大学入試センター試験 2019年(平成31年) 本試 数学ⅠA 第2問 [2] 解説
(1)
まず、箱ひげ図の復習をしよう。
復習
範囲は、最大値
四分位範囲は、第3四分位数
だった。
それから、今回のデータは通し日なので、整数の値だ。
だから、例えば問題文中の図1の2012年の最大値は130の目盛線の上だけど、これはぴったり
「もしかしたら
2013年
2013年の箱ひげ図を見ると、
最小値は
図2の6つのヒストグラムのうち、
解答ソ:3
別解
2013年の箱ひげ図を見ると、
最大値は
図2の6つのヒストグラムのうち、
解答ソ:3
2017年
2017年の箱ひげ図を見ると、
最小値は
図2の6つのヒストグラムのうち、この条件に当てはまるのは④だけなので、これが正解である。
解答タ:4
(2)
選択肢の⓪~⑤の正誤は、箱ひげ図から判断できる。
ひとつずつ確認してゆこう。
選択肢の⑥,⑦の正誤は、散布図を見ないと分からない。問題文には、散布図中の線の傾きとか切片とか見慣れないことを書いてあるけど、たいしたことはしてないので動揺せずに確認しよう。
⑥ 問題文にあるとおり、散布図の中の実線は原点を通る傾き1の直線だ。なので、直線の式は
だけど、グラフの縦軸はツバメの初見日、横軸はモンシロチョウの初見日なので、上の式は
(ツバメの初見日)
とかける。
つまり、これはモンシロチョウの初見日とツバメの初見日が同じ日である線だ。
この直線上には点が少なくとも4個ある。
(「少なくとも」というのは、点が重なっている可能性があるため。)
なので、⑥は正しい。 ⑦ ⑥と同じように考えると、散布図の中の点線は
(ツバメの初見日)
(ツバメの初見日)
の線なので、この2つの点線の間はモンシロチョウの初見日とツバメの初見日の差が
散布図を見ると、2つの点線にはさまれた部分の外側にも点がある。
なので、⑦は誤り。
以上より、誤っているのは④と⑦である。
解答チ:4, ツ:7 (順不同)
(3)テ
(3)は、知っていれば一瞬で解ける問題ばかりだ。
テの、偏差の平均値は必ず
解答テ:0
と、知っていればこれだけで終わってしまうんだけど、皆がこれを知ってるわけじゃない。てか、むしろ知らない人の方が多いかも知れない。
なので、ちょっと長くなるけど説明をしておく。
理解しなくても憶えればいいやっていう人は「偏差の平均値は必ず
復習
突然だけど、データの平均値とは何かを考えよう。
生徒 | A君 | B君 | C君 |
---|---|---|---|
得点 |
例えば表Aのようなテストの得点のデータがあるとする。
得点の平均値は
より、
この計算を言いかえると、たくさん点を取った人が、あまり点を取れなかった人に点を分けてあげて、全員同じ得点にしたときの点数を求める作業といえる。
これを視覚的に表すと、図Bのようになる。
A君・C君の上の部分を切り取ってB君の上に載せ、3人が同じ得点になるようにすると
次に、偏差とは何かを復習しよう。
偏差とはそれぞれのデータと平均値との差なので、図Cの赤い部分にあたる。
A君の偏差は
B君の偏差は
C君の偏差は
だ。
平均値より上の偏差は正の値で、平均値より下の偏差は負の値になる。
ここで、図Bと図Cを見比べると、平均点より上の偏差(図Dの紫の部分)の合計と、平均点より下の偏差(図Dの青い部分)の合計は、必ず等しくなる。
このことから、偏差の和は必ず
和が
(3)トナ
次に、問題文中の
は標準化の式である。
標準化とは、データを
平均値が
なので、変換後のデータ
平均値は
解答ト:0, ナ:1
と、トナも、標準化の式を知っていればこれだけで終わってしまう。
でも、せっかくだから、標準化について知らないときの解法も載せておいた。
憶えればいいやっていう人は、下の別解も読み飛ばしてください。
別解
問題文中の式
を考えるんだけど、まず思い出してもらいたいのは、次の性質だ。
重要事項
あるデータ
平均値が
データのすべてに
として
このとき、
また、データのすべてを
として
このとき、
まず、
の右辺の分子
の部分を考えよう。
とおくと、
平均値
詳しく
重要事項より、
としたときの
よって、
としたときの
式Bを式Aに代入すると、
なので、データ
平均値
詳しく
重要事項より、
としたときの
よって、
としたときの
また、標準偏差
だけど、式Dより
である。
以上より、データ
解答ト:0, ナ:1
(3)ニ
以上より、
①平均値を
②標準偏差が
したものである。
なので、問題文中の図4(
この作業を行ってできる散布図を、問題文中 図5の⓪~③から選ぶのが、最後の問題だ。
図Eを見て分かるとおり、
なので、問題文中の図5の①や③のように、上下がひっくり返ったり左右がひっくり返ったりすることはない。
答えは⓪,②のどちらかだ。
⓪と②の違いは、目盛の違いだ。
⓪では すべての点が
どちらが正解かを見分けるのに、
ただし、標準偏差では説明が面倒なので、分散を使うことにする。
復習
標準偏差は分散の正の平方根である。
復習より、標準偏差の2乗が分散なので、
さらに、分散とは何かを思い出すと、
復習
分散とは、偏差の2乗の平均値である。
だった。
問題文中の図5の場合、
紫の線それぞれの長さを2乗し、
その平均値を求めると、
その平均値を求めると、
⓪だと、紫の線もオレンジの線もすべて長さが
よって、正解は②である。
解答ニ:2