大学入学共通テスト 2017年(平成29年) 試行調査 数学ⅡB 第1問 [4] 解説
(1)
問題の式を
とする。
アドバイス
ポイントは、解答Aと解答Bの少なくとも一方は間違いなんだけれど、なぜ間違いか、ってことだ。
問題文中で花子さんが言っているように、どちらの解答も計算は間違えていない。
間違い部分を探すために、まず相加平均と相乗平均の関係の復習をしよう。
復習
正の実数
とかける。
(等号成立は
復習より、間違い部分は、問題文に書かれていない
等号成立は
って部分じゃないかと予想ができる。
その方向で考えてみよう。
まず、解答Aから。
式Aが
のとき。
式Bが成り立つのは ①,②の等号が成立するときで、
の2つの式が両方とも成り立つとき。
式Cの2つの式の分母を払うと
となるので、この両方の式を同時に満たす
なので、式Aの値が、解答Aの最小値である
になることはない。
おぉ。いきなり間違いか所を見つけてしまった。
なので、シは、上の説明と同じ内容の
②
が当てはまる。
解答シ:2
別解
上の考え方をしない場合、選択肢をひとつずつ検討することになる。
⓪
になる。
このとき、解答Bの1行目より、
式A
だけど、この式の赤い部分は
式A
といえる。
これは、問題文中の太郎さんの発言の
「
と矛盾する。
これに気づけば、計算しなくても⓪は誤りであることが分かる。
別解
気づかなければ、計算だ。
この
の両辺に
より
である。
よって、⓪は誤り。
①
この両方を満たす
なので、計算するまでもなく、誤り。
②
よって、この両方の式が成り立つのは、
の両方が成り立つとき。
式Cの2つの式の分母を払うと
となるので、この両方の式を同時に満たす
よって、②は正しい。
③
②での計算より、③は誤り。
以上より、シに当てはまるのは
②
である。
解答シ:2
(2)
(1)より、解答Aは①と②が同時に成り立たないので、
式A
にはならない。
一方、解答Bは
を満たす
式A
は存在する
よって、式Aの最小値は、解答Bの
である。
解答:ス:9