b_{1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2+1}{2-1}$
$b_{1}$$=3$
である。
解答ク:3
式①に$s=1$を代入すると、
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}$式D
となる。
またこの先どうしようか悩むけど、材料は
$c_{n}=\displaystyle \frac{1+a_{n}}{1-a_{n}}$式C
と
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}$式D
の2つしかない。
この2つの式を使って、$c_{n+1}$と$c_{n}$だけの式をつくるわけだ。
とりあえずは代入を考える。で、作りやすい部分だけ作って、あとはできた式を見ながら考えよう。
まず、$c_{n+1}$を作る。
式Cより、
$c_{n+1}=\displaystyle \frac{1+a_{n+1}}{1-a_{n+1}}$式C'
である。これに式Dを代入すると、$c_{n+1}$を式$a_{n}$で表せる。
式C'に式Dを代入して、
$c_{n+1}=\displaystyle \frac{1+\frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}}{1-\frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}}$
複分数は面倒なので、何とかしよう。
右辺の分母分子に$a_{n}+2$をかけて、
$c_{n+1}=\displaystyle \frac{(a_{n}+2)+(2a_{n}+1)}{(a_{n}+2)-(2a_{n}+1)}$
$c_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3a_{n}+3}{1-a_{n}}$
$c_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3(a_{n}+1)}{1-a_{n}}$
$c_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =3\cdot\frac{1+a_{n}}{1-a_{n}}$
となって、右辺に式Cと同じ形ができた。
これに式Cを代入して、
$c_{n+1}=3c_{n}$式E
となる。
別解
(2)の別解と同じ考え方で、式Cを
$a_{n}=$
の形に変形して、式Dに代入しても式Eができる
式Cより、
$(1-a_{n})c_{n}=1+a_{n}$
途中式
$c_{n}-c_{n}a_{n}=1+a_{n}$
$c_{n}a_{n}+a_{n}=c_{n}-1$
$(c_{n}+1)a_{n}=c_{n}-1$
なので、
$a_{n+1}=\displaystyle \frac{c_{n+1}-1}{c_{n+1}+1}$式F2
である。
式F1,式F2を式Dに代入して、
$\displaystyle \frac{c_{n+1}-1}{c_{n+1}+1}=\frac{2\cdot\frac{c_{n}-1}{c_{n}+1}+1}{\frac{c_{n}-1}{c_{n}+1}+2}$
右辺の分母分子に$c_{n}+1$をかけて、
$\displaystyle \frac{c_{n+1}-1}{c_{n+1}+1}=\frac{2(c_{n}-1)+(c_{n}+1)}{(c_{n}-1)+2(c_{n}+1)}$
$\displaystyle \frac{c_{n+1}-1}{c_{n+1}+1}$$=\displaystyle \frac{3c_{n}-1}{3c_{n}+1}$式G
この式の両辺を見比べると、左辺の$c_{n+1}$の部分が、右辺では$3c_{n}$になっている。
なので、
$c_{n+1}=3c_{n}$式E
だと考えられる。
こんな考え方はイヤだっていう場合は、もうちょっと計算だ。
式Gの分母を払って、
$(c_{n+1}-1)(3c_{n}+1)=(c_{n+1}+1)(3c_{n}-1)$
$3c_{n+1}c_{n}+c_{n+1}-3c_{n}-1=3c_{n+1}c_{n}-c_{n+1}+3c_{n}-1$
$2c_{n+1}=2\cdot 3c_{n}$
$c_{n+1}=3c_{n}$式E
となる。
式Eは復習の2番目のパターンなので、$\{c_{n}\}$は
クより、初項$c_{1}=3$
公比が$3$
の等比数列である。
等比数列の一般項の式より、
$c_{n}=3\cdot 3^{n-1}$
$c_{n}$$=3^{n}$式H
となる。
あとは、$\{c_{n}\}$の一般項を$\{a_{n}\}$の一般項に変換すればOKだ。
$\{c_{n}\}$と$\{a_{n}\}$の関係式は式Cなので、これを使う。
式Cに式Hを代入して、
$3^{n}=\displaystyle \frac{1+a_{n}}{1-a_{n}}$
$(1-a_{n})3^{n}=1+a_{n}$
途中式
$3^{n}-3^{n}a_{n}=1+a_{n}$
$3^{n}a_{n}+a_{n}=3^{n}-1$
$(3^{n}+1)a_{n}=3^{n}-1$
となる。
式Eを別解の方法で求めた場合は、式F1に式Hを代入すれば、すぐに式Iができる。
だけど、これじゃ問題文のマスに合わない。
なので、もう少し計算だ。
式Iの右辺の分子に$1$をたして引いて、
詳しく
分子が$3^{n}+1$だったら、約分して
$\displaystyle \frac{3^{n}+1}{3^{n}+1}=1$
とできる。
なので、分子に
$3^{n}+1$
を作りたい。
$3^{n}$はすでに存在するけど、$+1$がない。
なので、$+1$を作ろう。
でも、単に$+1$を書き加えると、式の値が変わっちゃう。
なので、$1$をたして$1$を引いて、$\pm 0$、つまり式の値が変わらないようにする。
