旧課程 : 整数の性質 $n$進法の計算(小数)

例題

(1) $8$進法の$0.24_{(8)}$と$5$進法の$0.24_{(5)}$を$10$進法で表しなさい。
(2) $10$進法の$0.75$を$8$進法と$6$進法と$2$進法で表しなさい。また、$5$進法で表しなさい。

復習

$n$進法についてはちゃんと説明しておいた方がいいので、遠回りっぽいけど原理の話をする。

最初に、$10$進法の小数の意味を考えよう。

例えば$\displaystyle \frac{3}{4}$っていう数を考える。
$\displaystyle \frac{3}{4}$を$10$進法の小数にすると
$\displaystyle \frac{3}{4}=0.75$
だ。
右辺の$0.75$は、分解すると
$\displaystyle \frac{1}{10}$が$7$つ $\displaystyle \frac{1}{100}$つまり$\displaystyle \frac{1}{10^{2}}$が$5$つ だから、別の言い方をすれば、図Aのように
$\displaystyle \frac{1}{10}$のカットケーキを$7$つと、$\displaystyle \frac{1}{100}$のカットケーキを$5$つで、ホールケーキの$\displaystyle \frac{3}{4}$になる
ということだ。

図A
n進法の計算(小数) 解説図A

$10$進法の小数とは、こんな感じで
$\displaystyle \frac{1}{10^{1}}$,$\displaystyle \frac{1}{10^{2}}$,$\ldots$,$\displaystyle \frac{1}{10^{n}}$
の和で値を表す方法だ。
例えば$10$進法の$0.234$は、
$\displaystyle \frac{1}{10}$が$2$つ $\displaystyle \frac{1}{10^{2}}$が$3$つ $\displaystyle \frac{1}{10^{3}}$が$4$つ の和である。

$10$進法以外の小数も考え方は同じだ。
例えば、$8$進法の$0.234_{(8)}$は、
$\displaystyle \frac{1}{8}$が$2$つ $\displaystyle \frac{1}{8^{2}}$が$3$つ $\displaystyle \frac{1}{8^{3}}$が$4$つ の和である。


この話をもうちょっと考えよう。

$10$進法の$0.234$は、上に書いたとおり
$\displaystyle \frac{1}{10}$が$2$つ $\displaystyle \frac{1}{10^{2}}$が$3$つ $\displaystyle \frac{1}{10^{3}}$が$4$つ の和なので、
$0.234=2\displaystyle \times\frac{1}{10}+3\times\frac{1}{10^{2}}+4\times\frac{1}{10^{3}}$式A
と変形できるけど、$0.234$を分数にするのなら
$0.234=\displaystyle \frac{234}{1000}$
$0.234\displaystyle $$\displaystyle =\frac{234}{10^{3}}$式B
の方が自然だ。
まぁ、式Aの右辺を通分すると式Bになるので、2つの式は同じなんだけど。

$10$進法以外でも同様に、例えば
$0.234_{(8)}=2\displaystyle \times\frac{1}{8}+3\times\frac{1}{8^{2}}+4\times\frac{1}{8^{3}}$式C
とするより、
$0.234_{(8)}=\displaystyle \frac{234_{(8)}}{8^{3}}$式D
の方が自然だ。
注意するのは分子で、$10$進法の$234$ではなく、$8$進法の$234_{(8)}$である。
これは、式Cの右辺を通分してみると納得してもらえると思う。

(1)

上の復習を理解すれば、$n$進法の小数を$10$進法にするのは簡単だ。

復習より、
$0.24_{(8)}=\displaystyle \frac{24_{(8)}}{8^{2}}$
$0.24_{(8)}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\cdot 8+4}{8^{2}}$
$0.24_{(8)}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\cdot 2+1}{8\cdot 2}$
$0.24_{(8)}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{5}{16}$
$0.24_{(8)}$$=0.3125$
である。

解答$0.3125$

同様に、
$0.24_{(5)}=\displaystyle \frac{24_{(5)}}{5^{2}}$
$0.24_{(5)}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\cdot 5+4}{5^{2}}$
$0.24_{(5)}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{14}{25}$
$0.24_{(5)}$$=0.56$
である。

解答$0.56$

(2)

最初に原理通り計算する。その後で、楽な計算方法を考えよう。


$0.75_{(10)}$を$6$進法で表す。
言いかえると、
$ 0.75_{(10)}=a\displaystyle \times\frac{1}{6}+b\times\frac{1}{6^{2}}+c\times\frac{1}{6^{3}}+\cdots$式D
となるような整数$a$,$b$,$c$,$\ldots$
を求めて、
$0.abc\ldots_{(6)}$
とすれば、$6$進法で表せる。

ということで、まず式Dの$a$を求めよう。
$a$は$0.75_{(10)}$に含まれる$\displaystyle \frac{1}{6}$の個数なので、割り算をすればよい。
$\displaystyle \frac{0.75}{\frac{1}{6}}=0.75\times 6$式E
       $=4.5$
より、$0.75_{(10)}$は、図Bのように
$\displaystyle \frac{1}{6}$が4個分 $+$ $\displaystyle \frac{1}{6}$の$0.5$個分
である。

図B
n進法の計算(小数) 解説図B

なので、$a$は$4$だ。

同じようにして、$b$を求める。
$b$は、図Bの点線の部分に含まれる $\displaystyle \frac{1}{6^{2}}$の個数なので、また割り算だ。
点線の部分は$\displaystyle 0.5 \times \frac{1}{6}$なので、
$\displaystyle \frac{0.5\times\frac{1}{6}}{\frac{1}{6^{2}}}=\frac{0.5}{\frac{1}{6}}$
            $=0.5\times 6$式F
            $=3$
より、$b$は$3$だ。(図C)

図C
n進法の計算(小数) 解説図C

割り切れた(小数部分がない)ので、$c$以下は無い(つまり$0$)。

以上より、式Dは
$0.75_{(10)}=4\displaystyle \times\frac{1}{6}+3\times\frac{1}{6^{2}}$
と表せるので、
$0.75_{(10)}=0.43_{(6)}$
である。

解答$0.43_{(6)}$

アドバイス

原理どおり計算すると、上の解説のようになる。
だけど、共通テスト本番でこんな面倒なことはしたくない。
もっと楽な方法を考えよう。

上で$0.75_{(10)}$を$6$進法にした作業をまとめると、次のようになる。

n進法の計算(小数) 解説

上の計算より、$0.75_{(10)}$を$6$進数にしたものは、赤文字で示した積の整数部分を 小数第一位から順に並べた
$0.\textcolor{red}{43}_{(6)}$
になった。

このことから、$10$進数の小数部分を$n$進法にするには、

10進法の小数を$n$進法にする

小数部分を$n$倍する
積の整数部分を取り出す。小数部分は①にもどって計算を繰りかえす
という作業をし、取り出した整数を順に並べれば$n$進法の小数ができる

ことが分かる。

アドバイスの方法で、$0.75_{(10)}$を$2$進法にしよう。

n進法の計算(小数) 解説

より、
$0.75 = 0.11_{(2)}$
である。

解答$0.11_{(2)}$


$2$進法のときと同様の方法で$0.75_{(10)}$を$5$進法にすると

n進法の計算(小数) 解説

となり、何度やっても小数部分はなくならない。 よって、$5$進法では循環小数になって、
$$ \begin{align} 0.75&=0.\textcolor{red}{33333}\ldots_{(5)}\\ &=0.\dot{3}_{(5)} \end{align} $$ である。

解答$0.\dot{3}_{(5)}$