大学入学共通テスト 2017年(平成29年) 試行調査 数学ⅠA 第5問 解説
(1)
まずは、方盤の作り方を理解するための導入問題だ。
$n=8$で、図3の方盤のAのマスは$6$行目の$3$列目。
よって、
$(6\times 3)\div 8=18\div 8$
$(6\times 3)\div 8$$=3\ldots 2$
より、当てはまる数は
$2$
である。
解答ア:2
$5$行目に並ぶ数は、左から
$(5\cdot 1)\div 8=0\ldots$$5$
$(5\cdot 2)\div 8=1\ldots$$2$
$(5\cdot 3)\div 8=1\ldots$$7$
$(5\cdot 4)\div 8=2\ldots$$4$
$(5\cdot 5)\div 8=3\ldots$$1$
$(5\cdot 6)\div 8=3\ldots$$6$
$(5\cdot 7)\div 8=4\ldots$$3$
なので、$1$が書かれているのは
$5$
列目。
解答イ:5
(2)
このタイプの問題を解き慣れていると、
「きっと答えは③の素数だ」
って見当がつく。
けれど、見当がつかなかった場合は、あれこれ考えるよりもやってみた方が早い。
選択肢を見ると、④と⑤は見た瞬間に誤りだと分かる。
$n=4$のときの方盤である図2を見ると、$0$がある。
$4$は素数じゃないのに方盤に$0$があるから、④は不適。
$n-1$の$3$と$n$の$4$は互いに素なのに方盤に$0$があるから、⑤は不適。
なので④と⑤は除外して、⓪~③の場合をやってみる。
まず、⓪の場合。
$3$以上の奇数は小さい方から
$3$,$5$,$7$,$ 9\ldots$
だけど、$3$,$5$,$7$は素数だからパスして、$9$でやってみよう。
このとき、$1\leqq k\leqq 8$,$1\leqq\ell\leqq 8$だけど、
$\left\{\begin{array}{l}
k=3\\
\ell=3
\end{array}\right.$
のとき、$k\ell=9$なのでマスの値は$0$だ。
方盤に$0$が現れるので、不適。
①の場合。
$4$で割って$3$余る$3$以上の整数は、小さい方から
$3$,$7$,$11$,$ 15\ldots$
だけど、$3$,$7$,$11$は素数だからパスして、$15$でやってみよう。
このとき、$1\leqq k\leqq 14$,$1\leqq\ell\leqq 14$だけど、
$\left\{\begin{array}{l}
k=3\\
\ell=5
\end{array}\right.$
のとき、$k\ell=15$なのでマスの値は$0$だ。
方盤に$0$が現れるので、不適。
②の場合。
⓪でやってみた$n=9$は、$2$の倍数でも$5$の倍数でもない整数だけど、方盤に$0$が現れるので不適。
以上より、③以外の選択肢は全部、命題
「その選択肢であれば、方盤に$0$が現れない」
の反例が見つかった。
なので、③以外は、方盤に$0$が現れないための十分条件ではない。
必要十分条件とは、必要条件かつ十分条件だから、十分条件でなければ必要十分条件ではない。
よって、選択肢に必要十分条件が含まれているなら、
③
しかない。
解答ウ:3
別解
この問題のように、選択肢の中から答えを見つけるだけなら、上の方法がシンプルでお勧め。
だけど、これだと
③以外は必要十分条件ではない
であることは示していても、
③が必要十分条件である
ことは示していない。
なので、記述問題の場合は思いっきり減点される。
記述問題では、③が必要十分条件であることを示す必要がある。
示し方は何通りもあるけれど、マークシート問題としては不要でもあるし、一通りだけ載せておく。
方盤に$0$がない(ある) $\Rightarrow\ n$は素数である(ない)
よりも
$n$は素数である(ない) $\Rightarrow$ 方盤に$0$がない(ある)
の方が解説が簡単なので、こっちを説明する。
$n$が素数の場合
$n$の正の約数は
$1$と$n$
のふたつだけしかない。
また、
$1\leqq k\leqq n-1$
$1\leqq\ell\leqq n-1$
なので、$k$や$\ell$が$n$になることはない。
なので、$ k\ell$が$n$の倍数になることはないから、$ k\ell$が$n$で割り切れることはない。