$a_{n}=\displaystyle \frac{3^{n}-1+1-1}{3^{n}+1}$
$a_{n}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{3^{n}+1-2}{3^{n}+1}$
右辺をふたつの分数に分けて、
$a_{n}=\displaystyle \frac{3^{n}+1}{3^{n}+1}-\frac{2}{3^{n}+1}$
$a_{n}\displaystyle $$\displaystyle =1-\frac{2}{3^{n}+1}$式J
である。
解答ケ:1, コ:2, サ:3, シ:2
(4)
式Hより、$c_{n}=3^{n}$なので、
$c_{k}c_{k+1}=3^{k}3^{k+1}$
途中式
$=3^{2k+1}$
$=3\cdot(3^{2})^{k}$
である。
よって、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}c_{k}c_{k+1}=\sum_{k=1}^{n}3\cdot 9^{k}$
途中式
$=3\displaystyle \sum_{k=1}^{n}9^{k}$
$=3\displaystyle \cdot\frac{9(1-9^{n})}{1-9}$
$=\displaystyle \frac{27(1-9^{n})}{-8}$
となる。
解答ス:2, セ:7, ソ:8, タ:9
式①より、
$a_{n}a_{n+1}=a_{n}\displaystyle \cdot\frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}$
$a_{n}a_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2a_{n}^{2}+a_{n}}{a_{n}+2}$式K
となるけど、これを、問題文の
$a_{n}a_{n+1}=$チ$(a_{n}-a_{n+1})$$+$ツ式L
の右辺の形に変形するなんてムリ。
なので、式Lの方を変形してチツを求めよう。
式Lの赤い部分は、式①より
$a_{n}-a_{n+1}=a_{n}-\displaystyle \frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}$
$a_{n}-a_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a_{n}(a_{n}+2)}{a_{n}+2}-\frac{2a_{n}+1}{a_{n}+2}$
$a_{n}-a_{n+1}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{a_{n}^{2}-1}{a_{n}+2}$
となる。
これと式Kを式Lに代入して、
$\displaystyle \frac{2a_{n}^{2}+a_{n}}{a_{n}+2}=$チ$\displaystyle \cdot\frac{a_{n}^{2}-1}{a_{n}+2}+$ツ
両辺に$a_{n}+2$をかけて、
$2a_{n}^{2}+a_{n}=$チ$(a_{n}^{2}-1)+$ツ$(a_{n}+2)$
$2a_{n}^{2}+a_{n}$$=$チ$a_{n}^{2}+$ツ$a_{n}-$チ$+2$ツ
という式ができる。
この式の左辺と右辺は等しいので、$a_{n}^{2}$の係数,$a_{n}$の係数,定数項はそれぞれ等しい。
よって、
$2=$チ | |
$1=$ツ | |
$0=-$チ$+2$ツ |
である。
解答チ:2, ツ:1
以上より、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_{k}a_{k+1}=\sum_{k=1}^{n}\{2(a_{k}-a_{k+1})+1\}$
$=2\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(a_{k}-a_{k+1})+\sum_{k=1}^{n}1$
$=2$$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(a_{k}-a_{k+1})$$+n$式M
とかける。
ここで、式Mの赤い部分をΣを使わずに書くと、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(a_{k}-a_{k+1})=(a_{1}$$-a_{2}$$)+($$a_{2}$$-a_{3}$$)+($$a_{3}$$\cdots$
$\cdots$$-a_{n-1}$$)+($$a_{n-1}$$-a_{n}$$)+($$a_{n}$$-a_{n+1})$
となる。右辺の同じ色の部分はセットで消えるので、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(a_{k}-a_{k+1})=a_{1}-a_{n+1}$
とかける。
よって、式Mは
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_{k}a_{k+1}=2(a_{1}-a_{n+1})+n$
と表せる。
これに、式①の$a_{1}=\displaystyle \frac{1}{2}$と、式Jを
$a_{n+1}=1-\displaystyle \frac{2}{3^{n+1}+1}$
と変形したものを代入して、
$\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_{k}a_{k+1}=2\left\{\frac{1}{2}-\left(1-\frac{2}{3^{n+1}+1}\right)\right\}+n$
$=1-2+\displaystyle \frac{4}{3^{n+1}+1}+n$
$=n-1+\displaystyle \frac{4}{3^{n+1}+1}$
である。
解答テ:1, ト:4, ナ:3, ニ:1