大学入試センター試験 2019年(平成31年) 本試 数学ⅠA 第1問 [2] 解説

(1)

ふたつの整数の奇数・偶数の問題なので、表を書いて考えよう。
条件$p$を満たす集合は表Aの赤い部分。なので、$\overline{p}$は表の緑の部分である。

表A
$p$ $m$
奇数 偶数
$n$ 奇数
偶数

$m$が奇数のとき、表Aの緑の範囲に入るためには、$n$は偶数でなければならない。

解答シ:0

$m$が偶数のとき、$n$が偶数・奇数のどちらであっても、表Aの緑の範囲に入る。

解答ス:2

(2)

アドバイス

必要条件・十分条件の問題は、一般的には
$p\Rightarrow q$ ×
$p\Leftarrow q$ ○
なので、必要条件

みたいに解くことが多いけど、○×の判定で混乱したり間違えたりすることが多い。なので、図や表で表せるときは、次の復習のように集合の大小で考える方がおすすめ。

復習

図B
大学入試センター試験2019年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図B

図Bで、
$p$は$q$の必要条件 $q$は$p$の十分条件 である。
つまり、片方の集合がもう片方に含まれるとき、
大きい集合は小さい集合の必要条件 小さい集合は大きい集合の十分条件 である。

「大は小の必要条件・小は大の十分条件。」
呪文のように憶えておこう。

図C
大学入試センター試験2019年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図C

図Cのようにふたつの集合が等しい場合は、必要十分条件となる。

図D
大学入試センター試験2019年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図D 大学入試センター試験2019年本試 数学ⅠA第1問[2] 解説図D

図Dのように、片方がもう片方を含むような関係でない場合には、必要条件でも十分条件でもない。

というわけで、条件$q$,$r$も$p$と同じように条件を満たす集合の表を書こう。


条件$q$

まず、奇数・偶数のかけ算の復習から。

復習

奇数$\times$奇数$=$奇数
奇数$\times$偶数$=$偶数
偶数$\times$偶数$=$偶数
となる。
つまり、かける数にひとつでも偶数が含まれていれば、積は偶数になる。

復習より、
$3mn$が奇数 $\Leftrightarrow\ m$も$n$も奇数
なので、条件$q$を満たす集合は表Eの赤い範囲である。

表E
$q$ $m$
奇数 偶数
$n$ 奇数
偶数


条件$r$

これも、奇数・偶数のたし算の復習から。

復習

奇数$+$奇数$=$偶数
奇数$+$偶数$=$奇数
偶数$+$偶数$=$偶数
となる。
さらに言うと、偶数の項の数に関係なく、
たし算の中に奇数の項が奇数個あれば、和は奇数 たし算の中に奇数の項が偶数個(0個もOK)あれば、和は偶数 になる。

復習より、$m+5n$が偶数であるためには、
$m$と$5n$の両方が奇数☆…パターンA $m$と$5n$の両方が偶数☆…パターンB のどちらかでなければならない。

パターンA
$m$は奇数
$5n$が奇数なので、$n$は奇数
より、パターンAになるのは表FのAの部分。

パターンB
$m$は偶数
$5n$が偶数なので、$n$は偶数
より、パターンBになるのは表FのBの部分。

よって、条件$r$を満たす集合は表Fの赤い範囲である。

表F
$r$ $m$
奇数 偶数
$n$ 奇数
偶数


集合ができれば勝ったも同然。

$p$の集合(表Aの赤い部分)と$q$の集合(表Eの赤い部分)を見比べると、同じ集合であることが分かる。
なので、$p$は$q$であるための必要十分条件。

解答セ:0

$p$の集合(表Aの赤い部分)と$r$の集合(表Fの赤い部分)を見比べると、$p$が$r$に含まれていることが分かる。
なので、$p$は$r$であるための十分条件。

解答ソ:2

$\overline{p}$の集合(表Aの緑の部分)と$r$の集合(表Fの赤い部分)を見比べると、どちらの集合も他方を含んでいない。
なので、$\overline{p}$は$r$であるための必要条件でも十分条件でもない。

解答タ:3