よって、
$n$が素数であれば、方盤に$0$は現れない
といえる。
つまり、$n$が素数であることは、方盤に$0$が現れないことの十分条件である。
$n$が合成数($1$でも素数でもない自然数)の場合
$n$が合成数なら、$1$と$n$以外の正の約数$k$が存在する。
$k$は$1$より大きく、$n$の約数なので$n$より小さい数だから、
$2\leqq k\leqq n-1$
とかける。
$k$は$n$の約数なので、$n$は$k$で割り切れる。
これを、
$\displaystyle \ell=\frac{n}{k}$
と表すと、$\ell$は整数で、$n$を$1$より大きく$n$より小さい数で割った商だから、
$2\leqq\ell\leqq n-1$
である。
以上より、$n$が合成数なら、$1\leqq k\leqq n-1$,$1\leqq\ell\leqq n-1$の範囲で
$k\ell=n$
となる$k$,$\ell$が存在する。
つまり、方盤中に必ず$ k\ell$が$n$で割り切れるマスが存在する。
したがって、
$n$が合成数なら、方盤に$0$が現れる
といえる。
この対偶は
$\overline{\text{方盤に}0\text{が現れる}}\Rightarrow\overline{n\text{が合成数である}}$
だけど、この問題では$3\leqq n$なので、
$\overline{n\text{が合成数である}}=n$が素数である
といえるから、上の対偶は
方盤に$0$が現れない $\Rightarrow\ n$は素数である
とかける。
よって、$n$が素数であることは、方盤に$0$が現れないことの必要条件である。
以上より、$n$が素数であることは、方盤に$0$が現れないことの必要条件かつ十分条件なので、
方盤に$0$が現れないための必要十分条件は
③
である。
解答ウ:3
(3)
(i)
方盤の$27$行目の$\ell$列目は値が$1$なので、
$27\ell\div 56=$商$\ldots 1$
より
$ 27\ell=56\times$商$+1$
$ 27\ell-56\times$商$=1$
とかける。
この商を整数$m$とおくと、
$27\ell-56m=1$式A
とかけるから、求める$\ell$は式Aの整数解のうち、
$1\leqq\ell\leqq 55$
を満たすものである。
解答エ:0
(ii)
式Aの一次不定方程式を解く。
まず、解をひとつ見つけよう。
$\ell$と$m$の係数の$27$と$56$でユークリッドの互除法を行うと、
$56\div 27=2\ldots 2$式B1
$27\div 2=13\ldots 1$式B2
これを「=余り」の形に変形して、
$56-27\cdot 2=2$式B1'
$27-2\cdot 13=1$式B2'
式B2'に式B1'を代入して、
$27-(56-27\cdot 2)\cdot 13=1$
より
$27-56\cdot 13+27\cdot 2\cdot 13=1$
$27(1+2\cdot 13)-56\cdot 13=1$
$27\cdot 27-56\cdot 13=1$式C
ができる。
式Cより、解のひとつは
$( \ell, m) = (27,13)$
だ。
式Aから式Cを辺々引くと、
$ 27\ell$ | $-56m$ | $=$ | $1$ | |
$-)$ | $27\cdot 27$ | $-56\cdot 13$ | $=$ | $1$ |
$27(\ell-27)$ | $-56(m-13)$ | $=$ | $0$ |
となるから、
$27(\ell-27)=56(m-13)$式D
とかける。
ここで、$27$と$56$は互いに素なので、式Dが成り立つためには、$j$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
\ell-27=56j\\
m-13=27j
\end{array}\right.$
でなければならない。
以上より、一次不定方程式Aの解は、$j$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
\ell=56j+27\\
m=27j+13
\end{array}\right.$式E
