大学入学共通テスト 2017年(平成29年) 試行調査 数学ⅡB 第2問 解説
(1)
問題文中のグラフより、$y=S(x)$のグラフは$x$軸と
$(-1,0)$で交わる
$(2,0)$で接する
なので、方程式$S(x)=0$は
$x=0$の解をもつ
$x=2$の重解をもつ
ことが分かる。
このことから、$p$を実数として、$S(x)$は
$S(x)=p(x+1)(x-2)^{2}$式A
とかける。
また、$y=S(x)$は
$(0,4)$
を通るので、これを式Aに代入して、
$p(0+1)(0-2)^{2}=4$
より
$p=1$
である。
よって、$S(x)$の式は
$S(x)=(x+1)(x-2)^{2}$式A'
であることが分かる。
解答ア:1, イ:2, ウ:2
ここで、定積分の性質を思い出すと、
復習
$\displaystyle \int_{a}^{a}f(x)dx=0$
だった。
復習より、
$S(a)=\displaystyle \int_{a}^{a}f(t)dt=0$
である。
解答エ:0
問題文中のグラフより、$S(x)$が$0$なのは
$S(-1)$,$S(2)$
なんだけど、ここでは負の数の場合を問われているので、オカは
$-1$
である。
解答オ:-, カ:1
さらに、$S(x)$のグラフをもとに$f(x)$を考える。
まず、定積分と微分の関係を復習しよう。
復習
$\displaystyle \left[\int_{a}^{x}f(t)dt\right]'=f(x)$
復習より、
$S'(x)=f(x)$
といえる。
よって、
$y=S(x)$が極値をとる$x=0$,$2$のとき、$f(x)=0$
$y=S(x)$が増加している$x \lt 0$,$2 \lt x$のとき、$f(x) \gt 0$
$y=S(x)$が減少している$0 \lt x \lt 2$のとき、$f(x) \lt 0$
だ。
解答キ:0, ク:2, ケ:0, コ:0, サ:2
以上から、$y=f(x)$のグラフは、
$\left\{\begin{array}{l}
x \lt 0\text{のとき、}0 \lt y\\
x=0\text{のとき、}y=0\\
0 \lt x \lt 2\text{のとき、}y \lt 0\\
x=2\text{のとき、}y=0\\
2 \lt x\text{のとき、}0 \lt y
\end{array}\right.$
なので、あてはまるグラフの形は
①
である。
解答シ:1
アドバイス
ここでは、問題の流れのままに解説した。
もちろん、式A'を微分すれば$f(x)$の式ができるので、$f(x)$の式を求めてからグラフの特徴を考えることもできる。
(2)
以上から$y=S(x)$と$y=f(x)$の関係をまとめると、
$x=q$のとき$S(x)$が極値をとるなら、$f(q)=0$
$y=S(x)$が増加している区間では、$0 \lt f(x)$
$y=S(x)$が減少している区間では、$f(x) \lt 0$
である。
また、
$S(x)=\displaystyle \int_{0}^{x}f(t)dt$
なので、
$S(0)=0$
となる。
選択肢から、これに当てはまらないものを2つ選ぶ。
⓪~④を一つずつ確認しよう。
以下、
$y=S(x)$のグラフでは、
赤い点は、傾きが$0$である点
オレンジの部分は、$S(x)$が増加している$x$の範囲
青い部分は、$S(x)$が増加している$x$の範囲
$y=f(x)$のグラフでは、
赤い点は、$f(x)=0$である点
オレンジの部分は、$0 \lt f(x)$である$x$の範囲
青い部分は、$f(x) \lt 0$である$x$の範囲
を表している。
なので、両方のグラフで色分けと赤い点の$x$座標が違っていれば、矛盾したグラフだ。
2つのグラフで赤い点も色分けも同じなので、矛盾なし。
2つのグラフの赤い点も色分けも違うので、矛盾したグラフを1つ見つけた。
2つのグラフとも、全面オレンジで矛盾なし。
2つのグラフで赤い点も色分けも同じなので、矛盾なし。
2つのグラフで、赤い点は同じだけど、色分けが違うから、矛盾したグラフの2つ目発見。
以上より、矛盾しているのは
①④
である。
解答ス:1,4