大学入学共通テスト 2017年(平成29年) 試行調査 数学ⅠA 第3問 解説

(1)~(3)

問題文も長いし、まず情報を図で整理しておこう。

すべての道路に渋滞中の表示がないとき、

A地点から ①の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{1092}{1183}=\frac{12}{13}$
④の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{91}{1183}=\frac{1}{13}$

C地点から ②の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{882}{1008}=\frac{7}{8}$
⑦の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{126}{1008}=\frac{1}{8}$

図A
大学入学共通テスト2017年試行調査 数学ⅠA第3問 解説図A

E地点から ⑤の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{248}{496}=\frac{1}{2}$
⑥の道路を選ぶ確率は、
$\displaystyle \frac{248}{496}=\frac{1}{2}$

である。

これを、問題文中の図1に書き込むと、図Aができる。

図Aを見ながら、問題を解こう。

(1)

図Aより、①の道路を選択する確率は
$\displaystyle \frac{12}{13}$
である。

解答ア:1, イ:2, ウ:1, エ:3

(2)

D地点を通るのは、図Aの青いルートを通るときと、緑のルートを通るとき。

青いルートを通る確率は、
$\displaystyle \frac{12}{13}\cdot\frac{7}{8}$
緑のルートを通る確率は、
$\displaystyle \frac{1}{13}\cdot\frac{1}{2}$式A
である。

なので、求める確率は、この二つをたして
$\displaystyle \frac{12}{13}\cdot\frac{7}{8}+\frac{1}{13}\cdot\frac{1}{2}$
$=\displaystyle \frac{3\cdot 7}{13\cdot 2}+\frac{1}{13\cdot 2}$
$=\displaystyle \frac{22}{13\cdot 2}$式B
$=\displaystyle \frac{11}{13}$
となる。

解答オ:1, カ:1, キ:1, ク:3

(3)

特に書いてないけど、条件付き確率の問題。
なので、求める確率は、
$\displaystyle \frac{\text{D地点とE地点の両方を通る確率}}{\text{D地点を通る確率}}$
とかける。

D地点とE地点の両方を通る確率は、図Aの緑のルートを通る確率で、式Aですでに計算済み。
また、D地点を通る確率は、式Bですでに計算済み。

なので、求める確率は
$\displaystyle \frac{\text{式A}}{\text{式B}}$
より、
$\displaystyle \frac{\frac{1}{13}\cdot\frac{1}{2}}{\frac{22}{13\cdot 2}}=\frac{1}{22}$
となる。

解答ケ:1, コ:2, サ:2

(4)

①の道路に渋滞中の表示がある場合、運転手が①の道路を選択する確率は
$\displaystyle \frac{12}{13}\cdot\frac{2}{3}=\frac{4}{13} \cdot \frac{2}{1}$
$\displaystyle \frac{12}{13}\cdot\frac{2}{3}$$\displaystyle =\frac{8}{13}$
になる。
その結果、④の道路を選択する確率は
$1-\displaystyle \frac{8}{13}=\frac{5}{13}$
となる。

よって、図Aは図Bのように書きなおせる。

図B
大学入学共通テスト2017年試行調査 数学ⅠA第3問 解説図B

このとき、青いルートを通る確率は、
$\displaystyle \frac{8}{13}\cdot\frac{7}{8}$
緑のルートを通る確率は、
$\displaystyle \frac{5}{13}\cdot\frac{1}{2}$
なので、求める確率は、この二つをたして
$\displaystyle \frac{8}{13}\cdot\frac{7}{8}+\frac{5}{13}\cdot\frac{1}{2}$
$=\displaystyle \frac{2\cdot 7}{13\cdot 2}+\frac{5}{13\cdot 2}$
$=\displaystyle \frac{19}{26}$
である。

解答シ:1, ス:9, セ:2, ソ:6

(5)

ここからは、渋滞中の表示を使って車の流れをコントロールする問題だ。

渋滞中の表示がない場合、それぞれの道路を選択する確率は図Aの通り。
なので、全$1560$台の車のうち①を通るのは
$1560\displaystyle \times\frac{12}{13}=1440$台
である。

解答タ:1, チ:4, ツ:4, テ:0

また、①だけに渋滞中の表示があるとき、それぞれの道路を選択する確率は図Bの通り。
なので、全$1560$台のうち①を通るのは
$1560\displaystyle \times\frac{8}{13}=960$台
である。

解答ト:9, ナ:6, ニ:0

このとき、④を通る車の数は
$1560-960=600$台
となる。

(6)