である。
いま求めているのは、Aの整数解のうち
$1\leqq\ell\leqq 55$
であるもの。
なので、この$\ell$に式Eを代入すると
$1\leqq 56j+27\leqq 55$
より
$-26\leqq 56j\leqq 28$
$-\displaystyle \frac{26}{56}\leqq j\leqq\frac{28}{56}$
と表せるから、これを満たす整数$j$は
$j=0$
しかない。
これを式Eに代入して、求める$\ell$、つまり列は
$\ell=56\cdot 0+27$
$\ell$$=27$
である。
解答オ:2, カ:7
(4)
(i)
$24$行目の左から$\ell$列目が$0$であるのは、$24\ell$が$56$の倍数のとき。
このとき、$j$を整数として
$24\ell=56j$式F
と表せる。
ここで、$24$と$56$の最大公約数を考えると
$2$ | $)$ | $24$ | $56$ |
$2$ | $)$ | $12$ | $28$ |
$2$ | $)$ | $6$ | $14$ |
$3$ | $7$ |
より、最大公約数は
$2^{3}$
である。
なので、式Fは、両辺を最大公約数の$2^{3}$で割って
$3\ell=7j$式F'
と変形できる。
ここで、$3$と$7$は互いに素なので、式F'が成り立つためには、
$\ell$は$7$の倍数
でなければならない。
解答キ:7
いま
$1\leqq\ell\leqq 55$
なので、この中に$7$の倍数が何個あるか数えれば、それが$0$の個数だ。
よって、$0$の個数は
$\displaystyle \frac{55}{7}=7.8\ldots$
より
$7$個
である。
解答ク:7
(ii)
(i)の方法を振り返ってみると、
$0$の個数は、$55$を$7$で割った整数部分
その$7$は、$24$と$56$の最大公約数で$56$を割った商
だった。
ということは、$k$行目の$0$の個数は、
$k$と$56$の最大公約数を求めて、
その最大公約数で$56$を割った商を求めて、
その商で$55$を割った値の整数部分
と考えられる。
$k$と$56$の最大公約数を$A$として上の方法を式にすると、$k$行目の$0$の個数は
$\displaystyle \frac{55}{\frac{56}{A}}=\frac{55A}{56}$の整数部分式G
とかける。
今は$0$の個数が一番多い行を探している。
これは、式Gより
$\displaystyle \frac{55A}{56}$の整数部分
が一番大きな数になる行を探している
と言いかえられる。
さらに、
$\displaystyle \frac{55}{56}$は定数なので、
$A$が大きいほど$\displaystyle \frac{55A}{56}$も大きい。
といえる。
以上より、$k$と$56$の最大公約数が最も大きい$k$行目が、$0$の個数が一番多い行だ。
$56$を素因数分解すると
$56=2^{3}\cdot 7$
である。
いま、$k$の範囲は
$1\leqq k\leqq 55$式H
だから、最大公約数が$56$になるのは無理。
なので、$k$と$56$の最大公約数$A$が最も大きくなるのは
$A=2^{2}\cdot 7$
のとき。
このとき、$k$は$A$の倍数だから、$j$を整数として
$k=2^{2}\cdot 7j$
$k$$=28j$
とかける。
この$k$が式Hの範囲に入るのは、$j=1$のときで、
$k=28$
である。
解答ケ:2, コ:8
(5)
面倒だけど、選択肢をひとつずつ検討しよう。
⓪
式Gより、$k$行目に現れる$0$の個数は、$k$と$56$の最大公約数を$A$として、
$\displaystyle \frac{55A}{56}$の整数部分
だった。
$5$と$56$の最大公約数は
$1$
なので、$0$の個数は、
$\displaystyle \frac{55\cdot 1}{56} \lt 1$
より、$0$個。
よって、⓪は誤り。
また、このことから、
$k$と$56$が互いに素であれば、$k$行目には$0$が現れないルールA
ことが分かる。
①
⓪と同様に考える。
$6$と$56$の最大公約数は
$2$
なので、$0$の個数は
$1 \lt \displaystyle \frac{55\cdot 2}{56} \lt 2$
より、$1$個。
よって、①は正しい。
②
(3)では、$27$行目の何列目が$1$になるかは
$27\ell-56m=1$式A
の整数解から求めた。
同様に考えて、$k$行目の何列目が$1$になるかは
$k\ell-56m=1$式I
の整数解から求められる。
いまは$k=9$のときを考えているので、式Iの$k$に$9$を代入した
$9\ell-56m=1$
を解いてみて、
$1 \leqq \ell \leqq 55$
である整数解$\ell$があれば、$9$行目に$1$がある。
でも、そんな面倒なことはしたくない。
他の方法を考えよう。
ここで、一次不定方程式が解を持つ条件の復習をしておくと、
復習
$ax+by=1$が$x$,$y$の整数解を持つ
$a$と$b$が互いに素
だった。
復習より、$k=9$のとき、
$9=3^{2}$
と
$56=2^{3}\cdot 7$
は互いに素なので、式Iは$\ell$の整数解をもつ。
あとは、この$\ell$の整数解に
$1\leqq\ell\leqq 55$
であるものがあれば、②は正しいことになる。
なので、それを確認しよう。
(3)での作業と似たようなことをする。
式Iが$\ell$の整数解をもつとき、つまり$k$と$56$が互いに素であるとき、その解のひとつを
$(\ell,m)=(a,b)$
として、式Iに代入すると
$ka-56b=1$
ができる。
これを式Iから辺々ひくと、
$ k\ell$ | $-56m$ | $=$ | $1$ | |
$-)$ | $ka$ | $-56b$ | $=$ | $1$ |
$27(\ell-a)$ | $-56(m-b)$ | $=$ | $0$ |
となるから、
$k(\ell-a)=56(m-b)$式J
とかける。
ここで、$k$と$56$は互いに素なので、式Jが成り立つためには、$j$を整数として
$\left\{\begin{array}{l}
\ell-a=56j\\
m-b=27j
\end{array}\right.$
でなければならない。
以上より、一次不定方程式Iにおける$\ell$の解は、$j$を整数として
$\ell=56j+a$式K
となる。
つまり、$\ell$は$55$おきの整数だ。
なので、
もし$\ell=0$が解のひとつなら、$\ell$の解は
$\ell=0$,$56$,$\ldots$
となって、$1\leqq\ell\leqq 55$の解は存在しない
もし$\ell=0$が解でなければ、
$1\leqq\ell\leqq 55$の解が存在する
ことが分かる。
$\ell=0$が解のひとつなら、式Iより
$k\cdot 0-56m=1$
$56m=-1$
$m=-\displaystyle \frac{1}{56}$
であるはず。
ところが、(3)(i)で決めたように $m$は整数なので、この式は成り立たない。
つまり、$\ell=0$は解ではない。
よって、式Iは、$1\leqq\ell\leqq 55$を満たす整数解$\ell$をもつ。
以上より、$9$行目には値が$1$であるマスが存在する。
なので、②は正しい。
ここで先の選択肢に行く前に、ちょっとまとめておこう。
上の解説では式Iから式Kを作った。
式Iの右辺の$1$を$R$に(ただし、$R$は$1\leqq R\leqq 55$の整数)書きかえて、
$k\ell-56m=R$式I'
としても、同様の計算が成り立つ。。
このことから、
$n=56$の方盤において、$k$と$56$が互いに素であれば、$k$行目に値が$R$($1\leqq R\leqq 55$)であるマスが存在するルールB
ことが分かる。
③
$k=10$のとき、
$10=2\cdot 5$
と
$56=2^{3}\cdot 7$
は互いに素ではない。
なので、ルールBより、$10$行目には値が$1$であるマスは存在しない。
よって、③は誤り。
④
$k=15$のとき、
$15=3\cdot 5$
と
$56=2^{3}\cdot 7$
は互いに素である。
なので、ルールBより、$15$行目には値が$7$であるマスが存在する。
よって、④は正しい。
⑤
$21$と$56$は互いに素ではないので、$21$行目には値が$7$であるマスは存在しない、と言いたいけれど、ちょっと考えよう。