ちょっとややこしくなってきたので、一旦整理しよう。

①を通る車は必ず点Cを通るし、④を通る車は必ず点Eを通る。
なので、(5)より、点Cと点Eを通る台数は
点C:$960$台
点E:$600$台
である。

渋滞中の表示がない場合、点Cを通る車の$\displaystyle \frac{7}{8}$は②を、$\displaystyle \frac{1}{8}$は⑦を通るから、それぞれの道路を通る台数は
② $960\displaystyle \times\frac{7}{8}=840$台
⑦ $960\displaystyle \times\frac{1}{8}=120$台
となる。

また、⑤と⑥も同様にして、
⑤ $600\displaystyle \times\frac{1}{2}=300$台
⑥ $600\displaystyle \times\frac{1}{2}=300$台
となる。

なので、③を通る台数は、②と⑤をたして、
$840+300=1140$
である。

図C
大学入学共通テスト2017年試行調査 数学ⅠA第3問 解説図C

以上を図に書き込むと、図Cができる。
オレンジは渋滞中の表示が出ている道路だ。
また、赤文字は確定している台数、青文字は渋滞中の表示を使ってこれから変化させる台数である。

このとき、③では車の数が$1000$台を超えている。
これを何とかしようというわけだ。


③の台数を減らすためには、②または⑤の台数を減らすしかない。

けれど、⑤だけに渋滞中の表示を出した場合、
       ⑤を選択する運転手は$\displaystyle \frac{2}{3}$に
                 ↓
       ⑤を通る台数が$\displaystyle \frac{2}{3}$に
なるけど、その結果、$300$台が$200$台になって$100$台しか減らない。

このとき、③の台数も$100$台しか減らないから$1000$台を超えてしまう。

なので、③を$1000$台以下にするためには、②には必ず渋滞中の表示を出さないといけない。
よって、選択肢の⓪,①は不適。


図D
大学入学共通テスト2017年試行調査 数学ⅠA第3問 解説図D

②だけに渋滞中の表示を出した場合、図Dのようになる。

さっき考えたように、⑤と⑥の片方に渋滞中の表示を出した場合、表示を出した方の道路は$100$台減り、出さなかった方は$100$台増える。
また、③は$1000$台まで$100$台以上余裕がある。
なので、⑥に渋滞中の表示を出して⑤を$100$台増やしても、③は$1000$台を超えない。
よって、①②③を通過する台数の合計を増やすために、⑥には渋滞中の表示を出すべきである。


以上より、選択肢のうちで適切なものは

である。

解答ヌ:3

別解

以上、頭を使って解いた。
けれど、入試本番では緊張したりして思わぬミスをすることもあるし、頭を使うよりも手を使って解いた方がいい場合も多い。
この問題を手で解くと、次のようになる。

選択肢を見ると、違いは
②と⑦のどちらに渋滞中の表示を出すか ⑤と⑥のどちらに渋滞中の表示を出すか の2点だ。

表で表すと

表E
②と⑦のどちらに渋滞中の表示を出すか
②に出す⑦に出す
⑤と⑥のどちらに渋滞中の表示を出すか⑤に出す選択肢選択肢
⑥に出す選択肢選択肢

とかける。

これを使って、台数を考える。


②と⑦のどちらに渋滞中の表示を出すかについて ②に渋滞中の表示を出した場合、②の台数は図Cの$\displaystyle \frac{2}{3}$になって、
$840\displaystyle \times\frac{2}{3}=560$台
になる。
⑦に渋滞中の表示を出した場合、⑦の台数は図Cの$\displaystyle \frac{2}{3}$になって
$120\displaystyle \times\frac{2}{3}=80$台
になるから、C地点を通る台数の$960$台から引いて、②を通る台数は
$960-80=880\text{台}$
となる。

⑤と⑥のどちらに渋滞中の表示を出すかについて ⑤に渋滞中の表示を出した場合、⑤の台数は図Cの$\displaystyle \frac{2}{3}$になって、
$300\displaystyle \times\frac{2}{3}=200$台
になる。
⑥に渋滞中の表示を出した場合、⑥の台数は図Cの$\displaystyle \frac{2}{3}$になって
$300\displaystyle \times\frac{2}{3}=200$台
になるから、⑤の台数は
$600-200=400$台
となる。

以上を表にまとめると、表Fができる。

表F
②と⑦のどちらに渋滞中の表示を出すか
②に出す⑦に出す
$560$$880$
⑤と⑥のどちらに渋滞中の表示を出すか⑤に出す$200$選択肢②$760$選択肢⓪$1080$
⑥に出す$400$選択肢③$960$選択肢①$1280$

表Fの青いマスは②を通る車の台数、緑のマスは⑤を通る車の台数だ。
②の台数と⑤の台数をたしたものが③の台数なので、③の台数は表Fの黄色いマスのようになる。


表Fより、
③の台数は$1000$台を超えないようにしたいので、選択肢の⓪,①は不適。 ③の台数は多い方がいいので、選択肢②は不適。

よって、適切な選択肢は

である。

解答ヌ:3