⑤と②③④は違うところがあって、$k=21$,$R=7$を式I'に代入した場合、
$21\ell-56m=7$式K
となり、両辺が同じ数(つまり$7$)で割りきれる。
なので、単純に$21$と$56$が互いに素かどうかだけでは判断ができないのだ。
式Kの両辺を$7$で割ると
$3\ell-8m=1$
となるけど、$3$と$8$は互いに素なので、この不定方程式は$\ell$の整数解をもつ。
てか、見るからに解のひとつは
$(\ell,m)=(3,1)$
だ。
なので、$21$行目・$3$列目のマスの値は$7$だ。
よって、⑤は正しい。
以上より、選択肢のうち正しいものは
①②④⑤
である。
解答サ:1,2,4,5
別解
合同式の考え方を使うと、②④はもっと簡単に解ける。
けれど、高校によっては授業で扱わないし、指導要領からも外れるので、必要ないと思う人は以下の解説は読まなくても問題ない。
また、文章が長くなるけど、合同式の表現は避けて解説する。
合同式の性質の必要な部分を抜き出すと、
ポイント
整数$\ell_{a}$,$\ell_{b}$,$k$と、自然数$n$について、
$\ell_{a}$を$n$で割った余りを$a$
$\ell_{b}$を$n$で割った余りを$b$
$k\ell_{a}$を$n$で割った余りを$A$
$k\ell_{b}$を$n$で割った余りを$B$
とする。
このとき、
$a=b$ならば$A=B$
$k$と$n$が互いに素である場合、
$A=B$ならば$a=b$
である。
このことから、$k$と$n$が互いに素である場合
$a=b \Leftrightarrow A=B$
なので、
$\overline{a=b}\ \Leftrightarrow\ \overline{A=B}$
つまり
$a\neq b \Leftrightarrow\ A\neq B$
である。
これを この問題にあてはめると、
$1$以上$55$以下の整数$\ell_{a}$,$\ell_{b}$,$k$について、$k$と$56$が互いに素であるとき、
$a\neq b \Leftrightarrow\ A\neq B$ルールC
といえる。
$n=56$の方盤の$1$行目を考えると、左から、
$1$列目のマスは$k\ell=1$なので、$56$で割った余りは$1$
$2$列目のマスは$k\ell=2$なので、$56$で割った余りは$2$
$3$列目のマスは$k\ell=3$なので、$56$で割った余りは$3$
$\vdots$
$54$列目のマスは$k\ell=54$なので、$56$で割った余りは$54$
$55$列目のマスは$k\ell=55$なので、$56$で割った余りは$55$
となっている。
つまり、$1$行目に現れる数字(つまり$ k\ell$を$56$で割った余り)は$1$から$55$までの整数で、すべてのマスの数字は等しくない。
さらに、$k$行目を考えると、
$1$列目は、$k\ell=k$
$2$列目は、$k\ell=2k$
$3$列目は、$k\ell=3k$
$\vdots$
$54$列目は、$k\ell=54k$
$55$列目は、$k\ell=55k$
だから、すべてのマスで $ k\ell$は$1$列目の$k$倍になっている。
よって、ルールCより、$k$と$56$が互いに素であれば、$k$行目に現れるすべてのマスの数字は等しくない。
さらに、マスに現れることができる数字は$ k\ell$を$56$で割った余りだけど、ルールAより、$0$は含まれないから、
$1$以上$55$以下の整数
である。
以上より、
$k$と$56$が互いに素であるとき、$k$行目には$1$から$55$までのすべての整数が$1$回ずつ現れるルールD
ことが分かる。
ルールDより、$9$と$56$は互いに素なので、$9$行目には$1$から$55$までのすべての整数が現れる。
なので、②は正しい。
同様に、$15$と$56$は互いに素なので、$15$行目には$1$から$55$までのすべての整数が現れる。
なので、④は正しい。
以上、ざっと説明した。
このサイトの目的は基本事項の整理なので、合同式については今のところこれ以上扱う予定はない。
教科書や参考書によっては解説が載っていたりするので、もっと詳しく知りたい人はそちらで学習してほしい。